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黄泉軍語り 帰還の導 艦長の航海日誌  作者: 八城 曽根康
第九話 決戦。ミサイル艦隊対帰還艦隊。
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第九話 5 第一主砲では慌ただしく

この作品は前作「黄泉軍語り 帰還の導 術使いの弟子(https://ncode.syosetu.com/n2119he/)」の続編です。


 艦隊編成が急速に行われる。戦艦希望、第一、第二護衛艦隊と第一探査艦隊を一つに編成する。そして輸送艦隊の護衛艦艇を、第二護衛艦隊の指揮下に置く。戦艦が攻撃に移った時、小型艦艇を指揮するためだ。


 艦隊の再編を行っている間でも、兵員の休息と戦闘準備を同時に行っていく。


「伍長さん。理力(りりょく)集束装置、調整は済みましたか。」


「再調整、完了しました。一分の狂いもありません。」


「軍曹。艦外観測機の点検、終了しました。壊れかけの部品がありましたので、交換しておきました。」


「ご苦労様。上等兵さん。壊れた部品は再利用箱に入れておいて下さい。二等兵。砲の照準器。そっちの点検は終わっているかな。」


「軍曹。第三砲身の照準、許容範囲内の狂いが生じています。たった今調整しましたが、前回の戦闘より酷くなっています。」


「調整ご苦労。修理依頼は上にあげてある。今回は間に合わなかったから、それでやるしかないよ。」


「軍曹。便所行ってきます。」


「一等兵。とっとと行ってこい。」


 場所は双胴巡洋艦銀山の第一主砲。浅糟(あさかす)軍曹は装置の点検をしながら、部下に指示を出している。


 人手が足りない。浅糟軍曹は内心毒づく。せめて後二人。いや、一人でもいればそれで部署を回せると、腹の底で文句を言う。


 もっともこの話は浅糟軍曹の部署だけでなく、艦隊全体に言える話だった。


 艦に対して人員が少ない。いや、逆に人員に対して艦が多い。そんな錯覚を、浅糟軍曹は受けている。


 艦の半自動化は施されているため、艦の航行自体は、それほどの人員を必要としない。


 しかし、戦闘となれば話は別だ。


 戦闘時の配備のたいして人員は足りない。そのため、戦闘時の対応に不安が残るのが、浅糟軍曹の愚痴だ。


 これは駆逐艦以下の小艦艇でも同様で、各々が人手不足の不満を表明している。


 その一方で、戦艦には必要十分な人員が割り当てられていると聞く。無論単なる噂だから真意は不明だが、正直、あまり良い噂ではないと、浅糟軍曹は思っている。


 単なる噂でも不満は残る。事実ならなおさらだ。


 無論、戦艦は帰還艦隊の切り札で、それが機能しないのは大問題だ。浅糟軍曹にはそれは分かっていたから、その件はあえて口にはしていない。もっとも、全ての同胞がそれを理解しているかは、別の話だ。


「お疲れですかな。浅糟軍曹。」


 年配の伍長は木の湯呑を持ってくる。中には冷えた緑茶が入っている。砲塔内だが、緑茶の給水機が備え付けられている。


「ありがとう。伍長。まあ、いろいろと忙しくなったからね。」


「しかし、人員が少ないですな。あと一人二人いれば、少しは余裕ができるのでしょうが。」


「どこも同じ状態だから、愚痴を言っても始まらないよ。」


 そう言うと、浅糟軍曹はいろいろな感情を混ぜて、ため息として長く吐き出す。愚痴を言っても始まらない。今は目の前の仕事に取り組むことに集中しようと思う、浅糟軍曹であった。



 ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。


 楽しんでいただけたのであれば、幸いです。


 次回は、外国艦隊と接触します。


 次回の投稿は、三月二三日になります。


 それではまたお会いしましょう。


 追記:三月は多忙になるため、週一回の投稿が続く恐れがあります。その時は、その都度連絡いたします。

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