最終決戦 中編
「準備オッケー…やるぞテメェら!」
「はいっ!」
「なのです!」
声を合図に皆がそれぞれ動き出した。
使う武器は
スタンガン
鎖鎌
メリケンサック。この三つだ。
「心美!これを受け取れ!」
まずは第一段階。走り回る心美にメリケンサックを渡す。というかぶん投げる。心美が俺の声に反応したのを確認してからメリケンサックを宙に投げた。全力で投げたため、あらぬ方向に飛んだメリケンサックだったが、今の心美の身体能力なら取れると判断。結果として、それは正解。心美は華麗な大ジャンプでメリケンサックを手中に収めた。
「ヒャッハァァァァァァァ!」
俺の傍らで月神は少々手を加えた鎖鎌をブンブン回している。
(なんか様になってんなぁ…)
「これでテメェの目ん玉に風穴空けてヒィヒィ言わせたるけんのぉ!」
(コイツ本当に警察官か…?)
「おらっ!」
月神は鎌を巨人の顔目掛けて投げるが、呆気なく巨人に素手で弾かれ、鎌は近くにあった信号機の上に宙吊りになった。
「あっちゃぁ~…」
「うがああああああああああああああ」
「何やってんすか!月神さん!」
巨人は歓喜とも威嚇ともとれる咆哮を放つ。俺らの攻撃をかわした事に何かしらの感情が働いたのだろう。
「くっそおお、こうなったら…心美ちゃん!」
「はいっ!」
月神の声を合図に心美は先程のメリケンサックをはめた手で近くにあった消火栓を破壊した。大量の水が勢いよく吹き出て、巨人の顔に直撃する。
「んがっ、ふぐ、うがああああああああ」
あまりの水圧に巨人は一瞬たじろいだ。顔に当たった事もあり視界を封じる事にも成功する。
「うおーーーーー!」
怯んだ巨人に亜美が特攻し、手に持っていたナイフで巨人の皮膚を突いた。
「なのですっ!なのですっ!なのですっ!なのですうううう!!」
薬によって硬化した巨人の皮膚にはナイフの刃は通らず、キンっキンっと硬いもの同士がぶつかる音がただただ響いた。実は月神の投げた鎖鎌を弾かせるのはコチラの作戦の内なのだが
「ちょちょちょちょ!?何してんの亜美さん!?」
「かってぇー皮膚でも濡れたらいけるかなと思ったのです!」
これに関しては全くのアドリブであった。
「ぐうぅぅ…」
「やーいやーい、悔しかったらコッチに来るのです!」
「ここ…みぃ…ここ…みぃ…」
「っ…私は亜美!亜美なのです!実の娘の顔も判別つかなくなったのですか!パ…クソ親父!」
「うがああああああああああああああ!!」
挑発に乗せられたのかは知らないが、巨人は亜美に興味を持ち、彼女を追いかけだした。
「よし…後はこのままあの場所まで…って、おそ!?」
「う…運動は苦手なのですううう!」
亜美は必死に巨人から逃げるが、とてつもなく足が遅かった。このままではあっという間に巨人に捕まって食われてしまう。助けようにも立○機動○置なんて洒落た武器も無い以上、助けに行く算段が無い。
捕まってしまう。そう誰もが思った矢先
「お姉ちゃんに…触んないでっ!」
咄嗟に駆けつけた心美の足蹴りによって巨人の手が弾かれ、何とか事なきを得た。
「ぅ…うぅ…恋々美ぃ…」
「大丈夫?お姉ちゃん。私に捕まって」
「…きゅん」




