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疾風の刃  作者: 桜
序章 終わりの始まり
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序章 日常の飽和4

 ががんっ!


「ん?」


 どうやら外が騒がしい。それにつられて俺は起きてしまった。あれから半日近くたっていて、気がつけば夜中になっていた。


「シルヴァ! 大変よ!」


 そういうとサンリアが急いで俺の元へ走ってきた。もっともサンリアだけでなく他のメンバーもなのだが。


「どったの?」


 寝起きのせいもありだるそうに対応する。


「城下町の前まで魔物の軍勢がきているんだ! このままじゃ皆殺されちまう」


 くそっ、せっかくキャラバンの皆を守るまでここまで来たっていうのによ。俺は心の中で強くそう思うと城下町の入り口目掛けて走り出していた。


 城下町の前までいくとティナと王国の騎士団が魔物の軍勢相手に戦っていた。


螺旋剣(スパイラルソード)


 そういうとティナは乱れるような光速の剣技を魔物の群れに浴びせていた。


 他の兵士もぎりぎりのところで応戦していた。


「くっ。キリがない」


 全員の体力が尽き始めている。そんなところに魔物のボスらしき者が姿を現した。


「くく。なかなか手強いな。俺のしもべ達がこんなにやられてしまうとはね」


「貴様がこいつらの親玉か。貴様を殺せば……」


 そういうとティナは魔物のボスと思われる人型の漆黒の金髪のモンスターに斬りかかった。


閃剣(フラッシュソード)


 次の刹那ティナの必殺の刃はいとも簡単に素手で止められていた。


「うそでしょ……」


「くだらないな」


 そういうと彼はティナに獲物をむける。


「させねえよ」


 俺は気配を消して近づきティナを救出した。


「ありがとう……。だけど、勝てっこないわ。あの魔物次元が違う……」


 こういう時のティナを少し可愛く感じてしまう自分が嫌になる。


「この程度の絶望。絶望ですらねえよ」


 そういうとティナを腕から降ろして魔物と向かい合っていた。


「よおボスキャラ。悪いがここは俺の生きる希望だ。通しはしねえぜ?」


「少しは出来るようだな。名を名乗っておこうか。俺はディルス。第3魔王様直属の四天王の1人だ。この領土をもらうために私は来た。お前たちは終わりなんだよ」


 はははと高笑いするディルスに俺は問う。


「俺はシルヴァ、旅人だ。第3? 知らねえ間に魔王は増えたのかよ?」


 どういうことだ、とティナの方に目をやる。ティナも分からないというような顔をしていた。


「あなた達に希望は少しもないということです。それにあなた達はここで死ぬ」


「そうか。しばいて全部吐かせるしかねぇらしい」


「万に1つ有り得ないが、その時には話してやろう」


 にやっと俺は笑みを浮かべると戦闘を開始した。


暗黒の針(ダークニードル)


 黒色の尖ったオーラをディルクはこちら目掛けて投げつけてきた。


「よっと」


 俺は上空に回避し、そのまま空を蹴ってディルスに斬りかかる。


 キィン!キィン!キィン!


 激しい鍔迫り合い。


「遊びはここまでだ」


 そういうとディルクは俺めがけてオーラの波動を放ち吹っ飛ばした。


「いつつ」


「いい加減死になさい」


 そういって突っ込んでくるディルク。


「準備運動してたのはこっちもだぜ、ディルク」


 そういうと俺は風のオーラを身に纏ってディルクを吹き飛ばした。


「いくぜ」


 神速の攻撃。一瞬で30回は切ったであろうディルクの身体は徐々にダメージが蓄積されていった。


「ぐあぁ……ふざけやがって」


 ディルクはあっという間にふらふらになっていた。

 俺はかつかつとディルクの元へ歩いていく。


「お前達、何をボサッとみている! 奴を止めろぉ!!」


 ディルクが嘆くように叫ぶと魔物の群れが一斉に俺に襲いかかってきた。


「雑魚をいくら使ったところで無駄だぜ。風の(ヴェント)(ジャヴェロット)


 俺はそういうと風のオーラを刃の形に変え魔物たちに飛ばした。これによって魔物達は全滅していた。ディルクを除いて。


「さて知ってること全て話してもらおうか」


 そう言いながら俺は余裕をもってディルクの元へ歩いていく。


「がはっ。そうか、その強さ……。そしてその白銀の髪の毛と闇を帯びたような瞳は……。俺がかつて下っ端時代に聞いたことがある。目にも止まらぬ速さで何千もの同胞を亡き者にしてきた疾風の死神とはお前だったか。くく。だが、もう何も変えられん。時期にこの大陸全土が魔王様の領土になることだろう」


「俺のことはどうだっていい。魔王について知ってる事を教えろ」


 あまり語られたくない過去の事を言われてイラつき気味にディルクに問う。


「私も聞かせてもらうわ」


 そう言うといつのまにかティナも隣まで来ていた。


「え、お前負けたじゃん」


「うっさいわね! あんたは私にぼこぼこにされたでしょうが! それに私は姫として、騎士団長として、上に立つものとして知っておく必要があるの!」


 ニヤッとしながら煽るとティナは顔を真っ赤にして言い返してきた。


 そして、ディルクは静かに語り始めた。

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