表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黄泉軍語り 帰還の導 艦長の航海日誌  作者: 八城 曽根康
第三話 銀山遭難
30/134

第三話 9 決戦のバトルフィールド

当小説はフィクションであり、人物、団体、人種は全て架空の物で、実在する物とは一切関係ありません。


この作品は前作「黄泉軍語り 帰還の導 術使いの弟子(https://ncode.syosetu.com/n2119he/)」の続編です。


この作品は「カクヨム(https://kakuyomu.jp/my/works/16816927860866373063 )」に重複投稿しています。


 吾輩(わがはい)は三階に足踏み入れる。ここが最後の階だ。


 コンクリートの柱と中央に黄金色の魔方陣。そして広い空間が広がっている。


「ここが決戦のバトルフィールドだぁ。」


「そうか。それにしても力作ぞろいだな。」


 吾輩は三階を見回した。壁際には様々な形の像が立てかけられている。


 その大きさも様々だ。全長三〇〇ミリほど小犬の置物から、床と天井を支える巨人アトラスを連想させる、天井を支える巨像まで様々だ。


靖國(やすくに)上級大尉。この艦の乗員、何故か木の扱いが上手なのが多いねぇ。」


「艦の建造に携わっていたからだろう。」


「艦ねぇ。ああ。黄金石炭鋼(おうごんせきたんこう)の木造艦か。」


 泊地島(はくちとう)の住人の内、半数以上が艦の建造に携わっていた。そして艦の原材料は木材。そのため木材の扱いに長けた人材が多かった。


「粘土人形。調整完了しました。」


 部屋の中央に淺糟(あさかす)軍曹がいた。人形の調整作業に苦労したのか、見るからに疲れた様子だった。


「その様子だと、ずいぶん苦戦したようだな。ご苦労。」


「ご苦労様だねぇ。」


 吾輩は淺糟軍曹から、呪文集大書を受け取る。


「少し試運転をしてみるか。」

 そう言うと、吾輩自身を攻撃するように命令する。人形は吾輩に襲い掛かる。その動作は淺糟軍曹を連想させる。


 吾輩は人形の拳を難なく回避する。思った通り鈍重だが、素人には危険な一撃だ。


 二発、三発と、人形は拳を繰り出してくる。吾輩は人形の出来栄えを見ながら、これらも難なく回避する。


 少しの間、人形の性能を確認した後、攻撃に移る。


 吾輩は鉄拳の一撃を叩きこむ。人形の鈍重な動きではかわしきれず、拳はわき腹に命中する。


 拳は予想通り、粘土の塊に打ち込んだ感触だ。それ以上でもそれ以下でもない。


「止まれ。」


 吾輩は人形を停止させ、拳を打ち込んだところを、“修復”の術で修復する。


「この人形、意外といい動きをしていたね。ボク達の足元には及ばないけど。」


「この動きは、淺糟軍曹が調整したものだ。淺糟軍曹の動きを手本になっているのだろう。」


 吾輩は人形を元の位置に配置させる。


「それじゃあ、この人形。淺糟君並みの強さがあるのかな。」


 淺糟軍曹をまじまじと見ながら、軍医殿は言う。


「吾輩が教えた方法では、そこまでは無理だ。本人の動作を元にしているからな。もっともそれ以外の方法なら、話は別だが。」


「そうなんだ。」


 吾輩は人形を元の場所に戻す。そして軍医殿の方に向き直り、質問する。


「呪文集大書を安置する台座はまだのようだな。」


「それなら今日中に完成する予定だね。ここに配置する予定だよ。」


 軍医殿は配置予定場所を指さす。そこは分かりやすく、黒塗りで示されている。


「分かった。それでは、この本を軍医殿に預ける。台座を設置次第、機関科一同に仕上げ作業を行うように、指示してくれ。」


「わかったよ。それともう一ついいかな。」


「どうしたのだ。」


 吾輩は身構えた。この迷宮を、さらに手の込んだものにするのかと思ったからだ。


「そんなに身構えないでいいよ。ちょっと木材を補充しようと思うんだ。艦の資材用にね。」


「ああ、そういう事か。」


「そ。手の空いた人員で、木を伐採しようと思うんだ。」


 吾輩は内心安堵した。至極(しごく)まっとうな考えだったからだ。


「わかった。細かい事は軍医殿に任せる。吾輩はこいつの相方を作らないといけないからな。」


 そう言って人形を見やる。粘土の人形は普通の像のように、佇んでいる。


「わかった。明日以降、伐採の方にも人員を割くよ。」


「そうしてくれ。ただし、森の物の怪などには注意してくれ。」


「それなら大丈夫だよ。既にドリアードを二体、退治しているよ。」


 吾輩はため息をつく。どうやら注意が遅かったようだ。ひょっとして、軍医殿自らが退治したのだろうか。


「できれば、あまり事を荒立てないでくれ。」


「善処ちよう。」


 軍医は大威張(おおいば)りで言う。その姿に一抹(いちまつ)の不安を覚えた。

 ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。


 楽しんでいただけたのであれば、幸いです。


 次回は、迷宮改造の大詰めになります。


 それではまたお会いしましょう。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ