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ニューデルン その4


 ‥‥やってしまった。おばあちゃんが寝込むベットの傍らで、俺は反省していた。基本、バルクート領では凄く喜ばれていたから、これが普通の反応と思っていた所為もある? のか?


「んん?」


「おっ! セリア! 気がついたか?!」


「ん? あら? 貴方? 私は何を‥‥」


「セリアは、ジークスヴェルトからの贈り物を見て、気を失ったんだ。まったく、孫から贈り物で倒れるなんて‥‥」


「‥‥あら、少しずつですが思い出してきました」


「おばあちゃん。ごめんなさい」


「いいのよジークちゃん。貴方は別に悪くないわ。おばあちゃんが驚き過ぎただけよ」


 そう言って、おばあちゃんは俺を慰めてくれた。おばあちゃんの優しい手で、頭をなでなでされる。この撫でる手は嫌いじゃない。

 むしろ好きだ。


「ジークちゃん。もう一度見せてくれる?」


「うん!」


 おばあちゃんと、ロンベルの奥さんも加わって、お茶会は再開された。二人共、真珠を見つめる目が、バルクートのおばあちゃん達とそっくりで、ちょっと笑ってしまう。領地は違っても、女性は女性と言う事なのだろう。


 楽しくなってしまい、真珠以外の宝石‥‥ダイヤモンドや、ルビー、サファイアなど、俺が創造錬金魔法で創った宝石を見せた。

 すると、目の色が更に変わり、楽しい時間は終わり、少し怖くなる。不用意に、女性に宝石を見せびらかす物では無いと、この日悟った。いや、もっと早くに悟るべきだったな。母さんとか、おばあちゃんとか。


 おばあちゃん達とのお茶が終わる頃には、夕方になっていた。

 なので、その日はロンベルの屋敷に一泊した。

 そして次の日に、馬車に揺られニューデルンの中心の街、アブストに向かう事になった。


「アブストかぁー。どんな街かな?」


「むわーはっはっはっ! ジークスヴェルト! アブストは大きいぞ。人口一万の街だからな」


「へえー、そうなんだ。だったら結構大きい街だね。うちの領地には、全人口で一万くらいなのに」


 やはり、ニューデルンはかなり大きい。人口からして違う。

 ニューデルン中心の街で人口一万なら、ニューデルン全体で最低でも四、五万人は居るかな?


「人口一万の街と言っても、テンネイスでは大体、三番目くらいかしら?」


「そうなの? おばあちゃん」


「えぇ。一番大きな街があるのは、隣りのアルペンス領かしらね?」


「へぇー、そうなんだぁー」


 おばあちゃんと、そんな会話をしていると。

「むっ! 我が領とて、いずれはアルペンスなどよりだな」と、何やらお爺ちゃんが対抗意識を出しまくる。まさか、隣りの領地と争ってるのか? と思ったが、アルペンス領とは仲が良いとの事。

 単に、お隣りさんと言う事もあり、お爺ちゃんは意識しているようだ。


 そんなこんなで、馬車での道中、おばあちゃんとお爺ちゃんとの会話が弾み、港を出てから二時間程経った時だった。俺は『ガチャ』と馬車の窓を開けた。何故なら、目的地が見えて来たからだ。


「わぁーー、大っきい!」


「そうだろう! ジークスヴェルト!」

「あらあら、うふふ」


 さすかは人口一万の街、大きい! ‥‥でも、うちよりは小さいかな?


「若様、そんなに身を乗り出すと危ないですよ」


「あっ、オットー」


 馬に乗るオットーが、馬車の車窓から身を乗り出す俺を注意した。


「後ろの荷馬車は問題ない?」


「はい。順調です若様。それにしても‥‥」


「うん。アブストは大きい街だね。楽しみだよ」


「楽しみなのは分かりましたが、身を乗り出すのはやめて下さいね」


「はーーい」


          ◆◇◆◇◆◇◆


 やっぱり、大きいな。


 街を囲む、城壁の近くまでくると。アブストは別の意味で大きかった。俺の作った城壁より、数メートル高いのだ。それに頑強さも上かも‥‥‥やるではないか。作った奴。

「まあ、いずれは俺がもっと凄いのを作るけど」と心の中で勝手に対抗心を燃やしていると、門が見えてくる。


「おぉ、城門もなかなか‥‥あれ? あの人達は?」


「ふふふ。ジークスヴェルト、あの真ん中におるのが、シエナの兄で、ジークスヴェルトの叔父になるヴァルターだ」


「あの人が‥‥」


 馬車を降りると、叔父夫婦とその子供達、その他、家臣総出で出迎えを受けた。

 

「ようこそ、我が甥ジークスヴェルト。妹は元気にしているか?」


「はい。元気にしてます。‥‥あっ、ジークスヴェルト・フォン・ナインテイル・バルクートです!」


 礼をとって、挨拶を行う。お爺ちゃんとおばあちゃんには、ちゃんと出来なかったので、ここではちゃんとした。


「あら、大変良い挨拶ですわね」


「あぁ。幼いのに、立派だ」


「当然であろう! わしの孫だぞ!」

「えぇ。わたし! の、孫ですから」


 いちいち、張りあわなくていいから。ん? 叔父夫婦の後ろから、ひょこっと顔を出す二人の女の子。年は、俺と同じくらい?


「ほら、お前達。挨拶しないと」と俺より少し年が上の少年が、隠れんぼしている二人の女の子を引っ張り出した。


「双子?」まったく同じ顔が出て来たので驚いて口に出た。

 俺の言葉にビクッとした二人は、また隠れた。


「はあ、まったく。‥ジークスヴェルト、僕は父ヴァルターの息子ヴェルクだ。君とは従兄弟になるな」


「宜しくお願いします。ヴェルクお兄ちゃん?」


「あははっ。お兄ちゃんか。うん、そう呼んでくれ。あーそれと、こっちに隠れてる二人は、妹のフェリとフィーだ」


「宜しくね」と挨拶するが、また隠れられた。

 ふむ。かなりの恥ずかしがり屋さんだな。


「ジークスヴェルト。兎に角、中へ入ろうか。

 そして、ようこそアブストへ」


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