穴
ふと気がつくと
手に穴が空いた
なぜかは分からないが
穴が空いた
一体何が原因だろうか
虚しさか
悲しみか
怒りか
苦しみか
遣る瀬無さか
わからない
わからないけれども
ただ、じっと
じっと掌を見つめていたら
ぽっかり空いた丸い穴から
地面が見えるのだ
アスファルトが見えるのだ
土が見えるのだ
底が見えるのだ
これが
哀しくて、堪らない
理解されるつもりは、ない
それでも、哀しいのだ
もう一つの手を重ねようとも
別の何かで埋めようとも
塞がらない穴が
哀しいのだ