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艦隊、西へ  作者: ひびき
1/7

インド洋制海権確保

本作から歴史ネタが入ってきますが、うざかったら飛ばしてください。

荒巻義雄さんのように書きたいのですがなかなかむずかしく、練習中です。

インド洋はソビエト連邦の潜水艦によって支配されつつあった。

さらに、ドイツ攻略作戦成功の後、インド攻略作戦を彼らは計画しているのだ。

独立を得たインドでは、ヒンドゥー、イスラムの宗教対立が起こっていた。

そもそも、なぜここに対立が生まれているのか。

インド北西部はカイバル峠を通ってイラン高原の文化が入ってきていた。

そして、イラン高原は様々な地域から文化が流れてきているのだ。

アーリア人の侵入に始まり、アレクサンドロス大王の征服等々、この地域は常に何かしらの文化が入ってきている。

インドがイギリスの支配を受けるまでは、自治が基本できていたのは、先進地域の文化を取り込める一方、先進地域の軍隊の侵入を阻む山脈があったからである。

そんなインドであるので、イスラム教が入ってきたのは当然の事とわかるだろう。

8世紀後半にアッバース朝が成立、彼らはインダス川にまで進出した。

その頃、インドではヴァルダナ朝が滅亡、ラージプート時代へと突入する。

続き10世紀ではイラン高原にブワイフ朝、さらに中央アジアにてサーマーン朝、その隣にカラハン朝がある。

11世紀になると、サーマーン朝からガスナ朝が独立し、カラハン朝との抗争が始まるのだ。

このガスナはインドへ侵入を開始、インドにイスラム教が入った。

同様に12世紀ではホラズム朝とゴール朝の対立の中で、ゴール朝はインドへ侵入を繰り返した。

驚くべきは、ゴール朝は北インドを支配域にしていたということであろう。

このゴール朝をホラズム朝が破ると、ゴール朝のトルコ人奴隷兵士のアイバクがインドに奴隷王朝を建て、デリースルタン朝が始まるのだ。

こうして、インドではイスラム教が広がっていったのである。

だが、彼らの対立の始まりはここではない。

16世紀に成立したムガル帝国が、本格的な対立を生み出した。

6代皇帝アウラングゼーブは従来のヒンドゥーへの融和をやめ、イスラムを強制し、人頭税を復活させたのである。

その為、反ムガル派が台頭し、内戦にまでなってしまった。

イギリスが植民地化した事により、一旦は停止したこの戦いは、イギリスからの独立によって再燃したのである。

厄介なことにインド国民会議のネルー、チャンドラボースはヒンドゥー教徒のみでの独立を望み、全インドムスリム連盟のジンナーはイスラム教徒の独立を望み、ガンジーは両宗教の融和と共同での独立を望んでいた。

この三極構造が、インドの問題となっていたのだ。

西園寺はその事を常に気にかけていた。

「幸いなのは、彼らはキリスト教徒でなかったことです。もしキリスト教徒なら、ソ連はこじつけで支援をしていたでしょう。」

山本もそれに同調した。

「インド洋の制海権をソ連に奪われている現状はやはりよくありませんな。いつ太平洋へ来るかもわかりません。それに、制海権があるということはソ連はいつ、どこで、どんな規模の軍を送るかの決定権をもっていると言う事です。我々がいかに守ろうとしても、前線の真後ろに軍が現れては勝ち目がありません。」

「そこで、草加少将の出番です。」

彼のフィリピン支援艦隊は解体され、新たにインド洋対潜艦隊が編成された。

軽空母 龍驤 祥鳳

対潜戦艦 鮫洲

特四型駆逐艦✕10

対潜戦闘に特化したこの艦隊がインド洋の潜水艦を狩り尽くす作戦である。

大東亜戦争終結から数日後、彼らはインド洋のへ侵入。これをソ連軍は探知した。

「ついに日本軍はここまで来た。この艦隊を手始めに潰し、我が海軍の力を見せるのだ!」

ソ連軍潜水艦はポンプジェット推進の奴もあるにはあるが、ほとんどは従来と同じでスクリュープロペラで動いている。

彼らの特徴は、数である。

数の力でインド洋を抑えているのだ。

ここに展開するソ連軍の潜水艦は交代を含めて推定100艦である。

その殲滅のために作られた戦艦が鮫洲である

戦艦とは名ばかりで、実際のサイズは重巡くらいである。

主砲は対潜弾を搭載し、さらに、対潜魚雷を満載。

電探も大型のを積んでいて、これで見つけられない艦は今はなかった。

だが、対空戦闘や砲撃戦をできるだけの装備は無く、万能艦ではない。

随伴の特四型駆逐艦にも、対潜魚雷を搭載し、さらに爆雷投射機も搭載していた。

空母は爆雷や魚雷を艦攻や艦爆で落とさせる。

本質的には従来と変わらない戦法である。

実際、対潜水艦戦術はほとんど進歩していない。

これは日本のみならず、世界各国でこうなのだ。

果たしてこの新造艦は役に立つのか……。

草加はその点を気にしていた。

確かにこの新造艦は対潜戦闘専用艦としては高性能ではあるものの、新技術が生まれればすぐに旧式化してしまう。ドレッドノートのようなのが出てくれば一気に旧型になるのだ。

草加は従来艦の改装に留めるべきと考えていた。

だが、西園寺から渡されたので、考えを改めて任務に当たっていた。

「だが、近い将来にソ連は新しい対潜戦闘を生み出すはずだ……。」

そんなことを考えていたとき、突如として魚雷が飛び出してくる。

「取舵、うまく避けろよ。」

草加はインド洋に入ってからずっとこの魚雷に悩まされていた。どうも適当に見つけた艦に好き勝手に撃っているらしい。

たしかに軍属じゃなければそれでも十分だろうが、我々は日本海軍である。

そのような雷撃は意味がない。

草加はこの雷撃もその手だと思った。

「提督、付近に敵潜水艦を探知しましたが……。」

「どうした?」

「数が異常です。30もの潜水艦がレーダーにうつっています。」

草加は驚愕した。これがソ連式の海軍戦術である。

「戦闘準備、これは大物が来たぞ。」

空母から航空機が飛び立ち、直ちに対潜戦闘を開始した。

「魚雷を準備しろ。駆逐艦は爆雷で敵潜水艦を地点Dへおびき出せ。」

彼は爆雷より魚雷に信頼を寄せていた。そのため、敵潜水艦を集めて魚雷をその地点に集中させて倒そうとしていた。

しかし鮫洲のレーダーは敵潜水艦が全く動いていないということに気づいた。

「くそ、爆雷では埒が明かないぞ。奴らそれを知って潜航しているんだ。」

草加は駆逐艦に輪形陣に戻るよう命令した。孤立した駆逐艦は格好の餌であるからだ。

「鮫洲の主砲を試す。撃ちまくれ。」

鮫洲の砲弾は潜水艦狩りの為に作られた砲弾で、たしかにこれならやれる可能性があった。

しかし、弾数が少なく、30もの潜水艦をやれるだけの装備ではなかった。

「これなら魚雷を減らして砲弾を増やして来るべきだったな。」

と、後悔しても後の祭りである。

「潜水艦5隻をやりました!しかし主砲の残弾わずか。」

まだ25艦残っている。しかもレーダーによれば後方にまで展開し、我々の退路を塞いでしまった。

「やるしかないぞ。右舷に1番発射管を向けろ。左舷には2番発射管だ、駆逐艦も担当の場所に魚雷を撃て。」

草加の全方位魚雷攻撃が発動した。

瞬間、約100発の魚雷が全方位に打ち出される。

さらに、鮫洲のレーダーと連動し、魚雷がすべての敵艦に追尾を始める。

「頼むぞ、これが駄目ならもう打つ手がない。」

草加の祈りは届いた。

魚雷は次々と敵艦を攻撃、包囲網を破ることに成功したのである。

「魚雷が命中し始めました。また敵は潜航を始めています。」

「おそらく奴らの潜水艦は一定の深度でないと魚雷が撃てない。潜航している今こそ、撤退のときだ。

一旦ここは撤退し、情報を持ち帰ろう。」

草加は素早く艦隊を反転させ撤退を始めた。

だが、ソ連は決死の覚悟で浮上、魚雷を撃つ準備をした。

「反転中に狙ってくるのはわかっていたぞ!艦攻にやらせろ。」

艦攻は魚雷を付近に投下、潜水艦を撃沈した。

だがそれは囮で、後方からさらに魚雷が迫った。

「提督、我々のレーダーに映らない敵がいます!

魚雷が突如現れました。」

「ちぃ……やられてたまるか。」

だがその言葉虚しく、魚雷は鮫洲を貫いた。

「動けません……。」

「脱出だ、駆逐艦の速力なら逃げ切れる。」

鮫洲は乗組員を駆逐艦に移動させた後、雷撃処分された。

草加はデータを胸ポケットにしまった。

「くそ……。次はこうは行かないぞ。」

対潜戦艦鮫洲の犠牲により、その他の艦は脱出に成功、タイランド湾へ撤退した。

草加は直ちに本国へ連絡した。

「申し訳ありません……。我が艦隊は鮫洲を失い、さらに当初の作戦目的は達成できませんでした。」

「そうか……。」

山本の残念がる声が聞こえた。

「だが、君の持ち帰ったデータは貴重だ。これをもとに研究を行う。君たちはその海域の防衛に徹するように。」

「はっ……。」

インド洋の制海権を確保するという目的は達成されなかった。

これを受けて、海軍大本営では従来の対潜戦術の改革を決定。

話し合いが始まっていた。

「私としては、水上艦を対潜戦闘につかうべきではなく、潜水艦で潜水艦を狩るべきと進言します。」

「重爆撃機に爆雷を満載するのはどうでしょうか。」

などと、意見は出るが会議は難航した。

その時、一人の男が声を出す。

「司令長官、このデータをご覧ください。」

それは草加の持ち帰ったデータであった。

「解析が終わりました。まず、最初に写っていた30艦の潜水艦ですが、これらはS型潜水艦でした。が、従来よりも潜航深度が深く、そのために魚雷が当たらなかったのです。これはすぐに改良すればなんとかなります。

問題は鮫洲を撃沈した奴です。こいつは鮫洲でも音が撮れませんでした。おそらく核攻撃したポンプジェット推進型のと同型艦でしょう。

こいつの魚雷は我々のホーミング魚雷と同性能の魚雷を搭載しているようです。

さらに発射された地点はかなり深く、これを撃沈するのは困難です。」

「現状の兵器では無理というのか。」

「アメリカの核を除いて、です。」

山本はこの潜水艦に恐怖した。

「ただ、制海権を確保するという目的であれば、こいつは無視するという手もあります。

たしかに恐るべき潜水艦です、がこれ1艦ではインド洋の封鎖はできません。」

「まて、なぜ君はそいつが1艦と断定しているのか。」

「透視です。」

「なに……?では君は。」

山本は西園寺から軍内部の特殊な能力者を育成していると聞いていた。

「私は西園寺総理の超能力部隊に所属しているのです。」

彼は山田少尉。生まれつき透視能力をもっている超能力者である。

しかし彼は海軍ではデータの分析を専門にしていた。

超能力者であるがデータの重要性も理解し、それらを応用した新時代の軍事戦略を生み出そうとしていたからである。

「私の透視では、現在例の潜水艦はマダガスカルの基地に駐留しております。

ですから、今すぐ草加艦隊を出撃、セイロン島まで行ければインド洋の制海権を確保できます。しかしそこから先はまだ見えません。」

「ふむ……これに賭けるのも少々危険だが……。」

「私は草加提督とは友人です。彼は私を信じてくれますし、私も彼を信じています。今、彼の能力があればインド洋の制海権を確保できます。」

「……やってみよう。」

山本は反対する幹部を抑え、草加艦隊を出撃させた。

草加は鮫洲の敵討ちの為に、現地改造の魚雷を撃ちまくり、片っ端から沈めていった。

次の日には、セイロン島にたどり着いていた。

草加は山田に電話した。

「よお、久しぶりだな。」

「うん、久しぶり。」

「お前のおかげでインド洋の制海権を確保した。」

「よかった、無事で。でも、新型の潜水艦には気をつけてね。まだ見えないんだ。」

「そうか……まぁここぞってときに見えるのが君の能力だろう?だから今は休んどくんだな、じゃまたな。」


奇跡的なこの作戦によって、インド洋の制海権を一時的に確保した日本海軍。山本は、呼び戻した特戦隊にマダガスカル攻略作戦を命じた。

新型の潜水艦のドックを襲撃、潜水艦を使用不能にするのが主目標である。

インド洋の運命は特戦隊に託された。

今後の投稿ペースは落ちると思います。

では、また次回でお会いしましょう。

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