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黄泉軍語り 帰還の導 艦長の航海日誌  作者: 八城 曽根康
第一一話 橙の大気とメタンの海の地 タイタン
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第一一話 4 青空は澄み、道のりは平坦のはずだが

この作品は前作「黄泉軍語り 帰還の導 術使いの弟子(https://ncode.syosetu.com/n2119he/)」の続編です。

「もへへ。天の火の艦長。作戦通り信号を出してにぇ。返信が返ってくるから、注目すべしだよ。」


 衛星タイタンに進入した直後、軍医は間髪入れず指示を飛ばす。直後、指示通りに天の火から信号が三回発信される。


 そして腹の底で10数えた直後、返信の救難信号が返ってくる。


「距離12000。二時の方角です。」


「みんな聞いたにぇ。機動兵器とブーブーは直ぐ発艦ちてちょ。」


「了解。」


 吾輩(わがはい)は返答すと同時に、天の火の艦首甲板から飛び降りる。そして着水する直前で、四脚の足をいっぱいに広げる。機体はふわりと空中で制止し、機体を前方に少し傾けると、その方向に加速をし始める。


 吾輩の後方には、二脚の機動兵器と戦車群。機動兵器は空中で跳躍(ちょうやく)を繰り返すように飛び、戦車達は“水上歩行”の術で、水飛沫を後方に飛ばしながら、力強く走る。


 軍医が後方から、奇声を上げながら吾輩達を飛び越える。他の軍用機も順次発艦していた。



◇◇◇



 空は(すみ)み渡り、水面を上がり平野を行くが、道中は穏やかでは無かった。正確には『吾輩と以外』、だ。吾輩は問題ない。


 二脚の機動兵器は当初走っていた。しかし重力が六分の一の大地では、上手く走れなかった。結局、兎跳びをしながら、吾輩の後に付いてくる。


 戦車達も悪戦苦闘をしていた。やはり重力が軽いのが原因だ。ちょっとした段差でも、車体はふわりと浮かび上がり、豪快に着地をする。


 よく見ると軽戦車の一両は、まったく浮き上がらず、接地して爆走している。“壁歩き”の術で地面に接地していることは、吾輩にはすぐに分かった。


 (だいだい)の空の連中も色々苦戦している。


 重力が少なく、少量のメタンと大量の窒素の大気。しかも気圧も地球より強い。推進力自体は理力による斥力推進だ。だがちょっと速度を出すと、すぐに高度が狂ってしまう。


 航空機連中は、勘と手動操作で慣らしている最中だ。


 天の火の巨大な船体も、浮遊移動に苦戦している。目に見えるほど上下に振幅して、高度の維持に細心の注意を払っている。


「こりゃ苦戦するねぇ。上級大尉は大丈夫そうだねぇ。ちみ、先に行ってちょ。」


 結局、一番安定に移動できる吾輩が、先行することになった。警戒するにしろ、修理を開始するにしろ。先行して損はないだろう。



◇◇◇



 しばらく先行すると、同胞の生命力を探知する。そしてその方向に視野を向け、遠目の術を行使する。長細い箱状の物が、三つ縦に繋がっている。資料で見たあれが、星間列車だろう。


 同胞の生体反応の数は九つ。全員生存を確認した。


 しかしその直後、生体反応の数が約五倍に膨れ上がる。星間列車のはるか先からだ。


 視線をそちらに向けると、銀色の皿状の円盤が、今まさにこちらに向かってきていた。


 吾輩はため息をついた。あの円盤は、自称宇宙人の物だったからだ。


ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。


楽しんでいただけたのであれば、幸いです。


次回は、自称宇宙人との遭遇戦です。


それではまたお会いしましょう。


追記:今後の投稿は不定期になるかもしれません。今後投稿される場合、土曜日の21時に投稿になります。誠に申し訳ございません

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