第四話 10 祟り神の可能性
当小説はフィクションであり、人物、団体、人種は全て架空の物で、実在する物とは一切関係ありません。
この作品は前作「黄泉軍語り 帰還の導 術使いの弟子(https://ncode.syosetu.com/n2119he/)」の続編です。
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思考無線の会議の席。軍医は穢れと対話した事を報告する。
「そうか。穢れがそのような事を言ったのだな。」
靖國大佐はそう言うと、目を閉じて考え込む。
「にしても、その穢れ。怨念が酷いんじゃねぇか。」
八坂中佐は顎に手を当てて考え込む。
「穢れがペプーリア様を標的にしているのですか。」
諏訪中佐は腕を組んで考えこむ。
三者三様に考えこむ中、浅間中佐が軍医に問いただす。
「一七代。一つよろしいかな。」
「どしたの。浅間中佐。」
「何故穢れに対して、挑発するような事をしたのかの。そなたの行動は、穢れが明確な主義主張を持っているかのように扱っているのぉ。」
「うん。少なくとも僕にはそう見えたね。明らかにボクを目の敵にしていたよ。」
「なるほどのぉ。」
浅間中佐は、お茶を啜りため息をつく。
「これは儂が思うに、祟り神の類じゃないかのぉ。」
「祟り神ねぇ。」
今度は軍医が首を傾げて考え込む。
「そうじゃ。儂らは泊地島に居た時、泊地富士を祭っておった。そこにいる名もなき神をの。」
「その神様が、俺達がいなくなったのを怒ったのか。」
八坂中佐の問いに、浅間中佐はお茶を啜ってから答える。
「祟り神は、祭られなくなると、祟りを起こす物じゃて。」
「祟り神と言う根拠は、何かあるのか。」
「まあ、無くはないの。」
浅間中佐はそう言うと、一つの資料を無線思考越しに提示する。その資料は神社の神主の報告書と、一〇年前の神霊値の観測結果だ。
「まずは、神霊値の数値じゃ。一〇年前の数値じゃが、当時泊地島の神の騒ぎがあったじゃろう。」
「そう言えばありましたね。」
「思い出したぜ。」
「あったな。そういえば。」
「ほへ。あったんだ。そんな事。」
浅間中佐以外の四人が、それぞれ反応する。
「そう。その時はすぐ鳴りを潜めてから、神はいないという結論にいたったがの。そして次は、泊地島神社の神主の記録じゃ。偶然、儂が居合わせたのじゃが、怪しいから報告書を上げさせたのじゃ。」
そう言うと浅間中佐は、資料の一文を指し示す。
「ここに結論が書いてあるの。結論から言うと、穢れと神霊を同時に観測したという事じゃ。ほんの一瞬じゃがな。」
そして別の文を指し示して話を続ける。
「そしてここに注目かの。神霊が確認される前後で、穢れの量が明らかに異なっておる。神霊の観測後は、明らかに穢れが減っておった。」
「神霊が穢れを浄化させたのでしょうか。」
諏訪中佐の問いに、浅間中佐は首を横に振る。
「わからん。じゃが、当時はそれほど気にも留めんかったがのぉ。」
浅間中佐の発言に、諏訪中佐は再び考え込む。
「けどよぉ。祟り神なら、少なくともつじつまが合うんじゃねぇか。」
皆の意識が八坂中佐に向けられる。八坂中佐はおもむろに話を始める。
「理屈はこうだ。最初にペプーリアが狙われていた事実だ。」
「ボクが狙われているねぇ。」
軍医は首を傾げる。それを一瞥すると、八坂中佐は話を続ける。
「そうだ。お前さん。泊地島に来て早々、会見の場ではっちゃけただろ。戦闘機を召喚して大げさにな。」
「そう言えば、そんな事もあったね。」
軍医は反対側に首を傾ける。八坂中佐にはその仕草は大げさに思えた。
「それ以外にも、視察とか色々とやって目立っていただろう。万人が認める帰還作戦の旗印だぜ。」
「確かにペプーリア殿は精力的に働いていたな。」
靖國大佐は泊地島での軍医の働きを思い出す。少し無理をしているのではと思ったくらいだった。
「そして祟り神の性質だ。祭られなければ祟る性質。しかも見方によっては、ペプーリアに信仰を奪われたと、見る事もできるぜ。」
「もへへ。ボクが現人神かにゃ。」
「一七代の扱いは、現人神じゃな。」
そう言うと、浅間中佐はお茶を啜る。本国出身の八坂中佐にとっては、まさに現人神だった。
「以上の二つの理由だ。祟り神ならつじつまが合う理由だ。祟り神が面白くない理由としては、十分だぜ。」
「そうなると、今後は祟り神の追撃も視野に入れるのですか。」
諏訪中佐が今後の方針を確認する。障害者を明瞭にする。そうする事で対策がしやすいと考えたからだ。
「推定、祟り神だな。祟り神が穢れを使って追ってくると仮定する。正体が判明しない限りは、先走りは禁物だ。」
断定するのは禁物と思いつつ、やはり祟り神がしっくりくると、靖國大佐は思った。
ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。
楽しんでいただけたのであれば、幸いです。
次回は、軍医が穢れに言い放った台詞。その理由についての話になります。
それではまたお会いしましょう。




