第九話 9 輸送艦隊直属 檜型駆逐艦一番艦『檜』
私事で連絡なく投稿を休んだことを、お詫びいたします。
この作品は前作「黄泉軍語り 帰還の導 術使いの弟子(https://ncode.syosetu.com/n2119he/)」の続編です。
輸送艦隊直属の檜型駆逐艦、一番艦檜。本国から送られてきた、旧式の駆逐艦。この艦は今、瀕死の瀬戸際にあった。
一本目の誘導弾が命中して、念力防壁を剥ぎ取る。そして二本目が、艦の中央に命中して、爆炎と火柱が船体を覆う。
前と後ろ、二つの船体に衝撃が走る。乗員は未知の衝撃に皆驚く。
そんな中、艦中央部に目を向けるとしよう。
煙が晴れると、艦は二つに分かれていた。艦中央部を大きく吹き飛ばし、艦は強度を保てず、艦は折れ、前部と後部で二つに分かれる。
艦中央部にいた一〇名のうち、不幸な二名が挽肉になり、三人が意識不明の重傷になる。その内の一人は忘却の川に投げ出され、忘却に落ちていく。
やや幸運な四人は、艦の壁や天井に叩きつけられ、全身打撲になる。一番幸運な一人は、三六〇度ひっくり返るが、奇跡的に軽傷だった。
その情報は思考無線を通じて、艦の乗員に伝わる。幼い二等兵は同胞の死に半ば混乱し取り乱す。若い一等兵は上官の制止を聞かず、一目散に現場に向かう。経験豊かな初老の曹長は部下を落ち着かせることに成功する。
そんな中、青二才の大尉の一喝が、思考無線を通して飛ぶ。被害報告と迎撃継続。そして乗員の救助の命令を下す。
そして艦長は、船体が二つに折れていることを確認する。艦の損害を確認した艦長は、最善と思われる方針を打ち出す。
船体前部を放棄。船体前部の生存者は、直ちに退艦するように指示を出す。動力が伝わらず、非常動力も長くはもたないからだ。それと同時に、最も近くの艦である銀山に救助要請を出す。
艦長は後部主砲で生存している部下に、色々と確認する。
生存者は何名か。その中で戦闘可能な者は何名か。主砲の状況はどうか。各艦とのデータリンクの情報は届いているか。
そして、たった一基の悪魔機関が稼働しているのを確認すると、戦闘継続を支持する。
残った後部主砲を用いて、引き続き誘導弾の迎撃を続行。速やかに浸水を修復し、応急処置を済ませるよう指示を出す。
退艦作業出しながら一通り指示を出し終える。そして副長に退艦を指示し、一台の大発に乗船する。大発は離れ離れになった艦後部の横に着ける。
艦長は泣き別れになった船体後部に乗船すると、負傷者を大発に乗せるように指示する。そして自身は、後部主砲に入っていき、生き残りと戦闘を続ける。
艦長の仕事はまだ終わっていない。未熟な艦長は己と部下を鼓舞し、勇ましく指揮を続けるのであった。
ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。
楽しんでいただけたのであれば、幸いです。
次回も、駆逐艦ヒノキの現場が続きます。
次回の投稿は、四月二十日になります。
それではまたお会いしましょう。