序章 日常の飽和6
翌日。深夜まで宴をしていた俺はぐったりしながらもティナのいる城の入り口まできていた。
「来たわね。うっ。ちょっと気持ち悪いわ」
2日酔いになっているティナを見て昨日のことを思い出す。
本当に酒癖が悪い。どう悪いのかと言うと喜怒哀楽が激しすぎるのだ。抱きついてきたかと思ったら殴られたりするような。
「俺はティナさんがうざすぎて酔い冷めちゃいましたよ〜」
そんな感じで俺達は軽口を叩きながら城の中へ入った。
そして、王様と面会していた。
「わざわざ王様の方から呼んでもらって嬉しいぜ」
昨日の1件もあってこちらから出向くてまが省けたのだ。
そして、そこには長い白髭と白眉毛が特徴の丸みを帯びたアルト王の姿があった。
「国を救ってくれた英雄を無下には扱えんじゃろ。そこで、何かわしに出来ることがあればいってくれ。力になろう」
おっほんと力強くアルト王は胸を張っていた。
「なら、2つ頼みがある」
その言葉を待ってましたという風に俺は口を開く。
「1つは俺はあるキャラバンの用心棒をしているんだが、そのメンバーにこの国で住めるような環境を提供してほしい」
「ほうほう。お安い御用じゃ。それでもう1つは?」
俺は安堵しつつもう1つの願いを言う。
「ティナを……もらいたい」
「なぁ!?」
なーんて言いながら王様のびっくりした顔を見ていると横から拳が飛んできた。
「何言ってんのよ、あほ!!」
渾身のツッコミが俺を襲った。そして、俺は王室の端の方までぶっ飛んでいた。
「お父様。私は闇の大陸に行き魔王を倒し、世界に再び平穏に導きます。そのため、旅に出ることをお許しください」
少しの沈黙が続く。
「いいじゃろう。いってきなさい」
王様からのオーケーが出た。その後、しばらく待っていなさい。と言いつけられ俺たちは王室でぼけっとしていた。
「何とかなったわね。ま、流石は英雄様ね」
「そう思うんならもっと敬意を示してもらいたいんですけどね〜」
そういうと、俺は両の手を広げて待機し、ティナの出方を伺っていた。
「や、やってやるわよ!」
覚悟を決めてティナが俺に飛び込もうとしてきた矢先王様が戻ってきていた。
「お、お父様!? これは違うの。違うのよ!」
慌てふためいているティナはいつものうざい時と違って可愛気があるから、たまにいじってしまう。
ごほんと王は咳払いをし、ある物を渡してきた。
「これは、北の王国。アルデン王国の王様宛の手紙とわしのへそくりじゃ。とりあえず北の王国に行くのじゃ。あそこには腕が立つものが多いと聞く。一緒に戦ってくれるものに出会えるはずじゃ」
北か。あそこは2年前のこと以来軍事力に全てを注いでいると風の噂で聞いていたし、いい出会いがありそうだ。
「ありがとうございます。お父様。ほら、シルヴァ。はやく行くわよ」
「それは俺のセリフだ! あ、ありがとな王様」
そういうと俺たちは城をあとにした。