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黄泉軍語り 帰還の導 艦長の航海日誌  作者: 八城 曽根康
第二話 初めの世界への訪問
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第二話 11 初めの世界沖海戦の結果

 当小説はフィクションであり、人物、団体、人種は全て架空の物で、実在する物とは一切関係ありません。


この作品は前作「黄泉軍語り 帰還の導 術使いの弟子(https://ncode.syosetu.com/n2119he/)」の続編です。


この作品は「カクヨム(https://kakuyomu.jp/my/works/16816927860866373063 )」に重複投稿しています。


「敵艦殲滅。(けが)れの反応はありません。」


 靖國(やすくに)大佐は唯乃(ただの)副長の報告を聞きながら、船外探知装置を使っても駆使する。唯乃副長の報告通り、敵艦の姿はない。念のために“穢れ探知”の術を行使するが、穢れの反応は消滅していた。


「第一種戦闘配備を解除。警戒態勢で初めの世界を脱出する。それと唯乃副長。」


「はい。」


 靖國大佐は艦長席を立ちあがる。そして一瞬だけ動作を止める。その瞬間に思考した後、命令を下す。


「他の艦艇の損害が知りたい。他の艦隊と連絡を取って、確認を行ってくれ。」


「了解。損害の確認を行います。」


「頼んだぞ。」


 靖國大佐はそう言うと、艦長席に再び座る。そして背もたれを倒すと、横になって目を閉じた。



◇◇◇



 靖國大佐は目を閉じて思案する。


 魔訶不思議(まかふしぎ)装置の件についてだ。


 摩訶不思議装置の性能は、靖國大佐の期待を、良い意味で裏切っていた。


 術を増幅させる装置。その効果は期待以上で、使い方によっては応用が利く。それが靖國大佐の評価だ。


 この装置は、八坂(やさか)中佐が開発した装置だった。その効果は先ほど示した通り、個艦規模に術を増幅させる。


 八坂中佐が残留派を黙らせる代わりに、この装置の搭載を強行した時は、どうした物かと靖國大佐は思った。


 それだけに反省点がある。簡単に言えば、己の艦の性能を十分把握していなかった点だ。もし実力を発揮できずに轟沈しようものなら、目も当てられない。


 摩訶不思議装置は調整の連続だった。そのため、とても実用に耐えうるものではなかった。


 しかし調整が済んだ後、試験動作を行っただけで、何ら実戦での使用を考えていなかった。後回しにしていたのは事実だが、時間はあった。


 そう言った意味で、艦の実力を十分に発揮しないまま、戦闘をしていたのだ。


 足枷(あしかせ)をして(いくさ)をする愚か者が、どこにいるというのだろうか。




◇◇◇




「艦長。各艦隊の報告、まとめました。」


 唯乃副長の報告によって、靖國大佐の思考は内から外へと向かう。


「唯乃副官か。で、どうだったのだ。」


「沈没した艦はありません。大破一。小破が二〇です。」


 懸念が当たってしまったな。靖國大佐は心の中でつぶやく。しかし小破が二〇と言う数値に、内心驚いている。


「詳細を聞きたい。どの艦が大破したのだ。」


「輸送艦隊の双胴駆逐艇二二〇一号艇です。敵艦の砲撃で、右艦首が吹き飛んだそうです。それ以外の船体は無事で、現在工作艦で修理中です」


 靖國大佐は駆逐艦の損傷を想像する。工作艦泊地富士(はくちふじ)で修理する場合、最短で五日くらいだろうと計算する。


「乗員の状態はどうだ。」


「近くの機銃座の射撃手が重傷を負いましたが、戦死者はいません。不幸中の幸いです。」


「まったくだ。で、小破二〇の損害はどうなのだ。」


 靖國大佐は、頭が重くなる錯覚(さっかく)を覚える。内容によっては、大規模な対策が必要だからだ。


「小破の全ては、摩訶不思議装置の損傷です。銀山と同様、過負荷で損傷させてしまったようです。」


 靖國大佐はため息をつく。ある意味安心したからだ。乗員の練度や艦の欠陥によるものではなかったからだ。


「対策が必要だな。さし当たっては、修復を済ませておくように伝えてくれ。確か予備の装置の在庫があったな。それで修復するように伝えてくれ。」


「了解しました。」


 靖國大佐は腹の底でつぶやく。対策は過負荷を掛けない事だろうと。試作兵装の域を出ない装置だ。実用化には時間が必要だと。


「摩訶不思議装置自体は、それほど大掛かりな装置では無かったな。修復しながらの航行は、可能だったと思うがどうだろうか。」


「予備の装置さえあれば、十分可能かと思います。」


「では、装置の受け渡しが済み次第、帰還を再開する。」


 靖國大佐は軽く深呼吸をして、気持ちに一区切りつける。


「しばらく休む。唯乃副長、艦の指揮をしてくれ。」


「了解しました。」


 そう言うと、靖國大佐は戦闘指揮所を後にした。

 ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。


 楽しんでいただけたのであれば、幸いです。


 次回は、第二話の締めになります。


 それではまたお会いしましょう。 

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