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黄泉軍語り 帰還の導 艦長の航海日誌  作者: 八城 曽根康
第七話 第四艦隊と本国と泊地島の軌跡
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第七話 3 戦略。本国の人型兵器と宇宙戦闘機

この作品は前作「黄泉軍語り 帰還の導 術使いの弟子(https://ncode.syosetu.com/n2119he/)」の続編です。


 靖國(やすくに)上級大尉の航海日誌


 三四日目。浅間中佐が巡洋艦銀山に来られた。目的は、先日救出した乗員の視察だ。浅間中佐は乗員との面会は時間がかかった。吾輩(わがはい)達はその間、救助した少尉を交えて、雑談をして時間を潰した。


「浅間中佐。お待ちしておりました。」


「浅間中佐を連れてきたよ。」


「ふむ。靖國上級大尉。出迎えご苦労。」


 軍医殿がそう言うと、二人は梯子(はしご)を使わずに戦闘機から飛び降りる。飛び降りると当時に、戦闘機は霞のように消え去る。


 吾輩は二人を出迎える。浅間中佐は老人だが、体は鍛えてあると聞く。帯びた刀で万物を切り裂く、凄腕の剣豪(けんごう)と言われているが、吾輩はその腕前を知らない。


「靖國上級大尉。救助した乗員の内、士官達は何所に居るかの。」


「応接室が無いので、図書室を臨時の応接室にしています。」


「そうかの。それじゃあ、案内してくれ。」


「了解。」


 吾輩は返事をすると二人を案内する。軍医殿は当然、場所を知っているのだが。



◇◇◇



「浅間中佐。例の駆逐艦。雷撃処分しちゃったけど、船体を資材にすることは考えなかったの。うちの艦隊にも本国で建造された艦、あったと思うけど。」


 軍医殿の言う例の駆逐艦。それは救助した乗員が乗っていた駆逐艦だ。燃料が補給できないため、積んでいた魚雷で処分をした。軍医殿の言う資材は、修理用の材料だろう。もちろん軍医殿の意見も一理あるが・・・。


「案としては悪くないの。解体する手間と資材を置く場所。そして加工する工数を考えなければの。他の艦の修理の邪魔に、無ければよいがの。」


「ほへ。やっぱり無理があるんだねぇ。」


 軍医殿は(あご)に手を当てて考える。おそらく考えるふりだろう。


 浅間中佐の意見はもっともだ。現状、(けが)れの襲撃がある以上、艦の損傷もありうる。つい先日の戦闘でも、戦艦崎の岬が敵の爆撃を受け、二基の高角砲が被害を受けた。


 部品の共有化、規格の統一、それに基づいた在庫の備蓄。そして工作艦四隻の工業力。一つ一つの兵装は必ずしも最良では無いが、可能な限り修理の融通が利くようにしてある。


 そうした努力のおかげか、水上で修理を行えるようになっている。ただそれも限度があり、さすがに戦艦の主砲が壊れると、それを修理する能力は無い。


「戦闘用人型兵器。あれも役に立っているみたいだねぇ。」


「あの四本足のからくり人形。修理作業の役に立っておるの。」


「けど、本来の使い方じゃないけどね。」


 人間達には信じられないが、我が艦隊には人型兵器が配備されている。


 いや厳密に人型ではない。四本足の人型兵器だ。


 もう少し形状について補足する。イカを想像しよう。イカの足を四本の機械の足に置き換え、一見頭に見える胴体を、人間の上半身に置き換える。そして口の部分で推進力を発生させている。


 その四本足の人型兵器を、起重機(きじゅうき)や工作機械の代わりに使っている。


「しかし、人型起動兵器のぉ。あれが戦闘に役に立つのかの。」


「どうだろうね。計画では宇宙戦闘用の兵器みたいだけどね。」


「ゲームに出てくる宇宙戦闘機。儂はそっちの方が良いと思うがの。」


「ま、物は試しってところかにゃ。ボク自身、宇宙戦闘用は単なるダシだと思うけどね。」


 軍医殿はもへへと笑う。人型兵器については、我が艦隊でも疑問視されている。


 本国では宇宙での戦力開発に力を入れている。理由は人間達を出し抜くためだ。


 だが、出し抜くにしても、どのようは兵器が良いか。一番最初の壁で立ち往生したと聞く。


 一言で言うと、どのような形状が良いか。その中で二つの案が上がった。


 一つは、浅間中佐の意見にもあった、宇宙戦闘機。ゲームに出てくる戦闘機を参考にしたと聞く。そしてもう一つは人型兵器だ。


 人型と言っても二足歩行だと、無重力空間の移動がうまくいかない。この意見は早々に出たため、改善案として先に述べた四本足だ。


 もっとも、一番の意見は・・・。


「一七代。ダシと言ったがどういう意味じゃ。」


「あの人型兵器は技術検証用だね。技術的な経験を積むのが一番の目的だよ。あれは。」


 吾輩も軍医殿の意見に賛同する。人型は兵器としては非効率だ。戦車や戦闘機の方が、はるかに機能的だ。


「ところで一七代。宇宙戦闘機の話じゃが。お前さんの戦闘機。あれも宇宙で使えるそうじゃな。」


「厳密に言うとちょっと違うかにゃ。あの戦闘機。先代の愛機だった頃から、宇宙で運用試験をしていたよ。だからUFOのような動きができるんだよ。」


「なるほど。そうじゃったのか。」


 軍医殿の戦闘機は、度々揚力を無視した挙動をした。戦闘機は黄金石炭鋼(おうごんせきたんこう)製で、素材自体が斥力を発する。そのからくりは分かっていたが、宇宙戦闘用とは初めて知った。


「ふむ。そんな無駄話をしているうちに、図書室に着いたね。」


「もう着いたか。それじゃあ会ってくるかの。少し時間がかかるかもしれんの。」


 見張りが敬礼する。吾輩達も敬礼をして図書室に入ろうとするが。


「そう。じゃあボクも一緒に行くよ。上級大尉は食堂で待ってて。ちょっと長くなりそうだよ。」


 吾輩も入室しようとすると、軍医殿が制する。理由は分からないが、入ってくるなという事だろう。


「そうか。それなら軍医殿。先に食事を済ませるが、それでも良いかな。」


「あれ、昼ご飯まだだったんだ。それならゆっくり食べると良いよ。」


 そう言うと、浅間中佐と軍医殿は図書室に入る。吾輩は釈然としない思いをわずかに抱きつつ、食堂に向かった。



 ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。


 楽しんでいただけたのであれば、幸いです。


 次回は浅間中佐が、救助した乗員と面談します。


 それではまたお会いしましょう。

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