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2笑【マスカレード】

「おっはようございますぅっ!!」


 脳天気に元気よく声を上げてずかずかと事務所に少女が入ってきた、その顔には表情の読めないようにすることを目的とした仮面・・が付いていた。


「なにがおっはよぅだこの戦闘狂が」


 その返事をする男性も同様に仮面・・が付いている。


「いやぁ、朝はおはようじゃないですかぁ。あ、それともお疲れ様です。魔法使(ウィザード)いさんって言ったほうがいいですか?」


 彼女は少しも悪びれた様子もなくそんな態度をとっている。


「あぁ、お前のせいでお疲れ様だよ。あの行動はどう考えてもやりすぎだこのやろう。  …あとその呼び方はやめろって言ってるだろ」


 おかげでやることはいつも以上に山済みだよ。と男は大きくため息をついて仮面の女の方を向いた。


 その仮面女は左手を腰に当てて右手はその平を上に前に突き出していた。


「んで、こんかいの報酬は?」


 あーはいはいと、彼は慣れた手つきで茶封筒を渡す。


 毎度思うが少しも悪びれないこの行動は逆に称賛に当たるのではないのか?と思ってしまうくらいだ。


 腹が立つ、立たないという話は別として………。


「毎度!!」


 そう言いつつ無駄にアクロバティックに封筒を受け取った彼女はそれを見てからなぜか不服そうな顔をしていた。


「んー!?こんだけ?」


「あぁこんだけだ」


「少なくない?」


「少なくはない。現状この額を日払いできる仕事場はここくらいしかないと思うぞ。それにその量になっているのは原因があるのだが…聞くか?」


 男はふふと鼻で笑いながらそういった。


 なんだよ。と少し警戒した感じで仮面女は聞いた。


「…例えば?」


「そうだな、まず上げるとだな、お前戦闘中に叫びすぎ。にやけすぎ。倒しすぎ」


「えぇ、そんな理不尽な……」


 ブーブーと不平不満を言っている。仮面がなければ色々な表情に変わる表情が見れて多少は、滑稽だったかもしれないが現在は仮面あるためにかなりシュールだ。


 理不尽と言われてもな……。そう言って彼は次を語り始めた。


「今回の依頼者はお陰さまでピンク髪の変態戦闘狂なんて通り名を付けられていたりしているんだがそれについての謝罪はあるのかな?というか、そもそも依頼内容にイメージを守ってとあったんだから、依頼人のイメージを崩さないようにきちんと考えて動けって言っただろう、そのおかげでまず迷惑料として報酬の5%のマイナス。次には……」


「あ、あぁすいませんでしたもういいです。勘弁します」


 その反応を待ってましたと男は机から立って、ばんとそれを叩いてから立ち上がった。


「いいや、まだだね。今回のは模擬戦争って言ってるのに必要以上に攻撃するし。無理な起動するからカモフラージュ(・・・・・・・)用に借りていた装備を痛めるし、最期のあのバカみたいに大きい衝撃波で地形軽く変えてくれるしでその収支を考えたらこうなってしまうのはしょうがないと思うんだ僕は。今回のは薬と思って観念しとけ」


 これでとどめだというふうに明細書と記された紙を男は投げた。


 仮面女はそれを拾ってからぼそりと「それでも自分の取り分をきっちり取ってるところがせこいっすよねぇ」そう言った。


 仮面男にはその一言は確実に聞こえてしまっているのだが聞こえないふりをしてまだまだ残っている雑務に取り組む。



「んで、君はまだお仕事あるのかな?」


「あぁ…おかげさまでね」


 ほれと、仮面男はは机に積み重なったそれを力なくペチペチと叩いた。



「んー、そうかー残念。これから一杯どうかなーと思ったんだけどね」


 先立つものは手に入ったわけだし……と仮面女は先ほど受け取ったばかりの封筒でパタパタと自らを仰ぐ。


「んーあと二時間ほどで終わるけどそれまで暇つぶしてくれると行けるが?」


「ふむぅ、二時間か……買い物でもして待っておくことにしておくかね。よし、そうしよう。……なら終わったらいつもの場所でいいかな?」


 彼女はさも必ずこちらが行くといった口ぶりでそういった。そう言われると行かなければ男がすたる。まぁ元々行くつもりではあったのだが……。


「いつもの……あぁ、あそこか了解。んでその時は?」


 会う時の格好を聞こうと思ったのだが彼女はそれを予期したのかすっと答えた。


「ん~いざこざに巻きもまれるのめんどいから素顔にしとくよ」


 じゃね~とそういって彼女は事務所を後にした。


「二時間か……我ながら無茶なこと言ったもんだ。……急ごう」



 そう呟いてカタカタと仮面男は書類の処理を済ませていく。


 彼らが所属しているのは「顔のない者たち」通称『仮面持(マスカレード)』という種族、性別、年齢などが関係なく所属している組織で。担当依頼は主に何でも、戦闘だろうが家庭教師だろうが物探しだろうが何でも引き受ける組織である。まぁ今となってはそんな平和な依頼は来るはずもないのはここだけの話である。

 まぁまた、彼らの組織は開設当時に種族間の考えをなくそうと創設者が出した仮面制度のおかげで社内、または社外活動中は仮面をつけることを強制的に義務つけられている。それ故に休日に一緒に出掛けるなどといった仲のいいものいがいは以外にお互いの素顔は知らないことが多いい。そしてその制度を見た客が面白がって名づけた「仮面持(マスカレード)」などといった仮面を指す言葉は彼らを総称する名称となっていた。


 ともあれ彼ら「仮面持(マスカレード)」は国境も関係なく世界を又にかける何でも屋という状態になっていたのである。またその素顔が割れていないということを生かし身代わりの仕事なども取り扱っていたりする。まぁ値段はかなりのものであるが…。そんなこんなでさまざまな仕事をしていることも多いため仮面状態では喜ばれることは少なく憎まれることが多々あるために基本的には彼らは休日では無駄な騒ぎを起こさないようにするために素顔のものが多い。厄介ごとを避けたいのならだが…。



「にしても、今回のこの量は異常でしょう。多い」


 仮面男は基本的は非戦闘員、つまりは戦闘をサポートする役目なので基本的には現在のようなデスクワークの方が多い。

 それにしても今回の依頼で大量発生した彼女関係の始末書を彼女が戦闘員なのでしぶしぶ受け持ったわけなのだが…いかんせん数が多い。主に物に対する破壊つまりは器物破損に関するものから、潜入期間中の食事に関することまで…普通の人は自分のことはやるため単純計算二倍である。

 しかも彼女は毎回人一倍これ関係の書類を発行させる。

 まぁとどのつまり問題児ということなのだ。



「まぁいいか、待ってるって言ってることだしやるしかないし……」



 そうと決まれば動きは早い。


 仮面男はその下に苦笑いを浮かべて戦闘(処理)を始めた。


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