明日
ここで一端終わりです
「はああぁぁぁー」
思わずため息がでる、流石に死ぬかと思った。
恐怖が蘇る。
今日も生きのびれた。
人心地ついていると、兵士が声をかけてくる。
「流石だな」
「運が良かっただけさ」
「そうかい」
どうやら、謙遜と受け取られたみたいだ。
まぁ、どうでもいいが。
「じゃ、戻りますわ」
「おう」
廊下を歩き続け、やがて見える扉を開ける。
控え室の奴隷たちは右の扉からはいってきたケイを一瞥する。
ケイはそのまま歩いてゆき、壁を背中に横になる。
少し寝るか、そう思い目を閉じる。
目を覚ました頃には、試合は終わる直前だった。
控え室を一瞥するとあきらかに来たときより人数が減っている。
なれた光景ではある。
やがて、兵士が現れ宿舎に戻る。
そのまま食堂に連れてかれ夕飯だ。
パンに豆のスープと少しばかりの干し肉がついてくる。
それを食べ終えると部屋に戻る。
これで一日は終了だ。
宿舎が寝静まった頃、ケイは動き出す。
扉の除き窓として使われている鉄格子に力を込め、音を立てないように外し、そこから顔を出す。
誰もいないな。
確認し終えると、その窓から手をだし針金で作った鍵でドアの鍵を開け廊下にでる。
そして、地下に向かう。
相変わらず、ここは血なまぐさい臭いがする気がするな。
かつて拷問部屋として使われていたらしいこの部屋にたどりつく。
誰もこなくなった、この部屋の棚をどかすと壁に深い穴がある。
脱走する為に掘り続けた穴だ。
ドゥルグから貰った釘を握り締め、穴の奥に行き掘り始める。
この穴はケイが一人でほり始めたものではない、同室の男が掘っていたものだ同じ目的と同室ということでケイも手伝うことができた。
その男も試合で死んだ、掘るものを提供したドゥルグも死んだ。
……だから、何だってんだ。どうしようもないんだ。
ここにいれば遅かれ早かれ死ぬ。
だれが、こんな世界で死にたがる、元の世界に戻るんだ俺は。
少し、休憩を挟むがあまりのんびりしてはいられない。
五分休憩をとり作業に戻る。
土の質感が少し変わったな、上に向かって掘ってみるか。
掘れば掘るだけゴールが近づくそんな気がする。
そろそろ、戻るべきか…
いや続けよう。
手が宙を抜ける感じがした。夜空が見える。
空だ。
空が見える。
逸る気持ちを抑えて穴から少しだけ顔を出す、周りに人はいない。
城壁が見える、この向こうが今までいた宿舎とコロシアムがあるのだろう。
穴から体をだす。
とにかくこの場から離れよう。一端どこかで休んだら日本に戻る方法を探そう。
俺には明日があるんだ。




