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黄泉軍語り 帰還の導 艦長の航海日誌  作者: 八城 曽根康
第四話 謎の巨大艦艇
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第四話 6 作戦前の作戦予習

当小説はフィクションであり、人物、団体、人種は全て架空の物で、実在する物とは一切関係ありません。


この作品は前作「黄泉軍語り 帰還の導 術使いの弟子(https://ncode.syosetu.com/n2119he/)」の続編です。


この作品は「カクヨム(https://kakuyomu.jp/my/works/16816927860866373063 )」に重複投稿しています。

「上級大尉。ボク達は諏訪中佐の配下に入るよ。チミも来るように言われたね。」


随分(ずいぶん)と忙しい事だな。」


 吾輩(わがはい)はぼやく。ぼやくだけで反論はしない。


 各艦隊司令の会議で、第二護衛艦隊を中心とした艦で、例の巨大艦『海百足(うみむかで)』に対応することが決まった。


「チミは天の火(あまのひ)の戦闘指揮所で待機だよ。摩訶不思議(まかふしぎ)装置を担当してもらうよ。」


「それは天の火の術師の役目じゃないか。」


「術師は艦長だけど、チミの方が術師の腕は上だよ。」


 吾輩が一番の適任者か。艦長の仕事を取るのは気が引ける。吾輩は天の火の艦長を見やる。


「私の事はお気になさらず。有力な術師である上級大尉に、お任せしたいくらいです。」


「そう言う事なら了解した。」


 天の火の艦長にそう言うのであれば、吾輩は自分の仕事をこなすだけだ。


「あの軍医様。僕はどうすればよいですか。」


 淺糟(あさかす)軍曹が言いにくそうに、軍医殿に尋ねる。淺糟軍曹は先の偵察から、ずっと吾輩達と行動を共にしている。


「ああ、ごめんごめん。淺糟君はダメコン要員として待機して。白兵戦の時には戦闘員として、役に立ってもらうよ。場所は覚えているね。」


「了解しました。それでは行ってきます。」


 淺糟軍曹は一礼して戦闘指揮所を後にする。肩身が狭い場所から、開放されたようにも思った。


「司令官。諏訪中佐より連絡が入っています。」


「分かった。思考無線を繋げるよ。」


 そう言うと軍医殿は思考無線で会話を始める。当然中身は分からない。周りから見ると、無言で応対しているように見えるからだ。


 軍医殿が無言で会話している間に、吾輩は摩訶不思議装置の最適化を行う。吾輩が使いやすいように、理力の流れを最適化する。


「分かったそうするよ。」


 どうやら話は終わったようだ。軍医殿は思考無線を切ると立ち上がる。


「艦長。天の火の艦の位置を変更。旗艦の後方に移動させて。」


「了解しました。」


「各艦とのデータリンクも、忘れないでね。天の火が艦隊の目になるからね。」


 軍医殿は天の火の艦長に指示する。吾輩は摩訶不思議装置の点検を行う。


「それと接敵は六時間後。今のうちに部下たちを休ませる必要があるかな。」


 軍医殿の動作が一瞬硬直する。一瞬だけ思案して話を続ける。


「二時間ごとに二交代で休息。ちょっとした仮眠の時間はありそうだね。すぐに休息に取り掛かってね」


「了解した。」


 そう言うと軍医殿は、即席の席に深く座り込む。そして黄金の葉巻を取り出して、口にくわえる。


「それじゃ上級大尉。艦長。時間があるから復習をかねて、段取りを確認しようかな。」


 そう言うと軍医殿は説明を始める。軍医殿の言った内容は以下の通りだ。


 まず最初に、こちらから奇襲(きしゅう)をかける。航路は、新たに発見した別の水域経由で、海百足の至近距離に出現する。


 こちらの戦力は、第二護衛艦隊と司令部直属の希望の二種類だ。海百足に対して、第二護衛艦隊が最初に対峙して、遅れて希望が戦列に加わる。


 そして敵は誘導弾を乱発してくる。その誘導弾を、第二護衛艦隊総出で撃墜する。敵は誘導弾を発射するごとに、(けが)れの量が減っていくが、これは置いておこう。


 そして遅れてきた希望が、海百足に艦砲射撃をお見舞いする。


 そこで二つ疑問が生じる。最初は、何故希望も第二護衛艦隊と共に行動させないのか。


「ああ、その理由ねぇ。経由する回廊の幅が狭くてねぇ。」


 この場合の狭いは川幅の意味ではない。通過できる艦の排水量を指す。


「狭いという事は、希望と第二護衛艦隊とは、同時に回廊を通過できないという事か。」


「そう言う事。確か希望の総排水量。第二護衛艦隊より多かったと思うよ。」


 吾輩はざっとどんぶり勘定をする。


 第二護衛艦隊の艦艇は旗艦峯島(みねしま)を筆頭に、巡洋艦が一隻と駆逐艦が七隻。


 旗艦峯島と巡洋艦で約四万トン。駆逐艦一隻が多くても四〇〇〇トンくらい。単純計算、約七万トンだ。そして天の火は二万五千トンくらいだ。


 それに対して双胴戦艦希望は一二万トンを超える。単純計算、希望の排水量はこちら側の三割増しだ。

そしてもう一つの疑問は、援軍である希望の到達時間だ。


「到達時間は五分後だね。それまでは誘導弾を(さば)き続けるんだ。」


「五分か。」


 吾輩は前の遭遇戦を思い出す。


 あの時も銀山が集中攻撃を受けた。攻撃が開始されて水域を離脱するまで、二分半だったと記憶している。


 今回の戦闘ではその倍の時間、誘導弾を捌き続ける必要がある。


 だが今回は艦隊で対応する。無事に事が進むと思いたいものだ。




 ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。


 楽しんでいただけたのであれば、幸いです。


 次回は巨大艦『海百足』との戦闘が開始されます。


 それではまたお会いしましょう。 

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