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黄泉軍語り 帰還の導 艦長の航海日誌  作者: 八城 曽根康
第一〇話 本国の補給物資
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第一〇話 5 タイタン行きと補給艦

この作品は前作「黄泉軍語り 帰還の導 術使いの弟子(https://ncode.syosetu.com/n2119he/)」の続編です。

「土星の衛星タイタンですか。果たして水はあるのでしょうか。水が無いと進入できません。」


「もへへ。水は氷になるねぇ。だけどメタンの海ならあるんだにゃ。これが。」


「ふむ、ところで船の気密性じゃが、大丈夫かの。」


「対(けが)れ用の船体保護が役に立つ。気密性については問題ないだろう。」


「ちょっと待てよ。確かに気密性はあるがよ。気温が低すぎる。艦隊の総点検が必要になるぜ。」


 場所は艦隊司令官達の思考無線会議。そこに外の世界に詳しい軍医を交えて、論争が行われている。


 議題は土星衛星タイタン行きの航路。二ヶ月の航路短縮にはなるが、全く未知の環境を通ることになる。


 それだけでも問題なのに、さらに一つ、面倒事が存在した。


「それにしても我らの同胞が、不時着したとはのぉ。救助に対して、本国は無理強いしておらんかったがの。」


「だが、見捨てる事を前提にもできないだろう。ただでさえ閻魔(えんま)殿に品定めされているからな。」


 浅間中佐の台詞に、靖國大佐がこめかみを抑える。航路と一緒に付属していた情報で、同胞が衛星タイタンに不時着した。それは補給艦が出航する直前の、五日前の出来事だ。


「補給艦が出航したのが五日前。聞けば無茶な航路を通って、四つの悪魔機関の内、一つが使用不能。綺麗な船体の裏で、悪魔機関はボロボロです。」


「技師に見てもらったが、大掛かりな整備点検が必要だな。一週間ほどかかる目算だな。」


「もへ。靖國(やすくに)大佐は、何か再利用案があるのかにゃ。」


 合流した輸送艦に対し、諏訪中佐が遠回しに自沈処分を呈しているのに対し、靖國大佐は何か再利用方法を、模索しているようだ。


「しっかしよ。本国で建造した星間列車か。確かに理論的には可能だが、ちょっと欠陥があるぜ。図面見たがよ。」


「ほへ。理力(りりょく)工学の権威の意見にゃら、間違いない様だねぇ。」


 本国で建造した星間列車の運行試験。軍機に属する物だが、人類を出し抜くために、精力的に宇宙進出を模索していたようだ。


 しかし車体制御系の欠陥(けっかん)で事故が起こり、土星衛星タイタンに不時着。そして不時着地点の情報を本国に送信した結果、偶然にも忘却の川の航路を発見した次第だ。

「ふむ。それで靖國大佐。お主はどうするのじゃ。補給艦の用途とタイタン行きの航路。」


 二つの案件が並行議論されている中、らちが明かないと思った浅間中佐が、最高責任者に判断を促

す。


 靖國大佐は、一息ため息をついて後頭部を掻く。


「航路の分岐点は2日後だろう。各艦、気密性と穢れ用の船体保護の再点検。本国からの補給艦は、旗艦希望が牽引する。タイタン行きの航路に変更するが、皆の意見を聞きたい。」


ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。


楽しんでいただけたのであれば、幸いです。


次回は場面が変わり、双胴巡洋艦銀山。そこで補給物資達の面々との会話になります。


それではまたお会いしましょう。


追記:今後の投稿は不定期になるかもしれません。その場合、木曜日の21時に投稿になります。誠に申し訳ございません

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