表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黄泉軍語り 帰還の導 艦長の航海日誌  作者: 八城 曽根康
第一〇話 本国の補給物資
119/134

第一〇話 3 機密にされていた補給物資の正体

この作品は前作「黄泉軍語り 帰還の導 術使いの弟子(https://ncode.syosetu.com/n2119he/)」の続編です。


「布切れの奥に神霊(しんれい)がおられる。これが補給物資の本命か。」


「もへへ。上級大尉はそちらに興味津々だねぇ。」


「軍医殿。補給物資の中身、知っていたのか。」


「うんにゃ。ただねぇ。知人だニャーって思ってねぇ。」


 吾輩(わがはい)は格納庫を仕切る布切れの奥に、無数の神霊の気配を感じ警戒する。神霊の気配はするが、その正体は当然分からない。


 しかも軍医殿は知っていて、しかも知人と言っている。軍医殿の交友関係、いったいどのような物か。気にならない訳でもない。


「さぁてと。いつまでも布の向こう側で考えてないで、答え合わせと行こうかにゃ。」


 そう言うと、軍医殿は垂れ布をくぐり抜け、中に入ろうとするところで、吾輩に手招きをした。



◇◇◇


「これはまた、すごいな。」


 吾輩は神霊の正体を見て、しばし驚く。


 まず目に入ったのは紅色(べにいろ)の戦車。車体は中戦車だろうか。無限履帯が金色なのを見ると、履帯のみが黄金石炭鋼製だろうか。先ほどの金色の軽戦車より、一回り大きい。力強い、そして堅牢なご神体と言うべき異様だった。


 そしてもう一つは紅色とは対照的な、漆黒(しっこく)の戦闘機。大きさは軍医殿の戦闘機より、二回り大きい。


 二枚の垂直尾翼が傾いていて、ステルス性も配慮されている。しかし、ところどころ張り付けられた黄金石炭鋼の装甲が、漆黒の隠密性を台無しにしている。


 そして格納庫の壁には、所狭しと神棚が立てかけられている。神棚、神棚、神棚。その数は百に及ぶだろうか。もちろん、その神棚一つ一つに、神霊が祭られている。


「すごい神霊の数だな。それで結局、これは何なのだ。軍医殿。」


「もへへ。見て分からにゃいかな。これ全部、ご神体だよ。お宮さんだけじゃなくて、戦車や攻撃機も含めてね。」


「あの黒い軍用機は、攻撃機だったか。しかし、戦車や戦闘機の神は聞いた事ないぞ。」


 吾輩はそう言いつつも、それらの兵器の神霊を感じ取っていた。軍医殿の言っている事は、間違っていないだろう。


「もへへ。新しい八百万の神だね。三八式水陸両用試作戦車と四四式試作攻撃機だね。両方とも量産を見送られたせいか、神格を得やすかったのかにゃ。二つとも活躍したからねぇ。」


 吾輩は戦車と攻撃機の資料を受け取ったが、資料を見るのを後回しにする。


「それは置いておく。もう一つ、壁にかかっている神棚の数。あまりのも多いな。これは何なのだ。」


 百にもせまる、壁に掛けられた神棚。正確に数えたわけではないから、百以上あるかもしれない。


「そうだねぇ。これ、全部八ヶ城様の分霊だねぇ。全部で一〇八体。」


「八ヶ城様とは、あのオオカムヅミの命の事か。」


 吾輩はそう呟きながら、格納庫をもう一度見渡す。


 なるほどな。これだけの神霊の派遣。封印もだが、物資の機密も納得のいくものだった。


ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。


楽しんでいただけたのであれば、幸いです。


次回は場面を変更して無線会議。本国から提示された斜め上の案に、首脳部が頭を悩ませます。


それではまたお会いしましょう。


追記:今後の投稿は不定期になるかもしれません。その場合、木曜日の21時に投稿になります。誠に申し訳ございません

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ