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黄泉軍語り 帰還の導 艦長の航海日誌  作者: 八城 曽根康
第七話 第四艦隊と本国と泊地島の軌跡
82/134

第七話 16 締め。今後の方針。

この作品は前作「黄泉軍語り 帰還の導 術使いの弟子(https://ncode.syosetu.com/n2119he/)」の続編です。

「靖國大佐。一つよいかの。」


「どうしたのだ。浅間中佐。」


 場は思考無線会議。会議が始まって早々、浅間中佐が発言をする。


「救助した乗員じゃが、天の火(あまのひ)の運用を任せようと思うがの。」


「天の火ですか。そう言えば習熟が簡単でしたね。」


 浅間中佐の提案に諏訪中佐が反応する。諏訪中佐自身、天の火の現場視察でその事を体感していた。


「そうじゃ。他の艦では習熟に時間がかかるじゃろう。黄金石炭鋼の艦の操艦は、理力工学絡みが面倒じゃからの。その分天の火は、簡略化されて操艦しやすいのぉ。」


「そうだな。天の火なら簡単かもな。理力工学だが、今から一から教えるのは面倒だぜ。」


 八坂中佐も同調する。天の火の操艦の簡略さを八坂中佐も知っている。さらに理力工学を習熟するには、航海中では時間がかかるとも思っていた。


「いずれにせよ、一七代の元で働いてもらう。それなら、一日も早く戦力になるのが良いじゃろう。」


 浅間中佐は、畳み掛けるように話を進める。その裏にある物を三人は知らない。


「その件については、浅間中佐抜きで少し話したが、なるほど。天の火は操艦が楽と聞く。三人がそう言うのなら、その案で良いな。」


 靖國大佐が頷く。内心、救助した乗員の配属を、少なからず面倒だと思っていたからだ。


「そうじゃの。そこでもう一つ提案じゃ。天の火の操艦の習熟。それが終わり次第、元泊地島の連中を、他の艦に割り振るのはどうじゃ。奴等なら、儂らが作った艦にも詳しいじゃろう。」


 この好々爺。白々しさを微塵(みじん)にも出さず話を誘導する。三人とも、浅間中佐の人事の手腕を知っている。現在会議に出席している三人。その才能と適性を見抜いて抜擢したのも、浅間中佐の手腕だ。


 ある意味、浅間中佐に対する信頼は三人限らず高い。だがその背景にある、ある種の計算高さを気取られないように、浅間中佐は注意を払っていた。


 論理的で効率的な意見を述べる。そのため、八坂中佐の頭脳には引っかからない。


 落ち着いて理路整然と話す。そのため、靖國大佐の違和感を感じる嗅覚には引っかからない。


 そして救助した乗員と共に帰還する意思。その意思は、諏訪中佐の時として鋭い直観には引っかからない。


 少しでも矛盾や悪意があれば、三人のいずれかに気づかれただろう。そのうえで自分の真の目的、天の火の本国出身者による運用に誘導する。


 もっとも、事前に契約を交わしていた事。そしてその真意を知っていたら、三人はどんな顔をしただろうか。


「そうだな。どうやら浅間中佐の案が最善のようだな。他の二人も異論はないか。」


「異議なし。」


「問題無いぜ。」


 三名の賛同を得られて、浅間中佐は内心安堵する。


「それを聞いて安心したのぉ。実は救助した乗員には、この事を先に話しておったのじゃ。無駄にならんでよかったわい。」


 あくまでも手回しをしたと言い張る浅間中佐。契約を交わしたとは決して言わない。


「ったく。浅間中佐。珍しく気が速いんじゃねえか。」


 八坂中佐の発言に、浅間中佐は髭をいじる。


「しかしそうなりますと、天の火は泊地島の住人はいなくなりますね。当然の結果ですが、本国出身者のみになりますね。」


「そう言えばそうじゃの。」


 諏訪中佐の何気ない一言に、浅間中佐はそれとなく返答する。内心、諏訪中佐の直感が働いたと思いながら。


 二人のやり取りをして、靖國大佐は顎に手を当てる。


「まあ、問題無いねえだろ。天の火で作戦に従事してもらった方が、直ぐに戦力になるぜ。余計な時間を使ってらんねえからな。」


「それもそうですね。」


 八坂中佐と諏訪中佐のやり取りを見て、靖國大佐は顎から手を放す。そして、軽くため息をつく。

「とりあえず、この件に関してはこのくらいだ。それと幸いな事だが、しばらくは航路上には、閉じた

世界も不安定な空間も無い。習熟には十分な時間が得られるだろう。さて次の議題だが…。」


 そして議題は進む様子を横に、内心安心する浅間中佐。そして奥深くにある心配。すなわち、天の火の緊急的な運用。この心配が現実のものとならない事を、浅間中佐は願っていた。



 ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。


 楽しんでいただけたのであれば、幸いです。


 次回は新しい話に進み、意外な場所を通行することになります。


 それではまたお会いしましょう。

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