表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黄泉軍語り 帰還の導 艦長の航海日誌  作者: 八城 曽根康
第九話 決戦。ミサイル艦隊対帰還艦隊。
103/134

第九話 8 被弾現場。銀山第一主砲。

この作品は前作「黄泉軍語り 帰還の導 術使いの弟子(https://ncode.syosetu.com/n2119he/)」の続編です。


 銀山の第一主砲に大きな穴が開く。二五ミリの黄金石炭鉱(おうごんせきたんこう)斥力装甲(せきりょくそうこう)は、求められた弾片防御の能力を超えた攻撃により、軽々と砕かれた。


 対艦ミサイルの衝撃で銀山の念力防壁は四散し結界が敗れる。銀山は今、危機的状況にある。


 そんな中、開いた穴を覗くと、二人の黄泉軍の影が映っていた。



◇◇◇



「痛いよぉ。」


 二等兵の泣く声。左腕を押さえて痛みに耐えている。何とか立っているが、痛みで震えてよろよろと立ち上がる。


 壁に穴が開き、装甲は景気よく吹き飛び、破片があちこちに散乱している。


 電子装置である射撃装置の端末は、激しい衝撃で中身が飛び出て、使用不能になっているのが、一目瞭然だった。


 砲弾を供給する自動装填装置は、奇跡的に無傷だ。しかし、外見上だけの見かけだけなので、これも使えるかどうかは不明だ。


 そして二等兵は浅糟(あさかす)軍曹の姿を見て、絶句する。


 浅糟軍曹の足元に、大きな血だまりが広がっていた。そして血が、一滴、また一敵と、血だまりに落ちていく


 浅糟軍曹は立っていた。左腕には大きな金属片が食い込んでいる。そして応急処置と言わんばかりに、傷口に乱暴に傷直しの霊薬を塗る。


「軍曹。ご無事ですか。」


 二等兵の問い。それは悲鳴に近かった。


「意識はある。多分大丈夫だよ。だから心配はないよ。それよりも止血を手伝ってくれないか。医療箱はあそこにある。」


 そう言って二等兵をなだめて、医療箱を指さす。


 二等兵は泣きながら、医療箱の中身を取り出す。


 浅糟軍曹は内心の不安を押し殺し、上官としての責務を果たそうとする。


「伍長。上等兵。一等兵。弾薬庫の方は無事か。」


「こちら弾薬庫。こちらは全員無事です。衝撃はありましたが被害はありません。」


「けが人はいないのだな。」


「はい。たんこぶはできていますが、全員健在です。」


「そうか。それならよかった。」


 慣れない手つきで、はさみで左袖を切っている二等兵をよそに、浅糟軍曹はホッとする。どうやら、地獄図はここだけだと認識する。


 浅糟軍曹は不器用な止血を確認すると、金属片を引き抜く。金属片は簡単に抜け、血が徐々にあふれていく。


 浅糟軍曹が傷薬の霊薬を傷口に塗ってから、涙が出そうな二等兵は、不器用に止血作業を行う。


「こっちはかなりやばい。すぐに衛生兵を呼んでくれ。僕も二等兵も負傷している。」


「了解。すぐに手配します。」


 連絡を終えると、浅糟軍曹は空いた穴を見る。視界に入った一隻の駆逐艦にちょうど誘導弾が命中する。



◇◇◇



 爆炎が遠くから確認できた。恐らく現場は、ここより地獄図になっていると、浅糟軍曹は思った。


「軍曹。味方の艦が。」


「大丈夫だ。我が艦隊は、簡単に沈みはしない。」


 浅糟軍曹が断言したが、ここからでは様子が分からない。だが、念力防壁が剥がれるのが見えた。恐らく次は無いだろう。


 浅糟軍曹はそんなことを考えながら、片手で二等兵の止血作業を手伝った。



◇◇◇



 戦場では無数の閃光と、それに射抜かれる誘導弾の演劇が続いていた。そしてそんな中、もう一本の対艦誘導弾が忍び寄っていた。


 そして再び味方の駆逐艦に対艦誘導弾が命中し、再び爆炎をあげた。



 ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。


 楽しんでいただけたのであれば、幸いです。


 次回は、誘導弾が命中した駆逐艦の現場になります。


 次回の投稿は、四月十三日になります。


 それではまたお会いしましょう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ