第四話 3 奇怪な前兆
当小説はフィクションであり、人物、団体、人種は全て架空の物で、実在する物とは一切関係ありません。
この作品は前作「黄泉軍語り 帰還の導 術使いの弟子(https://ncode.syosetu.com/n2119he/)」の続編です。
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靖國大佐の航海日誌
一三日目。大量の穢れが巨大な艦影になって我々に襲い掛かる。それだけでも脅威だがさらに面倒事が発生した。
最初にその報告を聞いた時、何かの誤報かと疑ってしまった。
◇◇◇
「これが、ボク達の遭遇した穢れの報告だよ。」
軍医が思考無線のオンライン会議で、超巨大艦の報告をする。一同は静まり返ったが、すぐに会議が再開される。
「それでどうしますか。迎撃しますか、それとも戦闘を回避しますか。」
諏訪中佐が他の人達に意見を促す。靖國大佐は軽く深呼吸をする。
「ペプーリア殿。超巨大艦との遭遇時間は、何時間後になるか。」
「そうだねぇ。その件だけど、完全に居座っているね。」
「居座っているのか。あそこ、艦隊の航路じゃねぇか。」
軍医が言った水域は、帰還艦隊の通り道だった。そして、それらを迂回する道筋は、現在見つかっていない。
「戦端を開く決定権は、こちらにあるという事じゃな。」
浅間中佐は軽くため息をつく。何か思案しているようにも見える。
「現在、第二、第三探査艦隊で迂回路を探しているころだが、そっちはどうだ。」
「それについては、現在探査中だ。」
靖國大佐の指示で、穢れを避ける迂回路の調査を指示してある。靖國大佐は会議前に確認したが、迂回路は見つかっていない。
「ペプーリア殿。敵巨大艦の兵装についてだが、他に何があったか分かるか。」
「そうだねぇ。そもそも砲塔すらなかったね。ミサイル発射機がごってりついていたけど、それ以外の兵装は一切無かったね。」
「それにしても曽根康の奴、奥の手の“二回行動の秘術”まで使ったのか。それで誘導弾の数に対して、被害が少なかったんだな。」
「“二回行動の秘術”。そんな術は初耳だ。」
靖國大佐は驚く。自分の息子が、自分の知らない術を開発したからだ。
「靖國上級大尉の奥の手です。靖國大佐は知らなかったのですか。」
「なんじゃ。お前さんは知らんかったのか。」
「いや、知らなかった。」
八坂中佐に続き、浅間中佐と諏訪中佐も口をそろえて答える。この場でたった一人のけ者にされている。そんな不満を靖國大佐は覚えた。
銀山の誘導弾撃墜数が、明らかに期待値を超えている。反応速度が飛躍的に高くなっているのが理由だ。これが“二回行動の秘術”の効果だろうと、靖國大佐は思った。
「いずれにしろ、数多の誘導弾を発射する巨大艦。これをどうにかするのであれば、早い方が良い。」
「そうじゃな。穢れを回避するにせよ、退治するにせよ、こちらが先手を取るのが望ましいの。」
諏訪中佐と浅間中佐は意見の一致を見出す。
「俺も同意見だ。輸送艦艦隊は後方に下げ…あ。それは本当か。」
八坂中佐は意見を言いかけて止まる。どうやら何か報告が上がってようだ。
八坂中佐の表情が怪訝な表情になる。
「そんな馬鹿な話があるか。もう一度よく調べなおせ。」
「どうしたのだ。八坂中佐。」
八坂中佐は数秒間動作が止まる。靖國大佐は思考無線越しに、大きな迷いを感じ取った。
「ちょうどいいや。靖國。第一探査艦隊の天の火を、後方に下げてくれ。艦隊の後方を探査させるんだ。」
「いったい何があったというのだ。」
八坂中佐は信じられないと言った表情をする。何らかの報告を受けたことは間違いなさそうだった。
「俺達の彼方後方に、泊地島の反応を感知したんだ。ラジオ放送局の周波数で、電波を送信している。」
八坂中佐の発言に対して、一同は次に発する言葉が思いつかなかった。
ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。
楽しんでいただけたのであれば、幸いです。
次回は艦隊後方、泊地島方角を探査しますが・・・。
それではまたお会いしましょう。




