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疾風の刃  作者: 桜
第2章 黒夢の王子様
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第2章 いざ黒夢の地へ編5

「さて、そろそろ向かうとしよう」


 ギラルーンがそう言い扉を開けると、すっかり夜が更けていた。


「は〜酔った☆」


「あそこに泥酔してるのいるけど、どうすんだ?」


「ふ。想定内だ」


 そういうとギラルーンは指をバチンとならすと、クジャの身体は宙に浮いていた。


「さて、船までの所要時間は5分といったところか、着いてきたまえ」


 ギラルーンも宙に浮き、泥酔しているクジャを連れて船に向かい飛ぶ。


「おええええ。ギラルーンの鬼畜〜!!」


 クジャは街に綺麗な液体を上空から流しつつ、ギラルーンに誘導されていた。


「鬼畜ね……」


「ドS野郎だな」


 その後ろからシルヴァとティナも風と光の能力を使い宙に浮き着いていく。


 すっかり戻った街並みをしっかり目に納めつつ、4人は手配した船の前まで来ていた。


 4人用にしては少し大きい。中規模の船だった。


「お! ティナみろよ。中にお酒のストックあるぜ」


「飲み直しねっ! グイグイいくわよ〜」


 船を出航させ、シルヴァとティナのテンションは酔いのせいもあり最高潮になっていた。


「もちろん食料の手配もさせてある。黒夢の地についたら常に周りのアンテナを張り巡らせておく必要があるのだからな。今のうちに楽しんでおくとしようではないか!」


 はっはっはと高笑いするギラルーンも楽しんでいるようでキッチンにまわり食材の下準備をしている。


「俺も手伝うぜ!」


 シルヴァもノリノリで料理しにいく。


 私がやりますので、と部下が止めに入るもギラルーンの言い分に押し切られてしまっていた。


「中々変なやつね、あいつ」


 ティナは適当なところからお酒をとり一升瓶片手にギラルーン達のやり取りをみている。


「オエエエエエエエ!」


 クジャはクジャで再び樽に聖水をぶちまけていた。


「しゃっ!! 料理できたぞ!!」


 先に出来たのはシルヴァだった。


「いい速さね! はやく持って来なさい!」


「とくと食いやがれ!」


 そういうと、シルヴァは皿を差し出す。そこには、巨大な肉の塊が乗っていた。


「はぁっ!!」


 とシルヴァの綺麗なナイフ捌きで肉を食べやすい大きさに切る。


「これは、北の奥地に住むカヅチドラゴンの赤身ね。ナイス焼き加減よ!」


 ティナ王女はお気に召したようだ。続けてギラルーンも皿を出す。


「どうぞ、黒夢の血みどろ添えです」


 そういうと黒みを帯びたソースのような液体の下でどっくんどっくんと動いている固形物が乗った皿がティナの前に差し出された。


「っく。ティナ王女。ささ、お召し上がり下さいませ」


 笑いを堪えながらシルヴァはティナに話しかける。ギラルーンはかなり自信があるようで、その笑顔がかなりティナには痛かった。


「えっとね……。お腹いっぱいになっちゃったから……」


「早く食べーー」


「てめえが食えや!!」


 そういうとティナはシルヴァの口にドス黒い塊をぶち込んだ。


「おまっ、ぐふっ」


 そういうとあまりの味に悶絶したのか、クジャの隣に樽を置いてシルヴァも綺麗な液体を吐き出していた。


「あはははは」


 ご機嫌な様子のティナだった。


「さて、あとは部下にキッチン周りは任せるとしよう」


 そういうとギラルーンは扉を開け甲板へと歩いていった。


「ふう♪ やっと落ち着いたよ☆ ティナ♢」


「ローズ。よかったわ、じゃ。飲み直しね!」


「ちょっとまっーー」


 そう言いながらティナはクジャの肩を組み、持っていた一升瓶をそのままクジャに流し込む。


 この人には呑ませたらダメだとクジャが悟った瞬間だった。


 そして、クジャが再びダウンした時。この男が目覚めていた。そうシルヴァだ。


「よぉ、待たせたな」


「いいじゃない。……シルヴァ」


 第何ラウンドか分からない戦いが今始まろうとしていた。






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