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裏口

客の誰かが呼んでくれた救急車と警察が到着し、横塚は救急車に乗せられ病院へ。俺と将、心美の三人はそれに付き添う事に。救急車が近くの病院へ到着するまで俺達は一言も喋らなかった。喋る事ができなかった。

急に現れた謎の男。

本物の拳銃。

死にかけの委員長。

救急車と警察。

未だに現状の事態に理解が追いついていなかったのだ。

病院に着いてすぐに横塚は集中治療室にて緊急手術。結果から言って横塚は助かった。運良く弾は急所を外れており、術後少ししたら彼女は目を覚ました。


「おはよ…心配…かけたね…」


横塚が生きててくれた事に俺達は柄にも無く二人して大泣きして喜びあった。病院の中だったが、そんな事気にしている余裕は無く、三人でわんわんと泣きわめいた。

そう三人。

ここに今心美はいない。なぜか心美は一人だけ一足先に事情聴取に連れていかれてしまった。一応は保護者という事で俺は心美との同伴を名乗り出たが、それはなぜか許可されず今に至る。


「横塚が助かって良かった。でも俺は駄目かもな…」

「?…何だよ、亮太は撃たれて無いだろ」

「いや…心美の件。警察にバレたし…」

「…あ、そっか。いや、でも大丈夫だって!状況が状況だったし…きっと!たぶん!おそらく!」


心美との生活がこれで明るみに出てしまった。俺は世間から見たら記憶喪失の幼女を拉致監禁した犯罪者だ。捕まるのは時間の問題だろう。実は親戚の隠し子でした。なんてオチを期待するしかない。


「ちーっす」


ぶっきらぼうに挨拶をしながら一人の警察官が病室に入って来た。その横には心美もいる。


「この嬢ちゃんの事情聴取は終わったから、次は君ら二人ね~。署まで戻んのもめんどーだし、パトカーの中で良いよね」

「分かりました。心美、横塚と少し待っててくれ」

「うん」


ガラガラガラガラ…ピシャ


「あの…お姉ちゃん」

「んー?どうしたの心美ちゃん…ハスハス」

「実はね…」






☆●◇■△▼*▽▲□◆○★






病室を離れ、事情聴取のためパトカーに乗り込む俺と将。俺達は男の事を一部始終話した。


「んー、どうやら間違いは無さそうだね~」

「それじゃあ、もう」

「うん、話は終わり。戻って良いよ~」


警察官の許可がおり、早々と将はパトカーのドアに伸ばしたが、俺はそれを手で制止した。散々質問攻めにされたのだから、次はこっちの番だ。


「待ってください」

「ん~どうしたのかな?少年」

「お、おい!早く戻ろうぜ亮太」


将がやけに帰りを急かす。理由は分かっている。横塚が心配なのもそうだろうが、一番は例の件について尋問されない内に去ろうという魂胆なのだろう。だが今となって、俺はそれでは引き下がれずにいた。あの男が最後に叫んでいた「悪魔」という発言も気になる。


「あの男は一体誰なんですか!?俺の処分は!?心美はあの時…何で…」


警察官は困った様子で頭をボリボリ掻き出した。いくら当事者とはいえ、こんな子供に話をするには躊躇いがあるのだろう。だが、何が何だか分からない今は少しでも情報が欲しい。


「ん~…まぁ、良いだろう。あまりこういう内密な情報は話さないように言われてるんだけどね。僕だから特別に教えてあげよう。じゃあまず最初の質問から…」






「あの男は少女の父親だ」

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