表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黄泉軍語り 帰還の導 艦長の航海日誌  作者: 八城 曽根康
第四話 謎の巨大艦艇
41/134

第四話 9 穢れの声

当小説はフィクションであり、人物、団体、人種は全て架空の物で、実在する物とは一切関係ありません。


この作品は前作「黄泉軍語り 帰還の導 術使いの弟子(https://ncode.syosetu.com/n2119he/)」の続編です。


この作品は「カクヨム(https://kakuyomu.jp/my/works/16816927860866373063 )」に重複投稿しています。


 軍医は急いで甲板に向かう。思考無線で状況を確認する。


 どうやら巨大少女と白兵戦要員が対峙している。敵は持っている巨大な錫杖(しゃくじょう)から摩訶不思議(まかふしぎ)な雷を放つようだ。白兵戦要員は巨大魔法少女を退治するが、間を置かずもう一体が天の火に着艦する。


 魔法少女は奇妙な事に、大声で叫びながら摩訶不思議な雷を放つ。


 ペプーリアは何所だと。



◇◇◇



 軍医は甲板に出る扉の前にたどり着く。甲板の出入り口には、負傷者が一人手当てを受けている。本来なら軍医が手当てに当たるが、今回は状況が違う。


「ペプーリア様。お下がりください。穢れの目標は、間違いなくペプーリア様です。」


 上等兵が軍医の前に立ちふさがる。軍医はため息をつくと言葉を発する。


「そうらしいね。だけどこっちも穢れに用があるんだよねぇ。通してもらうんだなぁ。」


 そう言うと軍医は、静止を(うなが)す部下を器用に避けて甲板に出る。


 甲板では一人の白兵戦要員が対峙している。淺糟(あさかす)軍曹だ。軍医は担ぎ込まれる負傷者を避けて、巨大魔法少女の前に姿を現す。


「ペプーリアは何所だ。ペプーリアを出せ。」


「軍医様。お下がりください。」


 淺糟軍曹が軍医の前に、脅威から(かば)うように立つ。軍医はそれも退けて、魔法少女の目に立ちふさがる。


「けど巨大美少女は、ボクに用があるみたいだねぇ。」


 巨大魔法少女は可愛らしい錫杖から、七色の破壊光線を放ち軍医に襲い掛かる。


 軍医は難なくかわし、魔法の袋から短かい槍を二本取り出す。投擲(とうてき)用の槍だ。


「もへへ。生温いねぇ。」


 そう言うと軍医は、器用に二本の槍を投槍(なげやり)器に取りつけて、全身をもって豪快(ごうかい)にやり投げを行う。


 (やり)は勢いよく投げ出され、喉元(のどもと)に向かって飛翔(ひしょう)する。二本とも喉元に命中する。まるで釘か細い筆が、喉に刺さったかのような形だ。


 魔法少女は苦痛のあまり倒れ、のたうち回る。そして甲板から転げ落ち、海面に落ちて水しぶきを上げる。


「もへへ。水も(したた)るいい女ってか。ぶざまだにぇえ。」


 軍医は片手でやれやれと言った仕草をする。


「軍医様。あまり挑発をなさらないで下さい。」


「もへへ。ボクなら大丈夫だよ。」


「貴様ぁ。」


 可憐な魔法少女は水面から浮かび上がり憎悪を吐き出す。甲板から顔を出して、右腕を伸ばす。右手は拳に変わり、軍医に鉄拳を繰り出す。


 巻き込まれそうになる淺糟軍曹は、何とかこの拳を回避する。


 一方軍医はこれを難なく、しかもアニメか映画のように宙返りをして回避する。おまけにフィギアスケートのように三回転の回転も加えてだ。この男、本当に身軽なもので、華麗(かれい)に着地する。


「まあまあ。可愛(かわい)い顔が台無しだよ。お嬢ちゃん。」


 そう言うと、今度は南部大型拳銃を二丁取り出す。そして二丁拳銃で、拳に対して(けが)れ払いの曳光弾(えいこうだん)を五、六発叩きこむ。


 右手の中指が浄化の炎で燃え上がる。中指が燃え尽きて灰の塊になって崩れ落ちる。


「さてと。正式な自己紹介がまだだったねぇ。」


 魔法少女は憎悪に歪んだ顔を向けるが、軍医は動じない。突如軍医の頭上にジェット戦闘機が出現する。軍医の召喚した戦闘機だ。戦闘機は軍医の頭上で滞空する。


「察しがついてないから言うけど、ボクが第一七代ペプーリア。チミの言うペプーリアだよ。」



◇◇◇



 戦況は決していた。残り少ない穢れも順次排除され、ほぼ全ての穢れが排除された。


「さてと、お嬢さん。何でボクを目の敵にするのかにゃ。」


 軍医は魔法少女に向かって問いただす。


「貴様が我が民を(まど)わせたからだ。我が民が我が地を離れ、我を捨てさせたからだ。」


 軍医はふむふむと頷きながら、穢れの話を聞いていた。ここまで明晰(めいせき)な意思を持った穢れは珍しい、と考えながら。


「貴様のせいだ。この悪しき船に乗ってきた貴様が、我が民をたぶらかした。」


 どこでどう見ていたか知らないけど、この穢れにはそうゆう風に見えたんだ。軍医はそう考えたが、おそらくそれ以上の情報は引き出せないと思った。


 そこで軍医は、一つの情報戦を仕掛けた。


「あ、やっぱり分かっちゃうんだ。賢いねぇ。」


 その言葉に、魔法少女が一瞬硬直する。


「チミ達に伝えておくよ。ボクの目的はチミ達の民を、より良い新天地に連れていく事だよ。」


 魔法少女は全身を震わせる。何か言おうとするが、まるで言葉になっていない。


「そしてこの船は、そんな素敵な新天地に導く、素敵な箱舟(はこぶね)だよ。」


 軍医は甲板を指さしながら、魔法少女を煽る。


「新天地はチミ達の泊地島(はくちとう)より、はるかに良い場所だ。そう言う事だから…。」


 そう言うと軍医の頭上の戦闘機が動き出し、機首を魔法少女に向ける。


「この航海を止めたければ、ボクを倒す事だね。それじゃあご機嫌よう。」


 軍医は右手を(かか)げパチンと指を鳴らす。戦闘機の機首から、大量の穢れ払いの機銃弾が吐き出された。


 ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。


 楽しんでいただけたのであれば、幸いです。


 次回は、穢れに対しての考察です。


 それではまたお会いしましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ