表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/45

初めての玉遊び

「ぶ~~~…」


先日の件で外出禁止を言い渡された心美。不貞腐れた感じで頬杖をつき、窓の外を眺めている。「退屈なのにお兄ちゃんのせいで外に遊びに行けないよ~」という文字列が心美の背中から読み取れる。

俺は一つため息をつき、ある提案を心美に持ちかけてみた。


「心美」

「ん~?」

「ちょっと俺の遊び相手をしてくれないか?」

「…お兄ちゃんの?」






☆●◇■△▼裏庭へ▽▲□◆○★






アパートの裏にある裏庭という名の空き地へ心美を連れ出した。そして俺が用意したのは柔らかい手のひらサイズのゴムボールとグローブ。皆様お馴染みのキャッチボールセットである。


「ちょっと最近肩が鈍ってきてな、少しキャッチボールの相手でもしてくれ」

「んー…いいけど…」


機嫌が悪いからなのか、あまり乗り気の様子では無い心美。無理強いはしたくないが、このまま部屋の中、気まずい空気で二人きりなのもキツイ。俺は半強制的にキャッチボールを開始した。相手は幼女だ。もちろん軽く宙に放る程度に投げた。


「あわ…わ!わ!わぁ!…と、取れた!」


千鳥足を踏みながらも心美はボールを無事にキャッチ。はめているグローブにすっぽりと収まっている。さっきまでの機嫌の悪さはどこへやら、心美は嬉しそうに今取ったボールを見せびらかしながらピョンピョンと跳ねている。すっかり上機嫌だ。


(ふふん…チョロい)

「お兄ちゃん何か言った?」

「ギクゥ!?いや!?何もぉ!?」


心を読まれた!?恐ろしい子!


「ほ、ほら心美。次は心美の番だぞ!おいで~おいで~」

「う…うん。ていっ!」


何とか誤魔化せた。

心美は大袈裟に振りかぶってボールを投げた。しかし所詮は幼女。どれだけ思い切り投げようともパワーはロリっ子級。放たれたボールは俺の左斜め上にゆっくりフワフワ飛んできた。


「おっ…とと。やるな心美。けど…まだまだだね」


ちょっと意地悪したくなった俺はさっきよりも強めにボールを投げた。もちろん怪我はさせないように配慮した威力だ。


「わっ…ん、お兄ちゃん強く投げたでしょ!あぶない!」

「ありゃ、バレたか~ハッハッハ」


心美は難なくキャッチ。強めに投げたのを見透かされ、怒られる俺氏。


「うー、心美も本気で投げるからね!知らないからね!」

「良いだろう、かかって来なさい」


完全に調子に乗っている俺は心美を煽り散らかす。

いくら頑張って投げても大した威力は出なー


ズギュウウウウウウウウウウウウウウウン

ゴシャアアアアアアアアアアアアアアアア

シュルシュルシュルシュル………


「…ふぇ?」


心美が投げたボールは高速で俺の頬を掠め、庭を囲っている塀にめり込んでいた。塀にめり込んでも尚ボールは数秒回転し続け、回り終わった今ようやくボールは落ち…て来ない。完全に塀にめり込んでいる。


「…スーッ」


突如謎の才能が開花した心美。それを目の当たりにした俺が取った行動。それは


「心美」

「んー?」

「…やっぱり部屋の中で…遊ぼうか」


逃げる事だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] おいおいおい死ぬわアイツ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ