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感謝を伝える晩餐会

どうやら1時間半程眠っていたようだが、気がつけばベッドの中だった。

傍には父様が座っていてビックリしたが、ジャンケンで勝ち取ったらしい。

間抜けな寝顔を見てるだけなんてなんの得があるんですかと聞いたけど、今までこんな時間さえ取れなかったのだからと父様が嬉しそうだったのでそれ以上の追求はやめておいた。

一緒に軽食を摂ってアンセルマは再び晩餐会用のドレスに着替える。

今度もドレスの基礎は白のドレスだが、その上にリカルドのマントと同じ濃紺のベルベットが重ねられ金色の縁取りと王家の紋章がドットの様に散りばめられていてお揃いだ。

青と白のストライプのサッシュを肩から反対の腰に向けて付ける。

やはりトレーンは長めだが、先ほどのウエディングドレスに比べればだいぶ短く動き易い。

着替え終わる頃を見計らった様にリカルドが迎えに来てくれた。

リカルドもグレーの服から白を基調とした服に着替え同じサッシュをしている。


「お洋服お揃いで素敵ですね」

「アンセルマが喜んでくれたなら何よりだけど、アンセルマは何を着ても可愛いね」

「リカルド様こそ全部カッコイイですよ」


アンセルマの隣を歩くエルナンドがイチャイチャするなと小言を言うが、反対側のガスパルが新婚ですからと嗜めた。

だがリカルドはアンセルマが可愛いのは今に始まった事ではないから護衛を続けるなら慣れてくれと一蹴する。

アンセルマが可愛いのなんて生まれた時から知ってますよ!と謎の張り合いに発展する頃には晩餐会の会場のドアの前だった。



晩餐会は恙無く進行され、あとはリカルドの挨拶と退場という段になる。

目新しい料理の連続とアンセルマが結婚式ってこういうものでは?と前世の記憶の常識を披露した結果採用された進行の新鮮さにゲスト達の表情も温かい。


「アンセルマ、何か皆にお礼を言いたいんだよね?父上から聞いたんだけど合ってる?」

「あ、はい。合ってます」


こっそりリカルドに耳打ちされてアンセルマは了承する。

寝てしまったのであまりちゃんと考えた訳ではないが言いたい事は大体決まっている。

2人が侍従に椅子を引いてもらい立ち上がると自然とゲストの視線が集まった。

リカルドがアンセルマの腰を抱いてお礼を、とタイミングを教えてくれる。


「本日はご多用のところ、晩餐会にご列席いただき、誠にありがとうございました。皆様にたくさんの祝福をいただき、嬉しい気持ちでいっぱいです。

私ごとではございますが、少しお時間をいただいて、両親への感謝を伝える事をお許しください」


公爵以外は知らなかったらしく、興味津々のゲストと違い父様と母様は驚いて目を見合わせている。

公爵夫人も知らなかった様だが、自分は関係ないと思っているのかゲストに近い反応だ。


「父様、母様。今日までの13年間、本当にありがとうございました。

今日という日を迎えることが出来たのも今まで育ててくれた父様と母様のおかげです。

父様は騎士団長というお立場でありながら、お休みの日だけでなく、平日の早朝から私の剣の相手をして下さいました」


子供の頃から兄様の真似をして、という事になっているが単に前世の記憶から魔力を増やす為に色々やった事や、常識を色々覆して魔法やら魔道具やら自重知らずにやりたい放題だった事をオブラートに包んでやりたい事を令嬢だと否定せずにやらせてくれたことに感謝した。

それからリカルド様が王位継承権を持ってることすら最近まで知らなかった事をアピールしつつ、父様と同じ様に自分を尊重してくれるパートナーを選んでくれた事にも感謝を伝える。

更に漠然とした不安から不安定になったアンセルマの気持ちを優先して公爵家に生活の拠点を移してくれた事も他の人には秘密なので、公爵家と協力して見守ってくれたと感謝した。

父様は相変わらずの号泣だが、母様も、ゲストの中からも貰い泣きする姿が見える。


「リカルド様のお義父様、お義母様。婚約が決まった時から温かく迎えて下さりありがとうございます」


次に公爵夫妻にも本当の娘の様に愛してもらった事を感謝した。

特に不安な時にさりげなくアンセルマを話を聞き、視野が狭くなっているアンセルマの視点を変える様に気づかせてくれたこと、やってはいけない事をやっていたアンセルマを叱らずに自分達がどんなに悲しいかを伝えて抱きしめてくれた公爵に感謝する。

公爵はクールだと思っていたけれど、最後の数ヶ月は本当によくアンセルマを見ていてくれた事を気付かされたし、愛されていた事を感じた日々だった。

バジリナお義母様はリカルド様よりアンセルマの事をいつも心配してくれていたと思う。

リカルドを信頼して任せてはいたけれど、アンセルマのやりたい放題を自分の利益に変える様に見せ掛けて動き易い様に調整してくれていたのだろう。

そんな事を話したら、バジリナお義母様も、公爵すらも涙を流していた。

お義父様が泣くとは思っていなかったのはアンセルマだけではないらしい。

アンセルマの腰を抱くリカルドも驚いてまっすぐ親達を見つめていた。

公爵家にこのまま嫁ぐのだと思っていたけれど、まさかの王家に入ることになってしまったが、4人共自分達の親である事は変わらないのでこれからも宜しくお願いします、と挨拶をした。


「王様、今日からヴェルトハイム=ローゼンベルク家の一員になることを本当に嬉しく思います。

何かと至らないことも多い私ではございますが、これからよろしくお願い致します。

今日という日を迎えることが出来たのは今まで支えてくださったご列席の皆様のおかげです。

この幸せな一日を胸にこれからリカルド様と夫婦としてこれからの人生を歩んで参ります。今後とも変わらぬお付き合いをよろしくお願いします」


少し話が長くなってしまったが、アンセルマはそこで会場に向けてカーテシーを行う。

ゲストからは惜しみない拍手が送られ、泣いている人も多い。

続いてリカルドが閉会の言葉を述べて2人は部屋を後にした。

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