第1章 武術大会編9
「シルヴァの偽物……?」
どういうこと。シルヴァは確かに観客席にいる。
「ははは。俺はシルヴァの闇から生まれた黒夢のシルヴァ。奴を殺し、俺が本物になるのさ。だから、お前はここで死ね」
黒夢のシルヴァは闇の風を生み出しこちらへ向かって飛ばしてきた。
私は上空へ飛び、黒夢のシルヴァに斬撃を飛ばす。
「ハッハァ! おもしれぇ! だが、もう遊びは終わりだァ!!」
黒夢のシルヴァもティナ目掛けて斬撃を弾いて飛んでくる。
「きな!!」
私は勢いよく剣を打ち込む。激しい打ち合いが始まっていた。
「あいつは何だ」
シルヴァは自分と同じ容姿、そして本質的には似たオーラを使うあの男に驚きを隠せないでいた。
「あいつは闇から生まれた獣だよ♢ だけど、幻影にあそこまでのオーラが使えるのはみたことないよ♡」
「クジャ君、幻影ではないよ。彼は本物だ」
ギラルーンはいつのまにか隣に座っていた。
「それは、魔王が増えたことに何か関係あるのかな♣︎」
「魔王はその者を喰らうことで他の力を取り込むことができる。だが、俺は喰われちゃいねぇ。だからわからねぇ。あいつの存在が」
魔王の能力。それは喰らうことで他者の力を使えるというものだった。
「貴様が奴と対峙すればわかる。もっともあいつは他の雑魚どもとは格が違うがな」
「もったいぶってないで教えてよ♡」
「では失礼するとしよう」
クジャが色気むんむんでポージングをするもがん無視し、ギラルーンは壇上へ戻っていった。
「無視かぁ☆ まあ、どっちが来ても楽しい決勝になりそうだよね、シルヴァ♢」
「悪いが、あいつとは俺がやるぜ」
「あら。闘志むき出しだね☆」
クジャはそう言いながらもティナと黒夢のシルヴァの闘いを微笑みながら見物していた。
空中での激しい剣技の打ち合いを終わらせ、私は距離をとり光の柱を放つ。
「ハァッ!!」
だが、黒夢のシルヴァはいとも簡単に闇のオーラを駆使して壊す。
はぁはぁ。強すぎる。だけど、諦めはしない。
「光の戦士として私はあなたを倒す!」
「終わりにしようぜ」
お互いにオーラを剣に込める。
「星明りの剣!」
「闇の黒刀」
私は剣に込めた力を黒夢のシルヴァにぶつけた。そして、激しいぶつかり合いの末リングがこなごなに砕け散っていた。
「ハァァァ!!!」
「負けてたまるかぁぁぁあ!!!」
だが、この攻防は長くは続かなかった。私の聖剣は奴の攻撃により弾かれ私自身オーラが尽きていた。
「終わりだ。死ね」
くそ。むかつくけど、完膚なきまでにやられた。ここが私の墓場だ。
だが、黒夢のシルヴァの獲物は私には刺さらなかった。くそ。ちくしょう。私はその瞬間また涙を流してしまった。
また助けられてしまったからだ。この少年。シルヴァ・ライズに。
「いい勝負だったぜ、ティナ。あとは俺に任せな!」
「負けたらしょうちしないわよ!」
むかつくけど、頼りにしてしまう自分がいた。
「アヒャア。決勝戦の始まりだなァ!!」




