第19話:五大湖を丸洗い! 剣聖ムサシ、巨大な『攪拌棒』として覚醒する
「……よし。洗剤の投入、完了。シブキ、散布状況は?」
アメリカ、五大湖の一つ・ミシガン湖の湖畔。
俺の背後には、全米からかき集められた「最高級・重曹パワー洗剤」のドラム缶が数万本、ピラミッドのように積み上がっていた。
『マスター。空中清掃艇(銀龍)による散布、完了いたしました。湖面は現在、弱アルカリ性の「理想的な洗浄液」へと変化しております』
シブキが淡々と報告する。
かつては魔素のヘドロでドロドロだった湖が、今は真っ白な泡に覆われ、巨大なバブルバスのようになっている。
「総帥。……準備は整いました。ですが、この広大な湖の底に溜まった『数千年の沈殿物』を浮かせるには、物理的な動力……つまり『攪拌』が必要です」
エレンが真剣な顔で俺を見つめる。
そう、洗濯機には「パルセーター(回転翼)」が必要だ。
そこで、俺は一人の男を呼んだ。
「……ムサシさん。出番だ」
「待っておりましたぞ、佐藤殿……ッ!!」
ムサシが、愛剣『斬鉄丸』を抜き放ち、静かに湖の前に立つ。
だが、その手には剣だけではなく、リバティ・フォースが総力を挙げて開発した『超合金製・巨大攪拌アタッチメント』が装着されていた。
「佐藤殿の雑巾がけ……あの円運動。拙者は今日、ついにその奥義を『剣』で体現してみせる!!」
ムサシの全身から、凄まじい闘気が溢れ出す。
かつて魔王の軍勢を一人で食い止めた男が、今、全霊を懸けて「洗濯機のハネ」になろうとしていた。
「奥義……『渦潮・千手回し(うずしお・せんじゅまわし)』!!」
ムサシが湖面を蹴り、高速回転を始めた。
ドォォォォォォォンッ!!
湖全体が、まるで巨大なミキサーにかけられたように唸りを上げる。
ムサシの剣閃が、水中に渦を作り出し、底に溜まっていた「古代のヘドロ」を次々と水面に巻き上げていく。
「……すごい。ムサシさん、本当に洗濯機のモーターみたいだ……」
「これぞ世界1位の剣! 敵を斬るのではなく、洗剤を混ぜるためにその命を燃やしている……! なんと高潔な武士なんだ!」
アイアン・ビル団長が涙を流して拳を握りしめる。
ムサシの回転により、湖面には真っ白な泡の巨大な竜巻が発生した。
「よし、今だ! シブキ、高圧洗浄ブレスで泡を一気に流せ! ムサシさんはそのまま脱水モードに移行!」
『承知いたしました、マスター!!』
銀龍が空から超純水のブレスを放射し、ムサシが逆回転で湖水の余計な水分を弾き飛ばす。
数分後。
そこには、底の石一つ一つが宝石のように輝く、クリスタルのように透き通った『五大湖』が姿を現した。
「……ふぅ。……佐藤殿、拙者の……『回し』は、いかがでしたか?」
フラフラになりながら戻ってきたムサシが、俺の手を握る。
「……完璧だったよ、ムサシさん。今まで見た中で、一番いい『攪拌』だった」
「……っ!! ありがたき……幸せ……!!」
ムサシはその場に膝をつき、満足げに微笑んだ。
その光景は、またしてもつぶやいたーで爆速拡散される。
『【伝説】世界1位の剣聖、全米最大の洗濯機を回し切る』
『五大湖が「飲めるレベル」どころか「不老不死の泉」になった件』
『脱水モードのムサシさん、時速500キロ超えてて草www』
『結論:WCOに不可能はない。地球は今、最も清潔だ』
「……よし、エレンさん。湖が綺麗になったから、次はここの『干し場』を探さないとな」
「……総帥。五大湖を干せるような場所は、地球上にはありませんよ」
俺たちは、自分たちが作り上げた「あまりにも綺麗すぎる世界」に、少しだけ呆れながら、次なる清掃ターゲットへと目を向けた。
第19話をお読みいただき、ありがとうございます!
ついにムサシさんが本領発揮(?)しました。
世界最強の剣技を「洗濯機の回転」に転用するという、これ以上ない贅沢なスキルの使い方です。
次回、第20話(第2部のクライマックス!)。
「五大湖の浄化により、封印されていた『古代の汚物神』が目覚める!? だが、佐藤さんは『あ、ちょうどいいタワシが来た』と喜ぶ回」
「ムサシさん、カッコいいけどバカすぎるw」「脱水モードは反則w」と思った方は、
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皆様の応援で、佐藤さんの「特大洗濯バサミ」が届きます!




