第一一話 7 巨大円盤。現在降下中。
この作品は前作「黄泉軍語り 帰還の導 術使いの弟子(https://ncode.syosetu.com/n2119he/)」の続編です。
「面倒な事になったな。でかブツじゃないか。」
星間列車を修理中の靖國上級大尉は、巨大な生体反応を感知する。それが飛行してこちらに向かってくる。修理途中の星間列車の探査装置の情報だ。しかもはるか上空で、その距離は上空七〇〇キロメートルだと言う。
吾輩はこれらの情報を天の火に送信した。そして帰ってきた情報によると、敵巨大円盤がこちらに向かってきているという内容だった。しかも二機だ。
実際に目視したわけではないが、本国由来の情報と照らし合わせて、ほぼ間違いないという事だ。
「接敵まであと五分。応急修理にぎりぎりの時間じゃないか。」
「もへへ。五分で完了するんだにゃ。」
「その声は軍医殿か。何でここにいる。」
そう言った直後、吾輩の頭上を蒼と碧の戦闘機が飛ぶ。軍医殿の戦闘機だが、いつの間に来たというのだ。
「ぽへ。直掩を抜け出してきちゃったね。その状況だと状況はとっても悪そうだにぇ。」
「敵円盤は後続に向かっていったはずだぞ。こっちに来て良いのか。」
天の火の直掩。重要な仕事を放りだした軍医。一体何を考えているのかと思ったが、軍医の考えがあるのだろう。
「チミ。状況を改善するために、抜け出してきたに決まってるじゃにゃいか。あ、みんなには言ってあるよ。」
「で、なにをどうするというのか。」
「先手をとるにぇ。チミのロボット。確か余計な改修はしていなかったよにぇ。」
◇◇◇
吾輩は星間列車の修理を中断して、タイタンの空を上っている。軍医殿の戦闘機と一緒に。
この四足ロボットは宇宙用だが、同時に大気圏離脱能力も有しているようだ。
軍医の話だと『国際宇宙すてーしょん』なる基地の高度まで登れるが、規模が良く分からず理解が出来ない。
とにかく、降下中の敵巨大円盤を迎え撃つ。そのための戦力として、吾輩と軍医殿の二名で向かう。
吾輩は武装を確認する。左右の三五粍短機関銃の弾も十分残っている。肩の二連装七六粍榴弾砲に至っては、一発も使っていない。
大まかな行動は次の通りだ。
二機の巨大円盤の内一機は、軍医殿の対艦誘導弾四発全てを撃ち込む。それで早々に撃墜する。そしてもう一機は吾輩の担当だが、それは行動で示していこう。
上空に多数の生体反応を感知する。どれも小型の物だ。
「もへへ。親機から子機が御登場だにぇ。第一波の物より小型だからぁ、まだ稚魚だったのかにゃ。可愛らしいと言うには、ちと大きいけどにぇ。」
吾輩は左右の三五粍短期間拳銃の引き金を引く。稚魚というだけあって、一発被弾しただけで哀れにも四散する。
「ほへ。普通、親鳥が小鳥を守るはずだけどにぇ。この状況はあべこべだねぇ。」
軍医殿も無駄口を叩くと、何もない翼のハードポイントに、無誘導噴進弾発射装置が六機、虚空から出現する。
装備を何処からか出現させるのは便利だと思っていると、無誘導の噴進弾が一斉に発射され、突っ込んできた稚魚達を、次々と撃ち落としてく。
「もへ、親鳥を補足したにぇ。さぁて、射程までもう少しだぁ。」
そう言うと、無誘導噴進弾発射装置は霞のように消え、代わりに四発の対艦誘導弾が、虚空から出現した。
ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。
楽しんでいただけたのであれば、幸いです。
次回は、巨大円盤をどう調理するか。
それではまたお会いしましょう。
追記:今後の投稿は不定期になるかもしれません。今後投稿される場合、土曜日の21時に投稿になります。誠に申し訳ございません