第三話 4 思考無線会議 銀山救援
当小説はフィクションであり、人物、団体、人種は全て架空の物で、実在する物とは一切関係ありません。
この作品は前作「黄泉軍語り 帰還の導 術使いの弟子(https://ncode.syosetu.com/n2119he/)」の続編です。
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靖國大佐の航海日誌
六日目。銀山が次元断層に落ちて行った。私は急いで艦隊司令を招集し、救出案を急いで出す。
ペプーリア殿の報告で、島の建物が次元断層の特異点になっている事が判明した。
そして会議の途中で分かった事だが、我々と銀山とは、時間の流れに大きな隔たりがあった。
◇◇◇
「以上が、探索で集めた情報だよ。」
場は艦隊同士の、思考無線越しのオンライン会議。一同は軍医の報告を受けるなか、靖國大佐はこめかみを押さえる。
怪しいのはコンクリート製の建物だけ。そこが特異点だった。
「要はこの建物を、どうにかすればよいという事だな。」
靖國大佐は報告を聞き、先に終着点を導き出す。
「いっその事、爆破しましょうか。」
諏訪中佐が物騒な事を口にする。いささか短絡的だと、一同は腹の中で思う。
「それはやめた方が良いの。物理的な物じゃ解決せんじゃろう。」
浅間中佐が指摘する。次元の歪みは、必ずしも物理的な物と関連する物では無い。
「では、“結界破り”の術はどうでしょう。これの応用で次元断層を形成する力の呪縛を解くのです。」
靖國大佐は思考無線越しに、何かの資料に目を通して考える。
たしかに、最終的に“結界破り”の術を行使すれば、特異点が崩壊し次元断層は消滅すると、頭の隅で考える。
「じゃが、すでに次元断層に落ち込んだ場合は、いささか危険では無いかの。」
「むう。たしかに危険が無いとは言えませんが。」
靖國大佐はさらに別の資料を閲覧する。二人の会話をよそに、何か調べているようだ。
「ふむ。靖國大佐と八坂中佐。先ほどから黙っておるが、何か知恵は無いかな。」
諏訪中佐と浅間中佐の会話が袋小路に入る。打開策を求めて、残りの二人に話題を振ってきた。
「そうだな。次元断層の崩壊については、利用価値がありそうだぜ。崩壊時の力を利用すれば、逆に脱出に使えると思うぞ。」
八坂中佐が答える。思想無線を介して、様々な情報が頭の中に入ってくる。
情報の内容は、結界崩壊時に発生する理力を利用して、忘却の川に浮上する案だ。
よくそんな事を思いつくなと、靖國大佐は腹の底で感心する。しかし、この案を持っても、決定打には欠けるとも思った。
「ですが、崩壊で生じる理力量に不安が残ります。もう少し確実な方法は無いのでしょうか。」
諏訪中佐の意見をよそに、靖國大佐は別の資料に目を通す。
「理力が足りないのであれば、忘却の川から艦隊を用いて、理力を送れば良いと思うがの。」
「おいおい。下手なことすると、火薬庫に爆弾を放り込む事になるぞ。」
浅間中佐の案を八坂中佐が退ける。進展はしたが、再び議論は袋小路に入りそうな予感だ。
その間にも、靖國大佐は別の資料を調べている。この問題の解決案を探るために。
「靖國大佐。何か良い案は無いかのぉ。」
浅間中佐が靖國大佐に話題を振る。ちょうど資料を見終えた靖國大佐は、自身の考えをまとめながら意見を述べる。
「八坂中佐。要は次元断層が崩壊する時の理力が足りない、という事かな。」
靖國大佐は八坂中佐に確認を取る。
「それで間違いないぜ。ただ外から注ぎ込むのは、危険だぜ。」
「なら、内部の力が増せばよいのだな。」
靖國大佐は再び、八坂中佐に確認を取る。
「理論的はそうだぜ。だけど方法はどうする。」
靖國大佐はしばし思案する。そして軍医に問う。
「ペプーリア殿。靖國上級大尉に確認してもらいたい。『呪文集大書』は持っているかと。」
「呪文集大書。」
中佐三人は、声を揃えて言った。何を言っているか分からないと言った表情だ。
「そう言えば曽根康の奴。ガキの頃に呪文のノートを持ち歩いていたな。」
八坂中佐は昔を思い出す。靖國上級大尉が子供の頃に持ち歩いていた、術書についてだった。
ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。
楽しんでいただけたのであれば、幸いです。
次回は話が脱線して、呪文集大書の話になります。
それではまたお会いしましょう。
追記:令和四年五月十八日
ネクロミノリコンを呪文集大書に変更しました。後で考えて、さすがに元ネタに似ていると
分かったため、修正しました。ご迷惑おかけします。




