第1章 北の王国編3
翌日の夕方。アルデン王国に着き、私達は王様と謁見する権利をすんなり得ていた。
事態が事態なので、腕に自信のあるものは王の元で武術を披露するという名目がしかれていたのだ。
「さて、お主ら腕前のほど見せてもらおうか」
そう言われ私達は軽く技を見せる。
「合格だ。明日の大会に出場してもらおう」
王様は顔色を変えずにそういった。
「当たり前だな」
シルヴァはくるくる回って剣を使って遊んでいる。
「それと、王様。私達はダッツ王国の使者です。我が国からの王様の手紙をお受け取りください」
そういうと、私は王様に手紙を渡した。そして、それを読み上げると王様は口を開いた。
「なるほど。武術大会で優勝したならば、こちらの内容、全て無償で受けることを約束しよう」
「ありがとうございます。必ずや魔の者を退けて見せましょう」
優勝すれば、ね。分かりやすくていいわ。そう私は思いつつ、遊んでいるシルヴァを連れて城を後にした。
アルデン王国。ダッツ王国とは打って変わり高い城壁や、軍事施設。大きな建物がそびえ立っている城下町はそこら中から戦の香りを感じさせられる。
そして、すれ違う人々は武術を心得ている連中で溢れかえっていた。
「王様、俺達のみせた技じゃ全然驚かなかったな」
笑いながらシルヴァは話しかけてくる。
「そうね」
今回の大会は魔族側はもちろんだけれど、人間側にも相当の使い手がいるということになる。
「ま、どうなっても明日なんだし今日はぱーっといきやしょうぜ」
シルヴァはそういうとしゅわしゅわが欲しいというジェスチャーをしてきた。
「明日のためにも少しだけにしなさいよ?」
そう言いつつ私もそういう気持ちだったので、シルヴァに付き合うことにした。