ニューデルン その3
お爺ちゃんと、おばあちゃんの二人に睨まれ、どう言い訳しようか考えている。ここは、泣き落とし作戦?
『うるうる』攻撃開始!
取り敢えず、この攻撃で二人に視線を送る。そして!
「お爺ちゃんの所が大変だって聞いたからぁーー」と、軽く泣きながら訴える。これでどうだ?
「ジークスヴェルトおぉぉぉぉーー!!」
「へっ? ぐわっ!」
どうやら成功? いや、失敗だ! お爺ちゃん! 痛い、痛いから! 離し‥‥「いてててててててっ!」
「貴方!!」
おばあちゃんがお爺ちゃんを止める。お爺ちゃんは「はい!」と返事をして、ソファーに座り直した。
「ジークちゃん。別に怒っる訳じゃないからね。ジークちゃんは悪くないわ。まったく! シエナは何を考えているのかしら! こんな幼いジークちゃんをニューデルンに寄越すなんて! 危ないじゃないの!」
あぁー、怒ってたのは母さんや父さん達にか。
「まったくだ! ベルハルトは、婿殿は何を考えているのだ!」
「父さんやお母さんを怒らないで、お爺ちゃん! おばあちゃん!
僕が行きたいって言ったの! 父さんも母さんも悪くないの!」
プンプンして言ってみる。すると二人は「良い子ねジークちゃんは」「ジークスヴェルトは優しい子だな。さすがワシの孫だ」
「何言ってるんです? 私の孫だからですよ」と先程まで怒りは何処へ行ったと思う程に、孫愛を炸裂させた。
「そうだ! お爺ちゃん! おばあちゃん! 贈り物があるんだよ! オットー! キャンベル!」
「えっ? あっ! はい!」「あ、は、はははい!」
「箱!」と言うと、二人は慌てて箱を一つ運んで来る。とても重そうに。
「これが贈り物ね」
「随分、重そうな箱だな? 何が入ってるんだ?」
「あら、本当だわ。‥‥何かしら?」
二人はジロジロ箱を見つめる。頑丈そうな箱に、一体何が入っているのかと。孫の俺が、どんな物を持って来たのかと、楽しみにしている様子だ。
「オットー、開けて」
「はい」とオットーが返事をし、箱を開ける為に屈む。
二人は少し、ワクワクしているようで、背伸びや首を伸ばして、箱の中を見ようとする。それを見て「驚くかな?」と心の中で少し笑った。
「どうぞ」と、箱を開けたオットーが、箱の前から退いて二人に箱の中身を見せた。
「どれどれ‥‥‥こ、これは!」
「なっ‥‥そんな!」
二人は、箱の中身にとても驚いた様子だった。その様子を見て俺は、うーーん、やっぱりやり過ぎだったかな? と思った。
そんな俺を、オットーがチラリと見て「そりゃ、驚きますよ」と視線で伝えてくる。うーーん、やっぱりやり過ぎだったかな?
「ジ、ジジジークスヴェルト!」
「ジ、ジジジークちゃん!」
「‥‥もしかして、気に入らなかった?」
「いやいや、そんな事はないぞ! ちょっと、驚いただけだ。
なあ、セリア」
「えぇ。少し、驚いちゃっただけよジークちゃん。私達、こんな贈り物をされて、とっても嬉しいわ」
「本当? なら良かった! あー後、二つあるからね」
「「二つ?!」」
銀のインゴットが入った箱が、全部で三つ。そう聞かされ、お爺ちゃんはお口あんぐり。おばあちゃんは‥‥って!
「おばあちゃん!」
「おぉ、しっかりしろセリア」と、よろめいたおばあちゃんを、お爺ちゃんが受け止めた。
「ご、ごめんなさい。ビックリし過ぎて‥‥」
「大丈夫、おばあちゃん?」
「えぇ、大丈夫よジークちゃん」
「セリア様。ソファーに‥‥」とロンベルの奥さんが、おばあちゃんに肩を貸し、ソファーて座らせた。
「‥‥おばあちゃん」
「本当に大丈夫よ」
「ふむ。それにしても、コレだけの銀をどうやって?
婿殿の領地、バルクート領に、銀鉱山でも見つかったのか?」
「うんうん? 銀鉱山は無いよ」
「ふむ?」と頷き、右手で顎を触りながら、お爺ちゃんは考え込んだ。「だったら、これほどの銀をどこから?」と。その考え込むお爺ちゃんにキャンベルが「あの、ウォルター様。この銀はジークスヴェルト様がご用意されたようで」と喋ってしまう。
まあ、別に口止めはしてなかったけど。別に、言わなくてもいいじゃん。何で喋っちゃうのさ。
お爺ちゃんとおばあちゃんの、まん丸に開いた目が、俺を凝視し続ける。‥‥‥そんなに見ないでほしい。思わず、オットーの後ろに隠れてしまった。
「ジークスヴェルト。別に怒ってもいないから、隠れんでくれ」
そう言われ、オットーの後ろから顔を出す。
「ジークちゃん。どうやってこの銀を?」
どうやってと言われても‥‥‥「創造錬金魔法でだよ、おばあちゃん」何て言えない。どうしよう。
たまらず、またオットーの後ろに隠れる。
「ジークスヴェルト「ジークちゃん 大丈夫よ。怒ってないし、怒らないから」」と二人が言うけど。怒らるのが怖いと言うより、
この力を知られたく無いだけなんだよ。
どう説明したものと、悩んでいると。オットーが助け舟を出す。
「ジークスヴェルト様‥‥若様は、商売もしておりますから。
それで‥‥」
「商売? ジークスヴェルトがか?」
「ジークちゃん。そんな事をしてるの?」と、二人共、少し怪しんでいるのが伺えた。しかし、更に援護が。
「ジ、ジジジークスヴェルト様は確かに、商売も行っております。
じ、じじ実際、今回の航海の為に、ジ、ジジジークスヴェルト様と懇意にしている商人とご一緒致しましたので」
「ふむ、そうか。ジークスヴェルトは多才なのだな」
「凄いわ、ジークちゃん」
良かった。二人共納得したのか。深掘りはされなかった。
「あっでも、今回来たのはこの贈り物のためじゃないよ」
「うむ。何やら、クロスボウと言う武器を、持って来たと聞いたぞ。しかも、ジークスヴェルトが考えたとな。直ぐにでも見たいぞ」
「今、船から下ろしてる真っ最中だよお爺ちゃん。
あっ、でもね。後もう一つ、贈り物はあるんだよ。
オットー、あれは?」
「若様のお荷物と一緒に、屋敷に運んでありますが‥‥今見せるのですか? 後で宜しいかと」
「別にいいんじゃない? それに、ロンベルの奥さんにも贈りたいし。ほら、持って来て!」
俺がそう促すと「分かりました」と言って、俺の荷物と一緒に持って来た、銀を入れた箱より小さめの箱を持って来る。
俺はそれを受け取り、箱を開けて、ある物を取り出した。
「はいこれ。ロンベルの奥さんにプレゼント」
俺が箱から取り出したのは、真珠のネックレスだ。玉の大きさは、七ミリの程の小さめの物を使用している。色はホワイトの美しい真珠だ。
「それと、こっちはおばあちゃんにね」と、十ミリのホワイトパールのネックレスを取り出す。しかも、真珠だけでは無い。カメオもつけてある。 それを見て、おばあちゃんは「はあぁぁ」と溜め息を漏らしながら、失神した。
「お、おばあちゃん?!」
「セリア?!」
「「「「セリア様?!」」」」
「ですから、後にした方が良いと言ったんです」
やり過ぎちゃった。




