序章 日常の飽和7
城を出て俺とティナは城下町に来ていた。
「ここから先は少し別れましょう。シルヴァ、あなたも別れを告げなければいけない相手がいるでしょう?」
「ああ、キャラバンのメンバーのところに行って来るよ」
俺は背伸びをしながらティナに言う。
「なら、夕方に城下町の門の前で落ち合いましょう」
おう、と頷くと俺たちは一旦別れた。
俺はキャラバンのメンバーが宿泊している宿まで来ていた。宿には昼過ぎにもかかわらずぐたっとしているモルクとヤックの姿があった。
「よお、シルヴァ。その様子だと例の交渉は成功したみたいだな」
ヤックは俺の顔を見ると見透かしたかのようにそう言った。
「よくわかったな。その通りだよ。メンバーには住居を与えてくれるってよ。あと、俺は今日の夕方立つから。あとは頼むな!」
俺は微笑みながら答えた。
「シルヴァは意外と分かりやすいからな。だが、本当にありがとよ。次は働いてメンバーを守っていかないとな。あ、そうそう。他のメンバー全員呼んでくるから待っとけ」
そういうとモルクは外に出かけていたメンバーを呼んできてくれた。
そして、全員が揃うと事の成り行きを話した。メンバーは皆心配してくれると同時に、エールを送ってくれた。
気がつけば夕方になっていた。
「はー、食った食った。最後にルトさんのご飯皆で食えてこれで思い残すことはないぜ」
これで、ティナと2人でも何とかやってけるテンションになったかなと俺は思う。
「じゃあ、元気でな」
サンリアやモルクらに別れのあいさつをした。
門の前。先にいたのはやはりティナだった。柱に背を預けて、夕日に照らされている彼女は悔しいが絵になってしまう。
「さて、いきましょうか。北の国へは間にあるピルクの森を抜けてバルク山を越えればすぐよ。まずは森を抜けましょう」
「ああ!」
俺たちはピルクの森を目指して歩き出した。