爺ちゃんの元へ
秋にとなり、収穫も無事終わった。と言う事で・・・・。
「爺ちゃんの所に行ってくる!」
「「はあいぃ?」」
父さんと母さんは、えっ、どう言う事? という顔をしていた。
「いや、爺ちゃんがお城作って、て言ってたから」
「だが、もう冬前だぞ。どう・・・・あぁ、そうか」
「うん、そう言う事」
「あなた、どう言う事何です?」
「ジークの魔法兵なら、寒さなど平気だろ」
「えぇ、そうね。魔法だもの。あっ、そう言う事ね」
「そう言う事なんだよ母さん」
俺の魔法兵に夏も冬も関係無い! だって、魔法だもの!
「それに、爺ちゃんの所は必要だと思うし」
「まあな。どちらかと言えば、うちの城よりは・・・・必要だな」
「だから行って来ます!」
「分かったわ。でも、気をつけるのよ」
「うん、分かってるよ」
「一応、護衛部隊をつけるとしよう」
「出せるけど?」
「出せる以前の話だ。お前を見守る者が必要だからな」
「うん、分かったよ。あっ、オットーもつけてね」
「あぁ、分かった。早馬で親父に知らせておくか」
☆☆☆
「それで、私は若様と共に、北のクラメルに向かっていると・・・・」
「そう言う事。それにだって、オットーは俺の騎士じゃん」
「まあ、そうなんですが・・・・ハァー、若様と一緒だと飽きませんね」
「つまらない人生より、ワクワクする人生の方がよくない?」
「人によりますよソレ」
それもそうか。俺だって、のんびりと暮らしたいと思う。
だからこその、お城建設なんだけどなぁ〜。
「後、どのくらい掛かるかな?」
「そうですねぇ、四、五時間もあれば到着出来るかと」
「まあ、のんびり馬車に揺られて行きますか」
「あまり、のんびりし過ぎないで下さいよ。魔物だって出る場所何ですから」
「その為のオットー達でしょ」
「そうですが・・・・」
「オットー、そこは若様を安心させるくらいの事を言わないか!」
「はい、お爺様」
「オットー! 任務中はお爺様と呼ぶでない!」
「申し訳ありません。ルーファス様」
「うむ」
「・・・・と言うか。何でジィが一緒に来てるの?」
「クラメルに行くとなれば、わしが行かずして、誰が行くと言うのです!」
「はいはい」
何かジィが燃えてる。それにしても、どう言うつもりで来たんだか。血でも騒いだかのな?
*****
「おっ、見えて来ましたぞ若様!」
「おぉー、あれが爺ちゃんの住んでる街、クラメルか。多少の砦化はしてあるんだな」
「その様ですね。私もクラメルは初めてなので・・・・」
「あれ、オットーは来た事無いの?」
「えぇ。そもそも、若様の護衛ですから。若様が住んでらっしゃる街、クリメラから出る事何てあまり無いですから」
「そうなんだぁ〜。ん? あれって・・・・爺ちゃんだ!」
「おーーい、ジークスヴェルトー!!」
街の入り口にある門で、爺ちゃんが手を振っていた。と言うか、爺ちゃん声デカ過ぎ。あそこから、声が届くって・・どんだけデカい声何だよ。
「ジークスヴェルト! よく来たぁ!」
「爺ちゃん・・・・苦しいよ。後、髭が痛い」
「おぉ、すまぬ。はっはっは、よく来たジーク。早馬で知らせを聞いて、今か今かと、楽しみにしていたぞ!」
「楽しみって、今日届いたばかりでしょ。数時間の差があるだけじゃん」
「そうだが、凄く嬉しかったのだ!」
爺ちゃんはニコニコの笑顔で、答えた。
「もう、あなたったら。ジークちゃん、いらっしゃい」
「おばあちゃん!」
おばあちゃん目掛け抱きつく。爺ちゃんはそれを、ムッとした顔で見ていた。
「むーー、リーファは狡い!」
「お髭を切ったらいいんじゃない?」
「それは・・・・うーむ」
「そろそろいいですか母さん?」
おばあちゃんの後ろから、痩せ型の男性が声をかける。
「ジークスヴェルト、大きくなったな。この前までこんなだったのに」
男性は、両手を使って俺の大きさを表現した。したが、そんなに小さくないやい。子猫か何かか!
「叔父さん、それじゃあ赤ちゃんより小さいじゃん」
「あははは、そうか?」
この人は、俺の叔父ダスティン。父さんの弟に当たる人だ。
「まあ、ジーク君久しぶりね。一年ぶりくらいかしら?」
「アイーシャさんお久しぶり」
「うふふ、ジーク君も元気そうで良かったわ」
この女性は、叔父さんの奥さんで、アイーシャさんだ。おっとりポワポワして、可愛らしい人だ。
「何しに来たのよジークスヴェルト!」
現れたか、俺の天敵。
「・・・・相変わらず元気そうだな。レミーシャ」
「ふん、ジークスヴェルトも相変わらず馬鹿っぽいわね」
ピシッ・・・・コイツ、相変わらずかわいく無いやつめ!
見るかにお転婆娘のこの子は、叔父さんとアイーシャさん、二人の娘だ。会う度に突っかかってくる奴なのだ。
互いに、うぬぬぬぬと睨み合っていると。
「グスタフ様」
「ん? おぉ、ルーファスではないか。ジークスヴェルトの護衛、ご苦労であった」
「はっ、痛みいります」
「ん? 其奴はたしか・・・・」
「はっ、ルーファスの孫のオットー・サー・ベッジにございます」
「うむ、ルーファスの若かり頃に似ておるのぉ。よし、滞在する間、ワシが鍛えてやろう!」
「え、あっはい! お願いいたします」
「うむうむ、良かったなオットー。よし、ワシも鍛えてやるぞ!」
「・・・・」
ムキムキ爺さん二人の計らいに、顔を青くするオットー。
・・・・南無山
「あなた、いつまでもこんな所で喋ってないで、ジークちゃんを屋敷に案内しないと」
「おぉ、そうだった。こっちだ、ジークスヴェルトよ」
「そんな奴に案内なんてしなくていいわよお爺様」
「何じゃい」
「何よ!」
睨み合いながら、門をくぐり街へと入っていく。
「あらあら、二人は本当に仲良しさんね」
「アイーシャ、あれは犬猿の仲と言うのでは?」
「ハァー。・・・・あなた、もう少し女心を学んで下さい」
「ん? あぁ・・・・女心?」
「ふぬぬぬ」
「うぬぬぬ」
我が娘ながら、あれの何処に女心が? 甥っ子のジークスヴェルトと睨み合う娘に、そう思う叔父ダスティンであった。
「あらまあまあ、レミーシャったら。うふふふ」