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黄泉軍語り 帰還の導 艦長の航海日誌  作者: 八城 曽根康
第九話 決戦。ミサイル艦隊対帰還艦隊。
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第九話 11 おそらく、当初からの予定と考え

この作品は前作「黄泉軍語り 帰還の導 術使いの弟子(https://ncode.syosetu.com/n2119he/)」の続編です。

「軍医殿。駆逐艦檜の生存者。回収してきたぞ。じきに大発が到着する。」


「ほへ。ご苦労さん。誘導弾の歓迎会。ちょうど終わったところだねぇ。」


 軍医殿から知らされた、事実上の迎撃終了。予定ではこの後、第一護衛艦隊が敵艦隊に突入することになっている。


「生存者九六名。内、負傷者が三五名で重傷者が六名だ。手当の手配を頼む。」


「うんにゃ。大発は他の艦に回収してもらうよ。ボク達は殴り込みに編成されたよ。」


「何だと、突入艦隊は第一護衛艦隊の役目だろ。どうしたというのだ。」


 敵艦突入は、旗艦希望と第一護衛艦隊の戦艦、巡洋艦で行う手はずになっている。それが予定変更になったという事は、何かあったという事だ。


「巡洋艦神坐(かみざ)。艦首が吹き飛んだようだね。航行に支障が出るから、出撃できないって。」


「それならほかの巡洋艦があるだろう。第一主砲が損傷している我が艦が、あえて出る必要はないだろう。」


 敵艦隊への攻撃。これは打撃力の強い第一護衛艦隊が、殴り込むことになっている。


「敵艦隊の電子装備、予想より強力なものみたいだね。そこで銀山の能力を持って、電子装備を無効化することに変更したよ。理力を総動員するお達しだよ。」


 吾輩は軍医殿が差し出した、板型携帯端末に目を通す。そこに記載されていたのは、変更された命令書だった。命令書の変更時刻は、吾輩が救助に向かった直後だった。


 内容は銀山の能力を総動員して、敵の電子機器を無効化する。そして無効化にした直後に、ダメ押しで敵艦の原子炉の停止を試みる。それらが終わってから、敵艦隊に急行して、手分けして艦砲射撃を行うことになっていた。


 電子装置の無力化は、銀山以外には天の火にしかできない。そして天の火は、現在輸送艦隊と共に、はるか後方にいる。


 作戦中の命令変更。靖國(やすくに)大佐の事だから、この変更は当初からの予定だったのだろう。吾輩はそう結論付ける。


 多分、数通りの案を講じているだろうが、他人にはあまり言わない。そのため周りから見ると、直前で予定を変更させる、迷惑な人物にも見える。


 命令書をもう一度見直す。見直して、銀山が砲撃に加わらないことを確認する。


「第一主砲の損傷。大丈夫なんだろうか。」


「それは問題ないにょ。砲塔の損傷のみで、第一主砲は閉鎖してあるよ。弾薬も搬出済みだよ。おまけに“結界”の術で、封印も施してあるよ。だからあの区画の防御力は、むしろ上がっているね。」


「そうか。第一主砲は術で封印したか。」


 区画の封印が容易なように、帰還艦隊の艦艇は設計してある。本来は、火災や浸水時の隔壁と同じ働きをするものだ。


 軍医殿の言う防御力も上がる。だが、一度封印すると、封印を解くのが面倒だ。そしてそれは、第一砲塔の修理の難しさにも直結する。


「あ、そうそう。上級大尉には、妨害時に術を行使してもらうよ。だから艦の指揮はボクに任せて、少し休みたまえ。」


「分かった。そうさせてもらおう。」


 吾輩は軽いため息をつくと、理力回復薬を一気飲みする。そして、魔法銀の重皮鎧を身にまとった体を、艦長席に座らせる。椅子は重さに悲鳴を上げたように思えたが、おそらく気のせいだろう。



 ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。


 楽しんでいただけたのであれば、幸いです。


 次回は、ようやく反撃に転じます。


 次回の投稿は、五月十一日なります。


 それではまたお会いしましょう。

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