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黄泉軍語り 帰還の導 艦長の航海日誌  作者: 八城 曽根康
第四話 謎の巨大艦艇
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第四話 5 未知の巨大艦への対処

当小説はフィクションであり、人物、団体、人種は全て架空の物で、実在する物とは一切関係ありません。


この作品は前作「黄泉軍語り 帰還の導 術使いの弟子(https://ncode.syosetu.com/n2119he/)」の続編です。


この作品は「カクヨム(https://kakuyomu.jp/my/works/16816927860866373063 )」に重複投稿しています。


「いやな予感が的中したぜ。」


 思念無線の会議で、八坂中佐が毒づく。


「まさか泊地島(はくちとう)が、こちらを迫っているというのか。」


 諏訪中佐も動揺(どうよう)を隠せないでいる。


「しかし、帰ってこいと言う声。儂には聞こえなかったの。」


「それはどういう事だ。」


 浅間中佐の意見に、靖國(やすくに)大佐は不思議に思う。そう言えば、軍医や天の火(あまのひ)の乗員も、この声が聞こえなかったという報告を思い出す。


「これは儂の憶測じゃが。泊地島生まれの同胞にしか、聞こえないのではないかの。その証拠に、儂は本国生まれじゃ。」


「つまり『我が民』は、泊地島生まれを指すという事ですか。」


 そこまで言うと、諏訪中佐は考え込むが、すぐに考えるのを止める。


「泊地島の事は、予期しない懸念材料です。だが、我々の当面の問題は、巨大戦闘艦です。逃げ回るにせよ、迎撃するにせよ、対処が必要になります。」


 そこまで言うと、諏訪中佐は資料を提示する。それは巨大戦闘艦の穢れの量を示す物だった。


「この資料に目を通して下さい。巨大戦闘艦の(けが)れの量です。先の戦闘で観測された物ですが、明らかに穢れの量が減っています。」


 諏訪中佐が示した資料には、巨大戦闘艦の穢れの量が、少し減っている事が示されていた。


「ふむ。これはどういう事じゃ。」


「それって誘導弾の原料が、穢れって意味じゃねえか。」


「そうです。誘導弾に対処できれば、敵艦の穢れの総量が減ります。そうすれば勝機も見えてくるでしょう。」


「ちょっと良いかの。一つ確認したいのじゃが。」


 浅間中佐が手を挙げて質問する。


「浅間中佐。どうしましたか。」


「その巨大戦闘艦。主兵装は誘導弾で良いのじゃな。」


 浅間中佐の疑問は当然だった。諏訪中佐の考えは、相手の主兵装が誘導弾である事が前提だ。


 大量の誘導弾に対応している隙をついて、大口径の砲撃を食らっては、致命傷になりかねない。


「それなら問題ありません。第一探査艦隊の戦闘により、敵艦の兵装は誘導弾が中心と判っています。」


 そう言うと、先の戦闘時の映像と、観測結果を示す。敵艦の甲板から誘導弾が昇り、すぐさま向きを変えて向かってくる。垂直発射装置を装備しているのだろう。


 他にも一目でわかる誘導弾発射装置。砲塔は見当たらない所を見るに、武装は誘導弾一辺倒だ。観測された情報もそれを裏付けている。間違っても、変形してロボットになる様な代物ではないようだ。


「なるほど、諏訪中佐の言いたい事は分かった。問題は、どの艦隊が相手するかだ。」


 靖國大佐は念を押すように、様式美と言える台詞を諏訪中佐につきつける。


「我が第二護衛艦隊が、その任に適切と思います。それと戦艦希望にも参戦していただけると、敵艦に対しての打撃力になります。」


 当然のごとく、間髪入れず名乗り出たのは諏訪中佐だった。


 諏訪中佐が指揮する第二護衛艦隊は、旗艦に小型揚陸艦『峯島(みねしま)』を筆頭に、巡洋艦一、駆逐艦七で構成された艦隊だ。小型艦艇や戦闘機など、小さな敵の対処を念頭に置いた、小回りの利く艦隊だ。


 配属されている駆逐艦の主砲は、速射性が高く射程も長い。おまけに命中精度も良好で、誘導弾の迎撃には一番うってつけだ。


 そして対空砲火も最適化されている。そのため現在の帰還艦隊の中では、一番の防空能力を備えている。


「それと、第一探査艦隊の天の火をお貸しください。天の火の探知能力を、誘導弾迎撃に生かしたいです。」


「わかった。天の火を組み込むことを許可する。」


 天の火の情報処理能力は、艦隊の中で一、二を争うほどの物だ。相手の実力が不明なため、誘導弾迎撃の効率を、少しでも上げておきたいと、諏訪中佐は考えていた。


「希望はどうする。真っ先に行って矢面に立つと、第二護衛艦隊の意味がなくなるぜ。」


「対空迎撃の最適化が終わっていない。今矢面に出しても、誘導弾は(さば)ききれないだろう。第二護衛艦隊の後をついて行く形になる。」


 旗艦希望は厳密には完成していない。巨艦で数多の対空砲を装備しているため、対空迎撃の最適化が済んでいない。さらに摩訶不思議(まかふしぎ)装置の件もある。


 そして損傷についても、小型艦艇なら工作艦に収容して修理が可能だ。しかし双胴の巨大な戦艦だ。それなりの損傷を受けると、修理はまず無理だろう。


「ふむ。後からついて行くと言うと、航路とは別の回廊を使うのじゃな。」


 浅間中佐は何かを察して、近海の航路図を確認する。


「今の航路だと、穢れとの会敵距離が遠すぎるぜ。その別の航路なら、敵との会敵距離は、戦艦希望の主砲射程内だぜ。」


 八坂中佐の発言は、靖國大佐の思案を代弁する物だった。


「そういう事だ。しかし狭い水域を経由するため、希望到着まで第二護衛艦隊で戦線を支えてくれ。」


「了解しました。」


 巨大戦闘艦に対する対応は決まった。次は細部を煮詰めるが、その前に靖國大佐から提案が上がる。


「第一護衛艦隊は、輸送艦隊の護衛に当たってくれ。他の穢れが狙ってくるとも限らない。」


「了解した。」


「戦闘はこちらから仕掛ける。それに先立ち、巨大艦に名前を付ける。」


 名前を付ける事は呪術を行う時に有効だ。名称があれば、その分術に指向性を持たせることができる。


「で、案が無ければ、私が名前を付ける。」


 そう言って靖國大佐が発表した名前は『海百足(うみむかで)』。数多にある百足の足を、誘導弾に例えた物だ。この名前は代案も無かったため、すんなりと決まった。


「それではムカデ退治の詳細を煮詰めよう。」


 ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。


 楽しんでいただけたのであれば、幸いです。


 次回は、場面が武装輸送艦天の火に移ります。


 それではまたお会いしましょう。 

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