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黄泉軍語り 帰還の導 艦長の航海日誌  作者: 八城 曽根康
第三話 銀山遭難
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第三話 3 特異点探索

 当小説はフィクションであり、人物、団体、人種は全て架空の物で、実在する物とは一切関係ありません。


この作品は前作「黄泉軍語り 帰還の導 術使いの弟子(https://ncode.syosetu.com/n2119he/)」の続編です。


この作品は「カクヨム(https://kakuyomu.jp/my/works/16816927860866373063 )」に重複投稿しています。


 上陸班は早々に選定された。“飛翔(ひしょう)”の術が行使できる人員は、銀山に九人しかいない。この人員に加え、吾輩(わがはい)自身も参加して、二人一組で、一人が無線機を担ぎながら、空中から島を探査する。


 内火艇(ないかてい)で上陸地点まで行って、各自分かれて探索を行う。


 この探索は艦の観測装置を用いて、並行して行う。そうする事で、特異点(とくいてん)の位置を特定する。


 次に艦から新たに人員を派遣して、特異点を直接探索する。この人員で、特異点の性質を特定する手はずになっている。


 吾輩は淺糟(あさかす)軍曹と共に、空から探査している。日差しは暖かいが風が強い。吾輩達は飛翔の術で優雅(ゆうが)に空を舞い、風を切って力強く飛んだ。


 吾輩達は島の上空に侵入する。島中が森におおわれていて、上空からだといまいち視界が通らない。吾輩達は高度を落とし、低空飛行で森の上を飛行する。


 低空飛行をして一〇分ほど経っただろうか。術の集中が切れそうなので、一度着地しようかと考えていた時、遠くに灰色の建物を発見した。


「銀山。こちら艦長だ。何か灰色の建物を発見した。」


「了解しました。艦長の近くに、特異点らしき反応を確認しました。注意して進んでください。」


「了解した。引き続き探索を行う。」


 吾輩は灰色の建物の近くまで行くと、高度を落とす。飛行して近づいて、侵入を悟られないようにするためだ。木の枝をかき分けて降下し、薄暗い森の中に着地する。


 そして森の中を歩いて進む。地面は枯れ葉と苔に覆われている。歩くたびにカサカサと音を立てる。


 五分ほど歩くと開けた場所に出る。そこは日が差し込んでいる。地面は土がむき出しになっている。


 吾輩の目の前には、三階建ての建物が建っていた。状態は良く、窓ガラスは割れていない。しかし長期間放置されていたのか、あちこち汚れがこびりついている。


「なんだ。この建物は。」


吾輩は建物を遠くから観察する。石のようにも思えたが、ヒビに白い吹き出物がこびりついている。


「石のような建物だが、石ではなさそうだな。」


「この建物はコンクリート製です。」


「そうか。これがコンクリートか。」


 吾輩の疑問に淺糟軍曹が答える。閉じた世界で生を受けた吾輩にとって、コンクリートは未知の建材だった。



◇◇◇



「銀山。こちら艦長。三階建ての建物を発見した。そちらの観測結果はどうだ。」


「恐らくそれが特異点です。しかしこちらからでは、詳細の情報は確認できません。」


「了解。こちらでも少し調べてみる。」


 吾輩は無線機を切ると、(あご)に手を当てて考える。だがすぐ考えるのを止めて、淺糟軍曹に質問する事にした。


「淺糟軍曹。おまえさんは、コンクリートの建物を見たことがあるな。お前さんから見て、この現状をどう思う。」


 コンクリートの建物は、吾輩にとって未知の物だ。それなら実物を知っている淺糟軍曹に聞いた方が、違和感なり何か分かるかもしれない。


「どう思うと言われましても。少し時間をください。」


「分かった。吾輩の方でも術を使って確認してみる。あまり建物に近づくんじゃないぞ。」


 淺糟軍曹はその場で建物を観察する。じっと凝視しているのを見ると、“遠目”の術で観察しているのだろう。


 吾輩はいくつか術を行使する。最初に“生命探索”の術を行使する。術の結果、注意すべき生命体はいない事が分かった。


 次に、“幽霊探索”の術を行使する。霊的な者を探す術だ。その結果、死霊や魑魅魍魎どころか、お化けの類はいないことが確認できた。


 さらに、“理力(りりょく)探索”の術を行使する。その結果、過去に大きな理力を受けた痕跡を発見できた。


 吾輩は淺糟軍曹の方に歩み寄る。


「ちょっと無線機を借りるが、淺糟軍曹。何か分かったかな。」


 吾輩は無線機を使う前に、淺糟軍曹に尋ねる。


「そうですね。僕が思うに、元々この場所には、この建物は無かったと思います。舗装(ほそう)された道路も無い場所です。そんなところにコンクリートの建物が立っているのを、僕は見たことがありません。」


「そうか、ありがとう。」


 淺糟軍曹の回答を得て、吾輩は無線機で銀山と連絡を取る。


「こちら艦長。この建物は、過去に大きな理力を受けた痕跡を発見した。推測だが、どこからか建物が転移した可能性がある。それと、生命反応と霊魂の反応もない。」


「了解しました。現在上陸班を編成しています。そちらに向かわせますので、一度帰還して下さい。」


「了解した。」


 吾輩は無線機を切る。そして建物を一瞥すると、建物に背を向ける。


「淺糟軍曹。一度銀山に帰還するぞ。」


「了解しました。」


 そう言うと吾輩達は“飛翔”の術でふわりと飛び上がる。コンクリートの建物は日の光を浴びて、そこに佇んでいた。


 ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。


 楽しんでいただけたのであれば、幸いです。


 次回は場面が変わり、思考無線会議になります。


 それではまたお会いしましょう。 

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