歩くことができる!!
私の名前はマイケル。動物学的にいうと、両生網カエル目ヒキガエル科イボガエルである。だがたかがカエルと侮ることなかれ。私には特筆すべき点が一つある。
「なんと私は両足をピンと伸ばして歩くことができる。」
私がこうなったのは突然変異によるものではない。前回冬眠から覚めたばかりの頃、偶然地球の側を通っていた異星人にキャトルミューティレイションされるが意気投合。彼らに頼んで手術してもらい我らカエル目の悲願である二足歩行が可能になった。そしてあくまでオマケとして思考能力を三兆倍にしてもらった。
優秀な彼らにかかれば手術後も見た目には何の変化もない。あとあとで得た知識によれば真獣下網霊長目ヒト科ホモ・サピエンスらは手術するたびに見た目が変化するという。未確認情報だがメスのほうがそうなってしまう傾向が強いらしい。
私が唯一誤算だったのは、彼らに沼まで送り届けてもらったあと、さてモデル歩きでも練習しようかなと考えてきた矢先に我らの種の熱狂的ファンであるヒト科のデイビッド氏により連れ去られ、今こうして同じヒキガエル科のつれない連中と一緒に水槽にぶち込まれてることだ。
「だが、おごるなよ。ニンゲンめ。私はただのカエルではない。歩くことができるのだ」
いつの日か必ずやこの水位のやたら低い水槽を抜け出し、我らカエル目の第二の悲願であるクロールを身につけてドーバー海峡を越えてみせる。
続く(?)かも