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ニューデルン その2


「若様! この銀は一体?! 一体どうしたんですか!」


「どうって‥‥まあ、贈り物?」


「「「「「「「贈り物?!」」」」」」


「うん」


「若様。私はこの事を、まったく聞いていないのですが?」


「そりゃあ、言ってないから」


「わ、わわ私も、聞いておりません!」


「言ってないからね。兎に角、これは贈り物だから! さっさと運んで!」


 この銀のインゴット。父さん達には何も言って無い。俺の独断で用意した。クロスボウだけでも、充分な支援だと思うけど。戦は金がかかる物だ。あって困る事は無い。それに、俺の創造錬金魔法で作り出した物だ。だから、俺が決めて問題は無い筈。‥‥多分。


「おい! 屋敷から人を‥‥護衛騎士を出来るだけ連れてくるんだ!」


「「「は、はい!!」」」


 ロンベルが、頭を抱えながら部下に指示を出す。豪華な贈り物に、顔が真っ青だ。さすがにその顔を見て「俺も少しやり過ぎたかな?」とちょっと不安になる。


 ニューデルンは結構大きいし、それなりの物を持って行くべきと思ったんだけど‥‥まあ、大丈夫だよね。


「さて、屋敷に‥‥おっと、その前に。ローム、アスタリッサ!」


 桟橋の奥から、遅れて二人がやって来る。二人の乗員達は、忙しそうに荷物の積み下ろしをしていた。


「おぉ、ジークスヴェルト殿! ん、どうかしたのか?」


「あら、本当に? 何かありましたか?」


「あー、ちょっとね。それで、二人はこれからどうするの?」


「勿論、ジークスヴェルト殿の用事が済むまで待つつもりだが?」


「ん? でも、依頼はニューデルンまで、荷物と俺を連れて行く事だったよね?」


「確かにそうですが‥‥ジークスヴェルト様を、バルクート領に帰すまでが仕事と思っておりますので。それに、折角ニューデルンに来たので、取引でもして帰ろうかと」


「だな」とロームもアスタリッサの意見に賛成する。二人共、やっぱり商人だなと思う。でも、ニューデルンの特産とかあるのかな?


「分かった。それじゃあ、用事をちゃっちゃと済ませて来るよ」


「おう」「はい」と二人に見送られ、桟橋を後にする。大事な荷物を下ろすのは、まだまだ時間がかかりそうだし。ロンベルの屋敷でゆっくりするつもりだ。


 銀の入った箱は、ロンベルの呼んだ護衛騎士に守られながら、屋敷へと運ばれた。何か、俺より徹底して護衛されてる気がしたが、気の所為だよな?


 ロンベルの屋敷にて、一息入れること数時間後。複数の、馬の蹄の音が鳴り響いた。どうやら、屋敷に誰か来たみたいだ。

 俺はちょうど、ロンベルの奥さんのエネマさんと、お茶をしている最中で。何事かと、ロンベルさんも驚いていた。


『ドスドスドス』と、屋敷の廊下から足音が! そして、お茶をしていたドアが『バァーン』と荒く開けられる。

 開けられたドアの先から、見た目が怖いお爺さんが、何の断りもなく入って来た。それを見て、護衛のオットーが剣に手をかけ叫ぶ。


「な、何者だ!」


 そう叫んだオットーに、ギラリとした目で一瞥すると。俺の方にやって来て、ガシッと肩を掴まれた。


「おぉ、ジークスヴェルトよ。大きくなったな、お爺ちゃんだぞ」

と言われ。そこからの、髭じょり攻撃と、骨が折れんばかりの抱きしめ攻撃が行なわれた。


「あいたたたたたたっ!」とさすがに叫ぶ俺。しかし、攻撃は止まない。


「ジークスヴェルト! 会いたかったぞぉ!!」


「いててててててててっ!」


「‥‥はっ! 若様! 若様をお離しください!」と呆気にとられていたオットーが、助けに入ろうとするが。


「久方ぶりの、孫との出会いを邪魔するな!!」の言葉に止まってしまう。

 

 いや、助けてよ! と言うかお爺ちゃん! 痛いから!


 ミシミシと悲鳴をあげる体。さすがに、これ以上はまずい。そう思ったその時だった。


「何をやってるの貴方!!」と、お爺ちゃんの頭をすぱーんと突っ込む女性が現れる。


「あー、ジークちゃん。大丈夫? 貴方! 何やってますの!」


「あ、いや、すまぬ」


 ようやく解放されたが、今度は女性に抱きしめられる。


「あー、ジークちゃん。痛かったでしょう、ごめんなさいね。

 しょうがないお爺ちゃまですね。ジークちゃん。私が誰か分かるかしら?」


「‥‥おばあちゃん?」


「えぇー、そうよ。おばあちゃんよ。‥‥‥ジークちゃん。とっても、会いたかったわ!」


「おばあちゃん!」


 おばあちゃんのギュに、俺もギュで返す。それを見てお爺ちゃんが「ワシも‥‥」と言うが。おばあちゃんに「貴方は力加減が下手だからダメです」と拒否される。さすがに、ちょっと可哀想かなと思ったが、体のあちこちが痛いので、仕方ないよねと納得する。


 おばあちゃんの言い方からして、アレが普通な感じだ。さすがに、何度やられたら体がもたん。


 二人はソファーに腰掛けると。先程の孫馬鹿な顔とは、打って変わって真剣な顔に。何やら怒ってる?


「さて、ジークスヴェルトよ。お主、何しに来たのだ?」と鋭い目つきと低い声で、お爺ちゃんが切り出した。

 俺はその顔と声に「こわっ! お爺ちゃんこわ!」と心の中で思った。そして「なんて言い訳をしようかな」とも。

 

 単に、助けに来ただけなんだけどな? 何がまずった?


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