第2章 いざ黒夢の地へ編7
黒夢の大陸。その付近は黒い雲が流れ、激しい乱気流が発生していた。
そして、周りがとてつもなく傾斜のついた崖になっていてとてもじゃないが上陸は困難となっていた。
「ふ。そのための私だろう。いくぞ」
どうする、といった表情のシルヴァにギラルーンはギラッとした顔で言うと今以上に船のエンジン部にオーラを込めて前進する。
渦巻く竜巻をシルヴァも支援して飛び越えると、船は小さな崖の下の洞穴に辿りつき、船は使い物にならなくなっていた。
「うーむ。帰還する時は船を犠牲にする他今のところ方法はないのか。勉強になったぞ」
「おいおい、初めての試みかよ。死ぬとこだったぞ」
ギラルーンのさっきの自信は何だったんだとばかりにシルヴァは突っ込む。
「いたた……」
「着いたのかなっ♪」
あまりの巨大な衝撃にティナとクジャも目を覚ましていた。
「目が覚めたか。我が主がお待ちだ、先を急ぐぞ」
「急ぐってどこによ。行き止まりじゃない」
「おそらくこの先にあるんだよ♪ ワープホールがね♢」
「ワープホールだと?」
「そちらの世界では馴染みがないのも無理はないな。こちらの黒夢の大陸、まあいってしまえばこの世界では至る所で巨大な魔力が衝突しているような状況下にある。そのため次元の歪みが至る所で起きているのだ。そしてその歪みは大陸間の移動を可能にしている。それがワープホールと言うわけだ」
「なるほどな。だが、その歪みに入らねえとどこに飛ぶかって言うのは確認しようが無いってことだよな?」
ティナも隣で頷く。
「その通りだ。それに歪みというものは一時的なものだからな。消えてしまうものだ。つまるところお前達はこの先のワープホールを潜ってしまえばもうあちらの世界に帰れなくなるかもしれない、ということなのだ」
「くどいぜ! それによぉ、船も大破しちまってんだから進むしかねえだろ!」
「ええ! それと、ギラルーン。あなたはどうやってワープホールの存在を感知したのかしら?」
「単純だ。オーラを見る目を養うことだ。数キロ先にいる者のオーラ、物質のオーラ、そこら中に漂うオーラの流れを感じる必要がある。最も貴様には難しい領域かもしれんがな」
「そういうこと♡」
「何かムカつくわね2人とも」
「修行するしかねぇな! 俺も苦手だっ」
ティナとシルヴァはオーラを見ることが得意ではない。気の流れを読めるのはせいぜい100メートル先と言った程度だった。
そうこうしていると細い洞窟の奥には竜巻の様なオーラの塊がみえてきていた。ワープホールだ。
俺たちはその渦に飲み込まれた。