第4話:【悲報】世界最強の聖女様、時給一二〇〇円の『清掃補助員』に応募してくる
「……えーと、エレンさん……だっけ?」
都内にある『J−クリーン』の狭い事務所。
パイプ椅子に座った俺の目の前には、昨日助けたはずの聖女様が、なぜかリクルートスーツに身を包んで座っていた。
机の上には、達筆すぎる文字で書かれた履歴書。
特技の欄には『神聖魔法(広域殲滅)』と書いてある。
「はい! エレン・ホワイトです! 本日からこちらで清掃のイロハを学ばせていただきたく参りました!」
彼女はキラキラとした目で、俺を……いや、俺の持っている『使い古しのモップ』を見つめている。
いや、おかしいだろ。
昨日のギルド幹部たちはどうしたんだ。
「あのさ、君みたいな有名人が、なんでうちみたいな弱小業者に……?」
「佐藤さんの背中を見て悟ったのです。真の強さとは、敵を倒すことではなく、世界を『清掃』することにあるのだと!」
彼女の声が狭い事務所に響く。
後ろで鼻をかんでいた社長(万年人手不足)が、ガタッと立ち上がった。
「採用だ! 即採用だ佐藤くん! こんな美人が来てくれるなんて、我が社のイメージアップ間違いなしだ!」
「ちょ、社長!? 彼女、昨日のテレビに出てた聖女様ですよ!?」
「いいんだよ、履歴書には『掃除が好き』って書いてあるんだから! さあ、今日から佐藤くんが教育係だ。しっかり教えてやれよ!」
社長はエレンさんの手を握りしめ、勝手に採用を決めてしまった。
エレンさんは感極まった様子で、俺に向かって深々と頭を下げる。
「佐藤先輩……! ご指導、よろしくお願いします!」
「……先輩って呼ぶなよ。あと、そのスーツ、ワックスで汚れるから着替えてこい」
こうして、俺の「孤独な清掃ライフ」は、世界最強の聖女様を相棒に迎えるという、最悪に賑やかな形へと変貌を遂げた。
その頃、つぶやいたーでは新たなトレンドが爆発していた。
『【速報】聖女エレン、消息不明』
『と思ったら、都内の清掃業者でバイトしてる目撃証言ありwww』
『清掃神、聖女を弟子にしてて草。どんな教育してんだよ』
『俺もあの業者にゴミ捨ての依頼したいんだけど』
――俺の時給が上がる気配は、まだ全くなかった。
第4話をお読みいただき、ありがとうございます!
ついにヒロインが「物理」で距離を詰めてきました。
聖女様、実はかなり重い女……かもしれません。
次回、第5話。
「初めての共同作業は、E級ダンジョンの『スライムの粘液除去』でした」
「エレン様の行動力に脱帽」「社長、グッジョブw」と思った方は、
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