第3章 集いし暗黒4
一方その頃ティナは絶対的な力を誇るラース相手に攻めてを失っていた。
「なんて差なの……。剣を交えることすら出来ないなんて」
ティナの光の如き剣の速さをいとも簡単に回避し、生えた尻尾のみでラースはティナと対峙していた。
「ハァ!!」
「がっ……!!!」
伸縮自在の尻尾がティナの胸元に鞭のように打たれ、あまりのダメージにティナは気を失いかけていた。
闘いを見守るメルキアには疑問が生まれていた。
「ギラルーンさん、シルヴァさん達はどうしていつものように技を使わずに闘っているのですか?」
「フルパワーで闘っているからだ。下手に技を使えばあっという間にガス欠を起こす。ガス欠を起こせばオーラなしの身体に直接攻撃を食らうことになり、即死は免れん」
ギラルーンはぎりっと歯を噛み締めて厳しい表情でメルキアの問いに答える。
「そうか、オーラを常に最高値まで高めとかないと一瞬でやられてしまう可能性があるからあの2人はフルパワーで闘っているんですね……!」
「そういうことだ。いくらあやつらが強くなったとは言っても第6魔王とここ最近で生まれた魔神の中でも最強と言われる破壊王姫ゼルシアとマスターソードの異名を持つベルーゼを相手取ることは流石に無謀だぞ……」
そう言うとギラルーンは自分のオーラの流れを確認するが、微量に流れているだけで死地に赴くには戦力になれる程の力は回復していなかった。
そして、何も出来ない己の無力さに悔いていた。
「そろそろ終わらせてやろう」
ゼルシアはそう言うと一瞬でシルヴァの前まで移動し、連撃をかます。
「くっ、はっ!」
ぎりぎりのところで受け止め一瞬の隙をつくと、剣を退け渾身の蹴りをいれた。
シルヴァは剣技だけではない。体術の才能も群を抜いていた。
ゼルシアはズザザと足で堪え剣を地面に刺す。
「ふふ。少しは効いたよ」
ただ、と続ける。
「これで終わりだ。太陽の十字架!!」
ゼルシアの目の前から灼熱の十字架が姿を現し、一瞬のうちにシルヴァはそれに捕まってしまう。
「なっ!?」
「それは貴様が死ぬまで貴様を逃しはせんぞ」
「くっ、離れねぇ!」
シルヴァは十字架を離そうともがくが、フルパワーの力を使ってもそれは取れない。
そして、ゼルシアは上空に昇り詠唱を始めた。すると、ゼルシアの頭上に少しずつ灼熱の塊が集まりつつあった。
「くそったれ。敵わねぇ……」
シルヴァにもはや成すすべはなかった。ただ、彼は諦めてはいなかった。
「ティナ!!! 準備は整ったぞ!!!」
シルヴァはここら一体に聞こえるであろうとてつもない怒号で叫ぶ。
するとラースの頭上からとてつもない最高峰の竜巻が舞い降りラースの自由を奪っていた。
「ぎぃいい!?」
「そいつは黒夢の大陸各地を飛び回り、でっかくなった台風だ。これなら今の愚兄でも数秒は動きとまんだろ?」
驚きながらも少しづつ竜巻を吹き飛ばそうとしているラースにシルヴァは一泡ふかせてやったぞとどやっていた。
「シルヴァ、ナイスよ! これで決める。神聖な光!!!」
「ぐあぁあぁああ!!」
ティナは持っているオーラ全てを右手に込めラースの胸に手を開き光の力を流し込んだ。
すると、ラースは暴走状態が溶け、我に帰っていた。
「私を救ってくれたのはお前か。感謝する」
「ラース、正気に戻ったのね! よかった」
そうティナが言い切る前にラースは尻尾でティナをシルヴァのいる近くの岩場まで吹っ飛ばした。
「ティナーーー!!!」
「ど、うして……」
「悪いな。シルヴァ、ティナ。もう貴様らと行動をするメリットは無くなった。この力があれば私だけで全てを成せる!!」
ハハハハハとラースは高笑いをし、ラースの右手の頭上にみるみるうちに氷塊が集まっていく。
「魔法陣のオーラを解放してここをお前たちの墓場にしてやろう!! 死ね!!!」
「ゼルシア、退くぞ。流石にあの規模は私たちでもくらえばただでは済むまい」
「そうだな、逃げ切れるのもまあまあ至難の業だがな」
ゼルシアとベルーゼにそう言わしめるほどの規模の氷塊だった。それはここら辺一帯を城ごと消し去るのも容易いレベルの大きさだったからだ。
「シルヴァとやら、貴様の十字架は解いておいてやる。せいぜいもがくんだな」
ゼルシアはそう言いシルヴァにかけた十字架を消すとベルーゼと共に姿を消していた。
そして、絶望の中シルヴァ、ティナ、クジャ、ギラルーン、メルキアは取り残されていた。




