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艦隊、西へ  作者: ひびき
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新兵器開発計画

横須賀海軍工廠では、新型の研究開発が行われていた。

日英米独の技術は、互いの国の技術力を大幅に向上させた。

この日、ドイツの研究者達は日本に来て、情報交換をしていた。

ドイツと日本はソ連と国境を接していることもあり、この両国はソ連研究の最先端でもある。

「我がドイツでは、大型の主砲を搭載した潜水艦を進水させました。」

今回交換する技術のうち、ドイツが持ってきたのはこの大口径主砲搭載型潜水艦であった。

「どうも、日本の感覚ですとこの潜水艦の運用方法が分からない。ご教授願いたい。」

「我が国の魚雷技術は貴国より劣っております。が、砲の製造では貴国とは違った研究をしており、この潜水艦は重巡クラスの砲撃力を持ちます。

我が軍ではこれを通商破壊のみならず、敵基地への砲撃作戦などに応用しています。」

「ソ連のミサイル搭載の潜水艦と同じ様な運用構想ですか……?」

「あの潜水艦はコストがかかりすぎます。陸軍国の我々にあのようなものを持っておく理由は無いのです。しかしこの潜水艦であれば、コストを抑えつつ、潜水艦と重巡の良い所を使えるのです。

後はどうやって爆音を抑えるかですが……。」

「なるほど、我々の潜水艦思想とは異なった物だ。」

「ドイツは貴国の中東進出に感謝しております。そのおかげで現在は開戦時の領土まで奪還しました。さらにイギリスからの輸送もあり、あと数年は持ちこたえられます。」

「貴国にソ連の攻撃を引きつけさせている現状は悪いと思っています。ですが、地中海を抑えたら。我々は最後の大作戦をする予定です。」

「存じております。そのために我が陸軍兵力は温存されております。」

4国同時作戦は、間もなく実施されんとしていた。

その為の地中海の制海権確保である。

ともかくこのドイツの潜水艦の情報は直ちに山本の耳に届いた。

「これなら……。」

山本は一つの確信をした。

「確かに、この潜水艦はジェリド湖の艦隊攻撃にはうってつけの様に見えます。ミサイルや航空機の様に迎撃される可能性も低いです。

ただし、この程度の主砲では大した戦果は挙げられません。」

それが大きな課題となった。さらにもし敵潜水艦がいれば、この作戦自体が困難になる。

このドイツ潜水艦は主砲を搭載した都合で魚雷が撃てない。これでは潜水艦に太刀打ちができない。

ソ連は今や日独を超えた潜水艦大国である。

「だが、この潜水艦によって、あの基地を使用不能にすれば我々の勝率は上がるぞ。」

「確かに、この基地が使用不能になれば、普通の軍港に行くしかないでしょう。それならやれます。」

こうして、ドイツ潜水艦の生産が決定。

だが、日本の需要に合わせ、ドイツのそれよりも大きくなった潜水重巡洋艦が建造される事となる。


「1から作るよりはずっと楽ですが、戦時中に作る船ではないですな……。」

「1艦いれば十分だ。頼みますよ。」

横須賀海軍工廠で竣工したこの潜水巡洋艦は機密保持のため、呂001号と名付けられた。

実は、すでに伊400型の船体があったため、工期は大幅に減少。砲撃力不足も発射速度と引き換えに向上させた。

さらに元が伊400の為、魚雷も撃つことができる。

なにより、操艦自体は今までと大差が無いというのが大きな利点である。

さらに、後のことを考え、主砲パーツを外し、通常兵装へ換装すれば普通の伊400型にもどる。

この構造は後にスタンダードになる。

こうして1ヶ月の後、ついにこの潜水艦が完成した。

この間で、中東の情勢は大きく変わり、ついに地中海攻略も夢ではなくなった。

この潜水艦は特戦隊へ渡された。

当初の結成目的からかけ離れて何でも屋になりつつある彼らだが、実際問題彼らにしか扱えない代物である。


時間はドイツの技術者が来た頃にもどる。

西園寺は山本と話をしていた。

「どうも、最近のソ連軍の活動は陸がメインのようです。」

「実際、彼らもどこで決戦するかが決めかねているのでしょう。あれほどの艦隊はソ連と言えども作るのは困難です。ですから有効に使うタイミングを探っているのでしょう。」

「私が心配なのは、それだけではありません。アフリカ大陸がほぼソ連側になった今、南米方面も危険になっています。」

「そのとおりです。」

「あそこの艦隊は、噂によればソ連軍の奇襲を受けて壊滅したとか。」

「リベリアの空港からの重爆撃機が彼らを沈めたそうです。我々はこの爆撃の戦術に詳しくありませんからな。研究の余地が大いにあります。」

「仮にその重爆撃機が航行中の船を沈められる様なら、空母以上の強敵です。」

「重爆撃機の迎撃機なる物が必要とされるでしょう。現在の雷電ではとても間に合わない。」

「ドイツでもそれが問題のようです。どうも従来の戦闘機の常識を覆すようなとんでもない物を研究中とか。」

「私も聞きました。v1を戦闘機にした様な奴だそうで、彼らはジェット機と呼んでおります。」

「日本もジェット機……とは行かなくとも高性能の迎撃機が必要ですな。」

こうして、高高度迎撃機が開発される事となる。

だが、日本はこの重爆撃機についての危機感が薄く、研究はあまり順調ではなかった。

このため、日本軍は大打撃を受ける事となる。

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