序章 日常の飽和5
「2年前、魔王は勇者に勝ち勇者のオーラを喰った。そして、魔王は王の領域を超え全てを支配するはずだった。しかし、誤算が起きた」
「誤算?」
どういうことだと俺たちは問う。
「勇者のオーラに魔王の器が耐えきれず、6個の魂にわかれてしまったのだ」
魔王のオーラの力。吸収。あれはめちゃくちゃやばい力だった。取り込める量に限りがなく肥大化するってのはやばすぎた。
「そして、6体にわかれた魔王は闇の大陸での領土の奪い合いを始め最近やっと収拾がつき、この大陸、光の大陸に領土拡大を始めたというわけだ」
ディルクの話を聞いてあらかたの疑問は解決できていた。だがふと疑問に思う。何故魔王達が直接戦って頂点を決めずに6つにわかれて活動している点だ。
「何故その中の王を決めないのかしら?」
ティナも同じことを思っていたらしい。
「それは最初に行なっていた。ただ、無意味だった。全く同じオーラが入っている者達はお互いを傷つけることはできないからだ」
なるほどね。それで手下を使って闇の大陸で小競り合いをしていたというわけか。
「だいたいは分かったよ。じゃあ、そろそろ楽になるか?」
俺はディルクを痛みを感じず楽にするためオーラを剣に込めた。
「ハハハ。楽しかったぜ。さっさと殺せ」
そういうとディルクはオーラを解いた。
「俺も楽しかったぜ。じゃあな」
そういうと俺はディルクにとどめを刺した。これで脅威は去ったのだ。確かに去ったのだ。だが、去ったところでどうする。
また新たに魔物が攻めてこないとは限らない。むしろ、攻めてくるのは時間の問題だろう。逃げ場などないのだ。魔王を倒さない限りは。
「そういうことだよな」
そういうと俺はティナの方をみて笑顔を作った。
「ティナ、お前は腕もたつ。もう一度魔王を倒しに行く。協力してくれないか」
これが戦いの中俺が出した答えだった。
「馬鹿者が! 当たり前よ。私も取り戻したいもの。この世界を!」
「だな。よし、今日は宴だ!」
そういって俺たちは城下町に戻り宴を楽しんだ。
そして、国王や、キャラバンのメンバーに各地を旅し、闇の大陸にいくことを後日伝えることにした。