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黄泉軍語り 帰還の導 艦長の航海日誌  作者: 八城 曽根康
第五話 泊地島の意思
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第五話 9 泊地島に対する当面の課題

この作品は前作「黄泉軍語り 帰還の導 術使いの弟子(https://ncode.syosetu.com/n2119he/)」の続編です。


この作品は「カクヨム(https://kakuyomu.jp/my/works/16816927860866373063 )」に重複投稿しています。

 中佐以上の思考無線艦隊会議に、軍医が参加している。先の女神の件で、考えをすり合わせている最中だ。


「そうか。泊地島(はくちとう)の意思を退けたか。」


 靖國(やすくに)大佐は顎に手を当てて言う。


「あれから泊地島の反応はどうじゃ。」


 靖國大佐を一瞥した浅間中佐は、軍医に尋ねる。


「ちょっとまって。」


 軍医はそう言うと、誰かと会話をする。思考無線越しでは相手は分からないが、靖國上級大尉かもしれないと、靖國大佐は思った。


音沙汰(おとさた)がないね。信号や電波の類も一切ないね。」


「艦隊の進路上にも、(けが)れの類は見当たりません。」


 諏訪中佐は、他の探査艦隊の報告を確認する。


「とりあえず、当面の危機は去ったという事じゃねえか。」


 八坂中佐が一同の意見を聞いて、総合的な判断を下す。他の佐官もうなずいて同意する。


 泊地島の意思を一旦は退けた。それ以来、泊地島からの信号は途絶えている。静まり返っているが、はるか遠くの泊地島は観測できる。それはそれで不気味だった。


「八坂中佐。確か思念妨害については、改造中だな。」


「ああ。予定通り、小型艦艇の改造を行っているぜ。」


 小型艦艇で動作を確認して、問題が無ければ他の艦艇も改造を行う手はずになっている。


「そうか。それと他の改造もできそうか。」


「それは物によるぜ。靖國。あまり大規模な改造はできないぜ。それに改造は時間が必要だぜ。」


 八坂中佐は手に持った資料を見ながら答える。その資料には、艦隊の資材について記されている。

「もへへ。いったいどんな改造をするのかにゃ。」


 軍医は横から資料をのぞき込む仕草をする。無論思考無線越しなので、八坂中佐が手に持っている物を確認することはできない。


「穢れ除けを艦に付与したい。術の増幅では無くて、常時効果のある物だ。」


「それは可能だぜ。」


 八坂中佐は即答する。


「穢れ除けなら、作戦開始前に艦を清めたはずです。重ね掛けはあまり効果が無いのでは。」


 諏訪中佐は即座に発言する。それに対して靖國大佐は首を横に振るう。


「泊地島の意思は、穢れを用いて我々を妨害するだろう。そうなると穢れとの連戦が予想される。艦

を清めた効果も薄くなるはずだ。」


「それなら先の穢れた巨大艦のような例もある。個艦防衛では無くて、艦隊全体を防御するものじゃ。各々の旗艦に装備するのはどうじゃろうか。」


「無茶言うな。そんな大掛かりなもん、簡単にはできねえぞ。念力防壁はあくまで個艦用だぜ。」


 浅間中佐の提案に、八坂中佐は即座に反論する。それでも浅間中佐は、簡単にはひかない。


「それなら、摩訶不思議装置に組み込むことはできんかの。最低限、輸送艦隊には必要じゃろう。非戦闘員がおるからの。」


「けどよぉ。核になる部品がねえぞ。今から作ると数ヶ月必要だぜ。」


「核になる部品ならあるぞ。ちょっとまってくれ。」


 二人の会話を聞いていた靖國大佐は、席を外して何やら探す。しばらくして、木の板をまとめた物を持って戻ってくる。その量は多く、物置くとどさりという音が聞こえてきた。


「穢れ払いの木簡をまとめた物がある。いざという時に取っておいたのだが、それが使えるだろう。」


 木の板の束は木簡(もっかん)だった。木の板に呪文が書いてある。それに糸を通して、巻物のようにひとまとめにしたものだった。その太さは、ドラム缶ほどの太さがあった。


「分かった。後で現物を見せてくれ。」


 八坂中佐はため息をつく。これからの面倒な作業を想像して、気疲れを起こしているようにも見えた。


「それでは確認したいのですが。」


 話が纏まったのを見計らって、諏訪中佐が話に入り込む。


「泊地島の意思。正確には、その穢れに対する対応として、個艦用の穢れ除けの対策。輸送艦隊には、艦隊防御規模の穢れ除けの装置。とりあえずはそれでよいのですね。」


 諏訪中佐は今までの話を簡単にまとめる。この場合、確認を取っていると言った方が正しい。


「それで問題無い。追々必要な物が追加されるかもしれないが、この話はここまでだな。さて次の議題だが・・・。」


 次の議題の話に移る中、八坂中佐だけが頭を抱えていた。その表情は真剣で、目はどこか遠くを見ている。頭の中では頭脳を総動員して、課題に取り組んでいた。



 ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。


 楽しんでいただけたのであれば、幸いです。


 次回は一話分お休みを頂き、8月31日の投稿になります。


 次回は場面は移り、時間の流れの違う海域に遭遇します。


 それではまたお会いしましょう。

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