第4章 大戦の前兆3
今から約200年ほど前の話だ。私は神の眷属としてゼルシアと共に戦っていたのである。
我々は黒夢の大陸に生まれながらにして神の恩恵を受けた一族の末裔だったのだ。
基本的には黒夢の大陸には魔族しか生まれないというのが世の理だったので、この事例は異質だったのである。
「ベルーゼ、魔王軍は北西の上空に集まっている。魔王を援護するつもりだ。我々もいくぞ」
「承知した」
ゼルシアは神より授かった白の両翼を羽ばたかせて浮上する。私も遅れまいと必死に付いて行っていた。ゼルシアは時期天使長の器だったのである。私はゼルシアを護衛する騎士の命に付いていた。
「ベルーゼ、何か悪しき気配がするな」
「前方から……来るのである!」
私がそう言い放った刹那、前方から大量のキメラドラゴンの群れが現れた。キメラドラゴンは魔王軍が様々な生き物を組み合わせて作った人工ドラゴンである。
「一体で魔族副隊長クラスはあるようだが、その程度で私は倒せん。太陽の光剣!!」
ゼルシアが技を振るうと10体のキメラドラゴンは一瞬で消滅していた。
「素晴らしいのである」
「ふ、それもベルーゼが私に剣を教えてくれたからだ。感謝している」
ゼルシアは実力、名実ともに天使長の器であった。奴が現れるまでは。
三日後、我々は天使長から呼び出され天空城へとやってきていた。ここ数日魔族の侵攻が進んでいる件だろう。大方予想は付いていた。
「天使長、作戦会議であるか」
天使長の間に行き私は問いかける。
しかし、天使長からの返答はなかった。机に腰掛け息を引き取っていたからだ。
「身体に損傷はない。何かの能力であるか……?」
いや。考えるのはあとだ。一旦ゼルシアと合流しなければ。敵は城の中に潜んでいる可能性が高いのである。
「オーラで探るのである……。ゼルシアは一階中央付近……。ここは3階、一気に下まで降りるか」
「それはできないのですよ」
「貴様か。この異変の正体は」
「この城はもう終わりなのでーす」
そこには黒いローブを身に纏い長身の長髪の男が立っていた。
「私はヴァイラ。以後お見知りおきを」
これが私とヴァイラの出会いだった。




