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黄泉軍語り 帰還の導 艦長の航海日誌  作者: 八城 曽根康
第三話 銀山遭難
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第三話 7 迷宮改造工事開始

当小説はフィクションであり、人物、団体、人種は全て架空の物で、実在する物とは一切関係ありません。


この作品は前作「黄泉軍語り 帰還の導 術使いの弟子(https://ncode.syosetu.com/n2119he/)」の続編です。


この作品は「カクヨム(https://kakuyomu.jp/my/works/16816927860866373063 )」に重複投稿しています。


 翌日から乗務員総出で、脱出するための迷宮作りが始まった。


 最初に各々が理力(りりょく)を込めながら装飾品を作る。この件は部下に任せたため、吾輩(わがはい)は監督できなかった。


 次に迷宮の設計だ。迷宮になるコンクリートの建物。この建築物の間取りを調べ、改築を行う。各階の壁を崩し、コンクリートの残骸(ざんがい)と鉄骨を回収する。建物全体に理力をいきわたらせるように、大まかな設計を一晩かけて行う。そして術式や簡単な魔方陣の書き方を伝える。細かい所は現場の同胞に任せる。


 この補修や改装の指揮は、軍医殿と機関長にお願いした。機関長は吾輩ほどでは無いが、術と理力工学に精通している。細かい事はこの二人に一任する。


 そして吾輩は何をしたのかと言うと、呪文集大書の追記と、軍医殿が提示した『ラスボス』について、考えていた。


 呪文集大書については、白紙部分を書き上げて、迷宮の核になる様に仕上げる。


 ラスボスについては、一時間ほど考えた末、粘土の人形を作ろうと思った。幸い粘土は、島の探索時に発見してある。


 この作業には、淺糟(あさかす)軍曹を助手に付ける。術の鍛錬の一つになるだろう。



◇◇◇



 大量の粘土を採取して空き部屋に運び込む。次に“理力の水”を足して粘土を()ねる。そして“乾燥”の術で水分を飛ばす。次に簡単な呪文を書き、粘土人形を形作る術を刷り込む。そして再び“理力の水”を加え、また捏ねる。その繰り返しだ。


 何日も行うと、粘土に多くの理力が蓄積し、術も完成する。そうなるとこの作業は完了だ。


 吾輩達は一〇日間、この作業を行っている。通常はそこまで時間は掛けないが、今回は脱出用の迷宮作

り。できるだけ理力をつぎ込んだ方が良いと、判断したからだ。


黄金石炭鋼(おうごんせきたんこう)を作っているのを思い出します。」


「そうだな。理力を付与するという意味では、確かに似たような作業だな。」


 黄金石炭鋼を作るのと似ているかもしれない。吾輩は淺糟軍曹と黄金石炭鋼を作ってった時の事を思い出す。


「淺糟軍曹。そっちはそろそろ良いぞ。」


 吾輩は淺糟軍曹が捏ねた粘土を確認し、次の段階に移す。


「次は魔方陣だな。そうだな。実地訓練だ。手伝ってくれ。」


「分かりました。」


 魔方陣作成の手伝いをさせる事で、術式に触れさせる。円を描く道具で円を描く。そして指導をしながら、図形や呪文を一緒に下書きをする。最後に、魔方陣が簡単に消えないように、“呪文書き”の術を行使しながら本書きをする。


「魔方陣はこんなものだろう。粘土を魔方陣の中に入れるぞ。」


 吾輩達は、粘土を魔方陣の中に投入して、一塊にする。そして吾輩は“防湿(ぼうしつ)”術を行使する。これで粘土は、数年は乾燥しないだろう。


 次に、魔方陣に理力を込める。魔方陣は光り輝き、稼働状態に入る。


 最後に“自立人形”の術を行使する。ようはゴーレムを作る術だ。吾輩は一時間術を行使し続ける。すると粘土の塊は粘液のように動き出し、人の形に変わる。こうなれば粘土人形の完成だ。


「ようし。これで一体は完成だな。淺糟軍曹。これを軍医殿の所に持って行ってくれ。お前さんの指示に従うように、命令してある。」


「了解しました。」


「それと配置と調整が終わったら、人形は待機させておくように。その後の事は、軍医殿の指示に従ってくれ。」


「人形の配置ですが、どうやって行うのですか。」


 人形の操作までは詳しく教えていない。何故なら、術の教材と考えていたからだ。


「この本を渡す。このしおりが挟んである項目を見てくれ。人形の調整も任せる。できなければ、軍医殿に相談して他人に頼むように。」


 そう言うと吾輩は、呪文集大書を渡す。白紙だった部分には、今回の件で必要な呪文を書き加えている。


「了解。しかし師匠はどうなさるのですか。」


 淺糟軍曹は、吾輩が捏ねていた粘土を見て尋ねる。


「吾輩はその人形の相方を作る。もう少しましな物を作ろうと思ってな。」


 吾輩は残った粘土の塊を見る。どのような造形にするか、少し迷っている。


「了解しました。それでは、人形を軍医様の所に、持っていきます。」


「頼んだぞ。」


 そう言うと、淺糟軍曹は作業場を出ていく。粘土人形はぎこちない動作で後を追う。


「さてと、もう一仕事するかな。」


 吾輩は独り言うと、再び作業に戻る。


 粘土に“流体移動”の術を行使する。本来は液体の移動を行う術だが、粘土やパン生地などの粘性を持つ物体も、形を変える事ができる。


 吾輩は精神を集中させ、粘土を動かす。粘土はまるで意思があるかのように、怠慢な動作で動き出す。粘土は徐々に人の型に変わり、埴輪(はにわ)を形成する。


 次に“乾燥”の術を行使する。ひびが入らないように、粘土を一時間かけてじっくり乾燥させる。


「さて、今日はここまでだな。」


  あとは“理力の炎”で焼き上げ、“強化”の術を施し強度を上げる。それらの作業は明日行う事にしよう。


 吾輩は今後の方針を決めると、この場を後にする。コンクリートの建物の改築は軍医殿に任せてある。


 さて、完成まじかの迷宮とやらを、見に行くとしようか。

 ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。


 楽しんでいただけたのであれば、幸いです。


 次回は、迷宮の紹介になります。


 それではまたお会いしましょう。 

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