第1章 武術大会編7
「あっけなかったなぁぁ」
ハサールトは勝利を確信していた。ハサールトだけではない。この闘いを観ていたギャラリー全員がだ。
「ティナァァァア! てめーは魔王を倒すんだろうが! くたばってる場合じゃねぇだろうが!!」
この男を除いては。
「妬けるねぇ♪」
後ろからクジャが茶化しにきていた。だけど、とクジャは続ける。
「オーラの色が少し変わったね☆」
私は目を覚ます。
「待たせたわね」
驚くハサールトに数発のオーラの弾を飛ばし吹っ飛ばした。私は着地し、血を拭う。
「無駄だぁぁああ、再生してやるぅぅう」
ハサールトは再生しようとするが私は答えを知っていた。
「あら? 再生が遅いわね。そんなに待てないわよ?」
見下すような眼で私は言いつつ近づいていく。
「なんでだぁぁ。クソォォオ!!」
ハサールトは剣を振り下ろし、空中に飛んだティナに口から特大のオーラを吐き出した。
「波動、輝く光」
私はそういうとハサールトのオーラを搔き消し宙に浮く。
「やべーな。あいつ俺たちの領域まで来やがった」
シルヴァは身震いする。
「それにあのオーラは最も稀な♢」
「あぁ、勇者アラン・ネルスと同じ光のオーラだ」
私は2人の方を見てオーラを強めた。
今までとあいつらの顔つきが変わったのを感じ内心喜んでいるとハサールトが逃げ出そうとしていた。
「まあ、いいわ。眼中にないから」
そのまま見逃すと私はレフェリーの方を見る。
「勝者ティナ・ラグーン!!!!」
うおおおおおおっとギャラリーは今日一の盛り上がりを見せていた。
っ!?
急に寒気がする。
その方向に目をやると逃げ出していたハサールトは跡形もなく粉々にされていた。
それは、前方にいる黒いローブをきた者の仕業だった。
「雑魚はいらねぇ。続きをやろうか」
「あなたは確か次の対戦相手じゃなかったかしら?」
「もう殺した。シルヴァの前のいい前座だ。さっさと死ねや」
なるほどね。と私は眼で返すと、しまった鞘から聖剣を取り出していた。
二回戦が幕が開ける瞬間だった。