第1章 武術大会編3
お互い身構え硬直が解かれたその刹那。突如ギラルーンがフィールドに舞い降りた。
「これじゃあ、面白くないとは思わないか?」
問いかけるギラルーンはクジャの方を見ていた。
「地形のことかな? こんな殺風景じゃ確かに僕の魅力は半分も活かせないかな♪」
笑顔で返すクジャ。
「貴殿はどの道ここで消えるであろうが、こんな殺風景な死に場所じゃあお花も添えられぬからな」
そういうとギラルーンは指を鳴らす。すると、次の瞬間周囲の地形が変わっていた。
あたり一帯が凹凸のある砂漠地帯へと変化していた。
「こんな簡単にここまでの広さの地形を変えられるなんて……いいね♪」
そういうとクジャはオーラを高める。
「盛り上がってるところ悪いけど、私の御目当ては君じゃないんだ。失礼するよ」
「逃がさないっよ!」
そう言ってカードを放とうとした次の瞬間クジャの元に衝撃波が襲いかかる。ゴルドアだ。
後ろの盛り上がった岩が崩れ落ちる。
「図に乗りすぎたな」
仁王立ちをしてゴルドアは吹き飛ばした煙幕の方を見つめていた。人影が見える。クジャだ。
「カードを切るのが遅れていたら危なかったよ♪」
煙が晴れ出てきたクジャにはダメージはなかった。
「あの速さの衝撃波に不意を突かれて反応するとは、こりゃどちらがきても次も楽しくなりそうだな」
コロシアムの二階。シルヴァは楽しそうに観戦している。
「不意打ちなんて騎士道に反するなあ☆ 次は僕からいくよ♪」
そういうと無数のカードがゴルドアに襲いかかる。ゴルドアは真空波で吹き飛ばす。だが、吹き飛ばした先に彼女はいなかった。
背後に回り込んでいたのだ。
「一本♪」
そういうと無数のトランプがゴルドアに突き刺さる。
「やるな」
にやっとしながらゴルドアは言う。オーラでトランプを吹き飛ばすとクジャの方に向かって飛んだ。
「肉弾戦ご希望か。受けて立つよ☆」
激しい攻防が続き、お互いガードしつつダメージを入れていくが、部があるのはゴルドアの方だった。
「ガードしてもかなり入るね……」
そういうとクジャは距離をとった。
「悪いが貴様では俺には勝てん! ギラルーン様が仰っていた通り貴様の墓場だ」
そういうとさっきの衝撃波より大きな波動を纏ったものを放っていた。
直撃だった。勝負は決した。
かに思えた。
「ダイヤのジャックの能力。君のあらゆる攻撃をガードする♢」
「なっ、無傷!?」
驚くゴルドアにクジャは続ける。
「ハートのクイーンの能力。僕の傷を癒せ♡」
次の瞬間。クジャの傷は癒え全開になっていた。
「さ。続けようか♪」
驚きを隠せないゴルドアにクジャは微笑む。
「ふんっ。癒えたところでこの戦闘力の差は覆せんぞ!!」
そういうと再び距離を詰めるゴルドアだが、クジャの様子は先程とは変わっていた。
「いいけど、もう必要ないからさっきみたいな肉弾戦はしないよ☆」
そういうと三枚目のカードを取り出す。
「スペードのエース。僕に力をよこせ♤」
するとクジャの右手には莫大のオーラが溜まっていた。
「なっ。や、やめろおおおお」
突っ込んでいくゴルドアに逃げる余地はない。クジャはカードのオーラごとゴルドアの胸に打ち込んだ。
「悪いね♪ これ、手加減できないんだ☆」
そこには血を浴びた少女と真っ二つにされた魔人が残されていた。
会場が唖然とする中。レフェリーが声をあげる。
「だ、第二回戦勝者。ローズ・クジャアアアア!!!!」
こうして、第二回戦は幕を閉じた。