第24話:地上が綺麗になりすぎたので、衛星軌道の『スペースデブリ』が気になって眠れない
極夜島を大理石の楽園に変えてから、一週間。
俺はWCO(世界清掃機構)の本部ビルの屋上で、特製のリクライニングチェアに寝そべり、夜空を見上げていた。
「……あー。エレンさん。……あれ、見える?」
「どれですか、総帥。……満天の星空、ですね。貴方が世界中のスモッグを洗い流したおかげで、今や東京でも天の川がくっきり見えますよ」
エレンが隣で、高級なカテキン茶を啜りながら満足げに微笑む。
だが、俺の視力は、今や『魔素浄化レンズ』並みに研ぎ澄まされている。
俺が見ているのは、美しい星々ではない。
「……違うんだよ。あの、星の間をチョロチョロ動いてる……**『点』**だよ。……あれ、使い古した人工衛星の破片だろ。……あと、剥がれ落ちたロケットの塗装カス」
「……えっ。……まさか、スペースデブリ(宇宙ゴミ)のことですか?」
「そう。……さっきから気になって、まばたきもできない。……一万個以上あるな。……誰だよ、宇宙を『捨て場』にしたやつは。……掃除の基本は、上から下だろ?」
俺はガバッと起き上がり、愛用のモップを握りしめた。
アメリカでもらった神話級の軍手が、夜風にさらされて黄金色に輝く。
「シブキ。……今の俺の肺活量と、お前の空間魔法を合わせれば……あそこまで届くか?」
『……マスター。……正気ですか? 宇宙は真空、かつ絶対零度。……ですが、マスターが「汚い」と仰るのなら、そこは既に『清掃区域』です。……私の魔力をすべて、マスターの「踏み台(足場)」に変換いたします』
「……よし。……ムサシさん! 宇宙服の代わりに、俺に『防汚撥水コート』を重ねがけしてくれ!」
「承知ッ!! 佐藤殿、ついに『天の煤』を払う時が来ましたな! 拙者の剣、大気圏を切り裂く準備はできております!」
エレンが「待ってください! ロケットもなしに!? JAXAに許可取ってませんよ!」と絶叫するのを背に、俺は屋上の縁に立った。
「……待ってろよ、宇宙。……『不法投棄』は、俺の目の黒いうちは許さない」
ドォォォォォォォンッ!!
俺は地面を蹴った。
シブキが瞬時に生成した『真空無視の超高圧酸素結界』に包まれ、俺の体は一筋の光となって夜空へ直進した。
マッハを軽々と超え、大気摩擦の熱すらも「高温殺菌にちょうどいい」と笑い飛ばしながら、俺は成層圏を突破する。
――数分後。
そこには、漆黒の宇宙空間で、モップを構えて浮遊する一人の男の姿があった。
「……うわぁ、近くで見るともっと汚ねぇな。……おい、シブキ。……特大の『静電気除去シート』、展開しろ。……全部まとめて、回収してやる」
『御意、マスター。……宇宙史上、最も清潔な「銀河の洗濯」を始めましょう』
その頃、地上の天文台では「未確認飛行物体が衛星軌道上のゴミを猛烈な勢いで『拭き取って』いる」という観測データに、天文学者たちが腰を抜かしていた。
つぶやいたーの反応:
『【緊急速報】掃除神、ロケットなしで宇宙進出www』
『NASAの職員が「俺たちの仕事が……一瞬で……」って泣き崩れてて草』
『流れ星だと思ったら、佐藤カズマがデブリを叩き落としてる音だった件』
『月がいつもより輝いて見えるのは、気のせいじゃない。……磨かれてるんだ』
「……エレン副総帥。……悪いけど、追加の『宇宙用マジックリン』、衛星軌道までテレポートで送っといて」
「……了解しました、総帥(泣)。……もう宇宙飛行士の訓練、いりませんねこれ……」
――地球上の汚れを殲滅した男の戦場は、ついに「銀河」へとスケールアップした。
第24話をお読みいただき、ありがとうございます!
ついにカズマさん、宇宙へ。
彼にとっては「宇宙も部屋の一部」です。デブリは、ただの「高いところにある埃」に過ぎません。
次回、第25話。
「宇宙清掃開始! だが、月面に『巨大な手垢』を発見!? 犯人はまさかの、月から来た――!?」
「足場を作って宇宙まで行く発想w」「NASAが失業するww」と思った方は、
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佐藤さんの「銀河大洗濯」、応援よろしくお願いします!




